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2021年11月3日(水・祝)7日(日)

《プレアゴラ》10月10日(日)11日(月)

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No.Y-04録画済み動画

CoSTEPサイエンスカフェ札幌オンラインの記録

企画概要

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2020年のCOVID-19の世界的流行に鑑みて、CoSTEPは、サイエンス・カフェ札幌をオンラインで合計7回実施してきた。今回はそのオンラインでのサイエンスカフェなどの実践の記録をオンデマンドで公開し、オンラインでのサイエンスカフェの対話のあり方について考える契機としたい。






登壇者プロフィール

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大木 淳之 

北海道大学 大学院水産科学研究院 准教授 さいたま市出身。

2003年 東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了 博士(理学)。北海道大学 大学院地球環境科学研究科、北海道区水産研究所、国立環境研究所を経て、2011年に北海道大学 大学院水産科学研究院に着任、専門は海洋化学。

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藤井 賢彦 

藤井賢彦さんは、大学で海や地球についてくわしく調べている博士です。人びとのくらしは地球や海を変えています。藤井さんは、海の温度やサンゴの色の変化に注目することで、未来の海のあり方を予測します。そして海や地球の環境を守るためにはどうしたらよいかを考え続けています。海が大好きで、時間があればシュノーケリングやスキューバダイビングを楽しんでいます。

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青木 茂 

北海道大学 低温科学研究所 准教授

専門は海洋物理学、極域海洋学。 日本学術振興会特別研究員を経て、1995年から国立極地研究所南極圏環境モニタリング研究センターに助手として勤務。2003年より現職。1997年に第39次日本南極地域観測隊に越冬隊として参加して以来、合計9回の南極観測航海を経験。IPCCの第5次評価報告書に主執筆者として参加。2018年北大初の南極地域観測隊長を務める。

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上村 洋一 

アーティスト。http://www.yoichikamimura.com/

視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り、フィールドレコーディングによって世界各地の環境にアプローチし、そこで得た素材やコンセプトをもとにインスタレーション、絵画、サウンドパフォーマンス、音響作品などを制作し、国内外で発表。

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佐藤 光輝 

北海道大学 大学院理学研究院・教授

専門は超高層大気物理学、大気電気学。東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻博士課程修了。博士(理学)。理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2007年10月に北海道大学大学院理学研究院に講師として着任。2020年9月より現職。1999年12月から2001年3月には第41次日本南極地域観測隊宙空系越冬隊員として昭和基地に滞在。

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首藤 光太郎 

博士(理工学)。専門は植物分類学や植物進化学、植物系統学。現在は植物の菌従属栄養性の進化、水生植物の分類学的研究、地域の植物相に関する研究を行っている。『北大総合博物館のすごい標本』北海道大学総合博物館編、2020の分担執筆を担当。Twitter 北海道大学総合博物館陸上植物標本庫(SAPS)の中の人でもある。好きな球団はオリックス・バファローズ。

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石川 直樹 

1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。

プログラム

 

・112回「地球を旅する元素のゆくえ~大気と海、海と堆積物をめぐるヨウ素のナゾ~」大木淳之(北大・准教授)

「なぜ? どうして?」この問いかけから研究は始まります。科学者は今まで解かれていなかった問いに仮説を立て、実験や観察を通じて検証を行います。問い・仮説・検証は科学研究のプロセスです。今回のカフェのゲストの大木淳之さん(北海道大学 大学院水産科学研究院 准教授)は、海のしくみを物質の観点から分析する海洋化学を専門にしています。中でも、大木さんが注目する物質は、ヨウ素を含んだ有機ガスです。北大水産学部のおしょろ丸・うしお丸で噴火湾の海水を調べると、有機ガスの濃度が季節ごとに増減することが明らかになりました。なぜ季節によって濃度に変化がみられるのだろうか? 海のヨウ素はどこから来てどこへ行くのか? 大木さんはこれらの問いに独自の仮説を設定し、自ら海洋観測に赴き、大気、海水そして海底の堆積物の調査を行うことで検証を進めています。このカフェでは、大木さんの研究テーマである、ヨウ素の地球化学的な物質循環の内容を紹介しながら、科学に興味をもつ高校生に、科学者の研究に向き合う姿勢を伝えたいと思います。

