SIPプロジェクトでは、金属材料、無機材料、有機材料、そして複合材料も含めた構造材料を対象として研究が進められています。これらの材料を構造物として使うとき、それら表面は必ず使用される“環境”と接し、なんらかの作用を受け、ときには劣化・損傷し破壊に至ります。こうした劣化・損傷について本質的に理解するためには、材料の種別を問わず、包括的で普遍的な理論構築が望まれます。しかし、その議論の前に、まずは材料固有の特徴を考慮した各論も必要であり、それらの理解の深化から統一的な議論へと発展させることが期待されます。このような観点から、今回コロキウムでは、金属・セラミックスおよび高分子材料における環境起因の劣化挙動と機構について、類似性と特異性に着目して議論します。

いずれの材料においても、環境劣化は、環境からの物理的、化学的、あるいは両方の作用を受け発生・進展していきます。今回のコロキウムでは、それぞれの材料における重要かつ特徴的な環境劣化機構を紹介し、さらに材料間の枠を越えて共通する現象論的考察を行って、その理解を深め、革新的構造材料の研究・開発段階で直面する力学特性の諸問題に対する解決の糸口を探ります。