社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RISTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

岸 恵美子

東邦大学大学院
看護学研究科
研究科長、教授

人口減少・少子高齢化、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等の新興感染症による影響などにより、複雑で多様な問題を抱える人々は増加しています。しかし、多様な問題を抱えている人に寄り添い、きめ細かく対応できる支援システムは未だ十分に構築されているとは言えない状況です。社会的孤立・孤独のメカニズムを明らかにできれば、多様な問題を抱える前に人々に予防的に関わるポピュレーション・ハイリスクアプローチを推進できます。社会的孤立・孤独に陥るリスクを可視化でき、評価手法(指標等)が明確になることは、アプローチを評価する上で不可欠です。本プログラムの実施を通して、予防的な視点から、社会的孤立・孤独を生まない社会が創出されることを期待しています。それは地域のコミュニティの再生や人とのつながりの新しい形など、誰一人取り残さない社会への変革をもたらしてくれるものと確信しています。

プロフィール

東京都生まれ。日本赤十字看護大学大学院博士後期課程修了(看護学博士)。病院の看護師を目指し看護を学ぶうち、自ら受診や相談をしない人々に家庭訪問という方法で支援する保健師に魅力を感じ、東京都板橋区、北区で16年間保健師として勤務した。その後、保健師教育に携わりたいと大学教員となった後も、地域で支援を求めない人、いわゆるごみ屋敷で生活する人など、セルフ・ネグレクトの人への支援について継続的に研究を続け、現在は現場で活用できるアセスメントや支援ツールの開発に取り組んでいる。

専門分野・関心分野

看護師・保健師の教育に携わり、地域看護および公衆衛生看護を専門としている。主な研究テーマは、高齢者虐待、セルフ・ネグレクト(支援拒否、いわゆる‛ごみ屋敷‘で生活する人など)、高齢者の孤立・孤立死。実践につながる研究を重視しており、自治体の各種審議会委員、事例のコンサルテーションなどを行っている。

著書・論文

  • ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 孤立死を呼ぶ「セルフ・ネグレクト」の実態、幻冬舎、2012(単著)
  • セルフ・ネグレクトの人への支援 ゴミ屋敷・サービス拒否・孤立事例への対応と予防、中央法規、2015(共著、代表編集)
  • セルフ・ネグレクトのアセスメントとケア ツールを活用したゴミ屋敷・支援拒否・8050問題への対応、中央法規、2021(共著、代表編集)
  • 岸 恵美子、望月 由紀子、吉岡 幸子他(2021.09):不衛生な家屋で生活するセルフ・ネグレクト状態の高齢者への専門職の支援の分析、日本在宅ケア学会誌(1346-9649)25巻1号 Page65-76
  • 岸 恵美子、望月 由紀子、坂本 美佐子他(2021.03):不衛生な家屋で生活するセルフ・ネグレクト状態の高齢者の特徴と対応する専門職の困難、高齢者虐待防止研究(1880-1838)17巻1号 Page56-70

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