 

・114回「描け! ぼくらの「海の未来予想図」」藤井賢彦(北大・准教授)

物語は、海博士のDr.フジイが描いた『海の未来予想図』との出会いから始まりました。そこにはぼくらが思いもしなかった未来の海の様子が描かれていたのです。なんと、カラフルなはずのサンゴが真っ白になっています。魚のいなくなった海を眺めている人の姿もあります。

Dr.フジイはぼくらに語りかけます。

「海に何が起こっているかを知って、この海の未来予想図を一緒に描きかえないか?」

こうしてぼくたちはDr.フジイと未来の海の様子が大きく変わってしまった理由をつきとめる旅に出ます。

なぜ、カラフルだったサンゴは白くなってしまったの?

どうして、魚はいなくなってしまったの?

なんで、それがぼくらの暮らしと関わるの?

Dr.フジイと一緒に、その謎をひとつずつ解き明かした先で、ぼくらにはどんな海の姿が待っているんだろう? 描け!ぼくらの『海の未来予想図』!

 

・115回「氷のしらせ、地球の未来 ~科学者とアーティストが見た自然~ 」青木茂(北大・准教授)、上村洋一(アーティスト)

自然環境を守るために私たちに何ができるのか。多くの人が一度は考えたことがあるでしょう。しかし、何ができるのかを理解するためには、まず、自然環境を見つめ、その姿を把握する必要があります。今回のカフェでは、自然の真の姿を探究する研究者とアーティストの二人が語り合います。

青木茂さんは北大初の第61次南極地域観測隊の隊長をつとめた科学者です。南極観測船「しらせ」に乗って「トッテン氷河」を訪れ、南極の海底地形の姿を明らかにしようとしてきました。南極の氷が解けるメカニズムを解明し、将来の地球環境の変化を予測す

 

・116回「雷研究のひらめき ~原子核の謎から惑星の秘密まで~」佐藤光輝(北大・教授)

ゴロゴロ…ピカッ。雷は私たちにとって馴染みのある自然現象です。実はこの雷、100年ほど前から脈々と研究が続けられる歴とした研究対象でもあります。今回のサイエンス・カフェ札幌では、雷博士である佐藤光輝さん(北海道大学大学院理学研究院 教授)をゲストにお招きします。

佐藤さんは、宇宙ステーションから雷を観測したり、雷が起こす原子核反応を調べたり、さらには、木星や金星で起こっているかもしれない雷を衛星で調べたり、と様々な手法で雷に関する謎に迫っています。今回は、雷が起こる仕組みから雷研究の新展開まで、佐藤さんに分かりやすく紹介して頂きます。

雷に打たれたような知的興奮を、オンラインで、あなたにお届けします。

 

・117回「この花の名は。~北海道大学の植物分類学の歴史から~」首藤光太郎さん(北大・助教)

「名前ってなに? バラと呼んでいる花を別の名前にしてみても美しい香りはそのまま」シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』(小田島雄志訳)の台詞です。身近な草木一つひとつそれぞれに名前がつけられています。では私たちはどのようにして植物を見分け、その和名や学名を調べているのでしょうか。今回のカフェのゲストは、植物を体系的に分類・整理する植物分類学を専門にする首藤光太郎さん(北海道大学総合博物館 助教)。北大植物園(現北方生物圏フィールド科学センター植物園)の初代園長を務めた宮部金吾博士らが担った北海道大学の植物分類学の研究史に触れながら、植物の名づけについてお話をしてもらいます。カフェを通じて、戸外へ出て足下に生える小さな可憐な草花の名前を知ることの面白さ、そして、花の名を知ることで身の回りの自然が鮮明にそして豊かに変わることを、一緒に感じませんか。

 

・2020年度CoSTEP開講特別プログラム「地つづきの果て」ダイジェスト 石川直樹(写真家)

石川直樹さんは、北極から南極までを人力で踏破し、世界最難関ともいわれる高峰K2をはじめとするヒマラヤの山々へ通う写真家です。石川さんの写真には、旅を続けてきた者にしか出会うことのできない風景と、極限の環境で暮らす人々の日常が、共に収められています。石川さんはこうした写真家としての活動と同時に、自らの移動と経験について文章でも発表しています。

