社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RISTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

有末 賢

慶應義塾大学
名誉教授

「社会的孤立」のテーマは、社会学にとって基本的なテーマです。中間集団としての家族、職場、地域社会、学校教育などが、孤立した個人を守り、あるいは、孤立しないように共同性を発揮していくことが重要ですが、現実の社会では、中間集団が従来のように機能しなくなり、それどころか、虐待家族やいじめ、ブラック企業のように個人を孤立化させている中間集団もあります。
このプログラムによって、社会的孤立を予防し、個人化した国家対個人が直接対峙するような社会像に対して、新たな社会像のイメージを提起できればと考えています。

プロフィール

1953年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程修了。博士(社会学)(2002年、慶應義塾大学)。専門は都市社会学、地域社会学であるが、2003年、妻との死別によって、生と死の問題、自死遺族、うつ病などの精神疾患に関心を持つようになる。最近は、生きづらさや社会的孤立に関心がある。2024年3月、亜細亜大学都市創造学部教授を定年退職。慶應義塾大学名誉教授。

専門分野・関心分野

都市社会学、特に大都市問題、地域コミュニティ論が専門である。具体的には、都市祭礼や都市民俗について調査・研究してきた。また、生活史研究(ライフヒストリー論)は博士論文のテーマである。内外の生活史研究の歴史的、理論的、方法論的研究を行った。現在は日本生活学会長であり、生活学も専門分野である。

著書・論文

  • 有末賢『現代大都市における重層的構造―都市化社会における伝統と変容―』ミネルヴァ書房、1999年
  • 有末賢『生活史宣言―ライフヒストリーの社会学―』慶應義塾大学出版会、2012年
  • 有末賢・霜野壽亮・関根政美[編]『社会学入門』弘文堂、1996年
  • 浜日出夫・有末賢・竹村英樹編著『被爆者調査を読む』慶應義塾大学出版会、2013年
  • 澤井敦・有末賢編著『死別の社会学』青弓社、2015年