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第8回SIP「革新的構造材料コロキウム」を東工大 藤居 俊之先生を世話人として、「材料の変形:変形の担い手をどう捉えるか」をテーマとして以下のように開催しました。
東工大 藤居先生から、金属材料、無機材料、有機材料を超えた統一的な議論へと発展させることを期待し、まず各材料における特徴的な変形機構を紹介して、材料ごとの“変形の担い手”に着目しつつ議論するという今回のコロキウムの主旨が説明されました。
引き続き、藤居先生から、基礎的知見が豊富な銅の単結晶を例に、金属単結晶の繰り返し変形に伴う転位組織の発達に関する説明がありました。特に、多重すべり方位における転位組織発達過程の塑性ひずみ振幅依存性が詳しく述べられ、関与するすべり系の組み合わせを考慮し、特徴的な組織を構成する転位wallの幾何学的特徴が紹介されました。
大阪市立大 内田先生からは、ガラス転移点の上下で大きく結晶性を変える高分子材料の変形に関して、各領域において、密接に関連する分子鎖の動きに基づく幾つかのモデルが紹介され、さらにより広い温度域で成り立つ一般的なモデル構築についても説明がありました。
NIMS金先生からは、常温で脆性破壊するセラミックス材料も、高温では金属のように塑性変形し、その主な高温変形機構は粒界すべりで、これに伴う不整合を緩和するため拡散や転位機構も同時に働くことが、超塑性セラミックスを例にモデル解析を含めて紹介されました。
最後にディスカッションとして、3つの材料系へのさらなる質問や共通する事項・異なる事項などについての議論が活発に交わされました。
コロキウム=ディスカッションを伴うシンポジウム
材料の種類を問わずに靱性を向上させる方法を整理し、学術的な側面から材料の靱性向上(高靭性化)を最大にするための組織を展望し、実際の材料開発に応用する方法などを議論することを目指します。
このような議論を行うために金属材料、金属間化合物材料、セラミックス材料、高分子材料、複合材料の分野から材料の種類を問わない高靭性化機構を議論することを目的とする。