北海道の知床半島では、写真を通じて地域の新たな側面を見出していくプロジェクト「写真ゼロ番地知床」を4年前に始動。石川さんともう一人のアーティストが共同で作品を発表する展覧会を毎年開催しながら、その表現の幅を広げています。地球規模の気候変動が指摘されている昨今、世界の果てを見てきた石川さんのレンズに、今の環境はどのように映っているのでしょうか。

石川さんの活動を通して、これからの世界をどのような視点で見つめ、どのような未来を想像し、伝えるかを考えることで、新たな科学技術コミュニケーションのあり方を探る第一歩が踏み出せるかもしれません。

今回の特別講演では、作品づくりに対する考え、北海道に対する思い、長年間近で見つめてきた地球の変化にについて、石川さんにお話しいただきます。言葉になる前のイメージで「地つづきの果て」をとらえてきた石川さんの話から、これからの世界について、一緒に考えていきましょう。

出展レポート

企画概要の補足

今回提供するサイエンスカフェの記録は主に自然環境をめぐる問題を扱っている。自然環境は私たちの「生Life」を形作る基盤にあり、この問題についての「対話Dialogue」のあり方を問う機会としたい。とりわけ今回は、CoSTEPがこれまで行ってきたオンラインでのサイエンスカフェの記録を提供する。CoSTEPの行なってきたサイエンスカフェの実践の記録を共有することで、科学をめぐる諸問題、特に自然環境の問題をめぐって、皆さんとともに考える契機としたい。

セッションで話し合った未来像

各回ごとに所要時間の内訳は異なるが、登壇者には、短い場合は15分程度、長い場合は60分程度の話題提供を行なってもらっている。オンラインでの開催に伴い、あらかじめ作成した動画を流すといった手法を適宜取り入れているものもあった。また、自然環境をめぐる芸術作品の展示の記録も今回提供するものには含まれる。このように多種多様なコンテンツを提供することを通じてオンラインでの対話の可能性について考える機会となった

セッションでの意見、論点

  • 毎回のカフェに参加していただいた方々の意見を聴取することは今後のオンラインでのサイエンスカフェを行なう上での貴重な情報になる。その意味で、オンラインでのサイエンスカフェを開始した当初のアンケートの回答率の低さを解消する必要があった。その対策として、アンケート回答後に特典を付けることや、ウェビナー形式で行なった際には、ウェビナーの画面上にアンケートへの誘導画面が出る機能や、ウェビナーを閉じた後にアンケートに誘導する画面が表示されるなどの機能を用いた方がよい。また、カフェのタイムスケジュールの中に、アンケート回答時間をしっかりと設けて、その時間内に回答してもらえるようにするなどの工夫がありうる。今後も、これらの工夫を行なっていきたい。
  • オンラインの場合、質問者の個人情報や肖像権などに配慮した質疑応答が求められる。特に、カフェの内容をアーカイブ化して公開する場合などに、それが重要事項となってくる。そのため、基本的にはZoomやYoutubeでのチャットを通じたやりとりが中心となり、ある種の双方向性の確保はそこにおいて果たされなければならない。こうした問題を解消する取り組みとしては、パネリスト機能を用いた多様な参加者との具体的なやり取りなどが工夫としては挙げられ、実際にCoSTEPではそのような試みも実践してきた。今後も、オンラインでの質疑のあり方についても工夫を講じていく必要がある。
  • 芸術作品などの動画の効果はもちろん、雷のサイエンスカフェなどにあるように、印象的な動画を流すことのできる内容をあらかじめ取り入れることも、オンラインでのサイエンスカフェでは重要になってくる。しかし、そのようなメディアに頼る一方で、ゲストにお呼びした先生方の話自体がやはりカフェの質を左右することは改めて確認された。単にわかりやすく説明するだけではなく、ゲストの語りの独特さをいかに引き出せるかもひじょうに重要になることが共有された。

セッションで出たキーワード

アンケート、動画、双方向性、アート

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