[加齢変容] 2023年度採択課題

金山 剛士

新たな研究基盤の構築に基づく造血老化機構の解明

研究者
金山 剛士

東京医科歯科大学
難治疾患研究所
准教授

研究概要

造血系の加齢変容を理解することは健康寿命の延伸に寄与します。しかしながら、定常時の造血と異なり、加齢のような生体ストレスに対する造血では血球分化経路の理解が進んでおらず、従来の造血前駆細胞同定法はストレス造血研究に適しておりません。このような現状を打破するため、新たな解析法の樹立や分化経路の発見を通じて研究基盤を再構築するとともに、造血系の加齢変容を引き起こす原因の究明を目指します。

呉 泉

加齢に伴う翻訳制御の変容による神経幹細胞の機能低下

研究者
呉 泉

京都大学
大学院医学研究科
特定講師

研究概要

静止状態にある成体神経幹細胞は、刺激に応じて活性化され新生ニューロンを産生します。そのプロセスの変容は記憶や学習能力の低下など、加齢に伴う脳機能低下の一因とされますが、その原因やメカニズムは不明です。私は、タンパク質を生成する翻訳過程に注目し、神経幹細胞活性化・分化における翻訳品質管理機構の役割と加齢に伴うその変容に焦点を絞った研究を行い、幹細胞の老化防止の方策を探索します。

古藤 日子

アリをモデルとした社会性と加齢変容の連関解明

研究者
古藤 日子

産業技術総合研究所
生物プロセス研究部門
主任研究員

研究概要

本研究では社会性昆虫アリをモデルとして「生殖と寿命のトレードオフ」に着目した社会性と加齢変容の連関と制御基盤の理解を目指します。社会環境の変化が個体の寿命延長をもたらす条件を同定し、加齢変容プロセスに及ぼす影響を細胞、組織、個体レベルにて記述します。さらにマルチオミクスと行動定量、ゲノム編集や薬剤投与による機能操作実験により社会環境が加齢による生体変容を制御する分子メカニズムの解明を目指します。

高杉 征樹

プロテオームから紐解く加齢性転写後調節異常と老化メカニズム

研究者
高杉 征樹

大阪公立大学
大学院医学研究科
講師

研究概要

本研究ではリソソーム系とUPS系がプロテオームの加齢変化に及ぼす影響とそのメカニズムを薬剤投与や遺伝子改変によりこれらの系に介入操作を行ったマウスのマルチオミクス解析を通じて解明していきます。さらに、加齢に伴い大部分の組織で増加するApoEとHTRA1がECMタンパクの蓄積と老化に及ぼす影響を中和抗体やトランスジェニックマウス、ならびにマルチオミクス解析により明らかにしていきます。

辰川 英樹

細胞外基質の架橋変容から生じる組織硬化の分子基盤の解明

研究者
辰川 英樹

名古屋大学
大学院創薬科学研究科
助教

研究概要

ヒトの体は細胞からというよりも、むしろ細胞と細胞外マトリクス(ECM)から作られていると言っても過言ではありません。加齢により、ECMはリシルオキシダーゼやトランスグルタミナーゼにより架橋修飾され、変容したECM自体が様々な病態の増悪に関わることが示唆されています。本研究では、ECMの「量」だけでなく、「質」の変化が組織修復の破綻を伴う組織硬化(線維化)を誘導する分子機構を解明します。

田渕 理史

睡眠工学手法による老化時計の不安定性修復

研究者
田渕 理史

ケース・ウェスタン・リザーブ大学
医学系研究科
アシスタント・プロフェッサー

研究概要

老化依存的な睡眠制御機構の不安定化を研究対象として,加齢依存的な脳機能の動的不安定性を解明・制御することを目指します。ショウジョウバエをモデル生物とすることで初めて実現可能となる神経工学と合成生物学の学際領域的な睡眠工学的アプローチを提案し,老化時計の不安定性を修復し,神経工学的手法と合成生物学的な視点を組み合わせた,シナプス可塑性と脳波制御に基づくアンチエイジング方法論の確立を目指します。

平山 祐

鉄恒常性の変容から紐解く細胞老化現象

研究者
平山 祐

岐阜薬科大学
薬学部
准教授

研究概要

過剰な鉄蓄積は細胞の酸化損傷や鉄依存的細胞死(フェロトーシス)を引き起こしますが、老化細胞には高レベルの鉄が蓄積しています。そのため、フェロトーシスを回避するような鉄恒常性の変容が細胞老化の過程で起こっていると考えられます。本研究では、独自に確立してきた細胞内鉄イオン検出技術を活かして、分子・細胞・生物個体の各階層で機能する新たな鉄検出技術を確立し、鉄恒常性を基軸とした細胞老化研究を実施します。

宮崎 正輝

老化に伴うB細胞の分化の変容とRegulome調節

研究者
宮崎 正輝

京都大学
医生物学研究所
准教授

研究概要

本研究では、転写因子によるエンハンサー調節(Regulome)の視点から老化に伴う(1)骨髄でのB細胞分化の低下と(2)末梢B細胞の活性化の変容の分子機構の解明を目的とします。(1)については加齢に伴うコア転写因子の協調作用の変動を明らかにしその分子機構の解明を目指し、(2)についてはsingle-cell Multiome (scMultiome)解析を用いて老化B細胞を同定し、抗体の親和性亢進を司るAID遺伝子の発現調節機構を解明します。

渡瀬 成治

生殖系列が加齢を免れるメカニズムの研究

研究者
渡瀬 成治

熊本大学
発生医学研究所
助教

研究概要

生殖系列は世代を越えて生き続ける「不死」の細胞系列と言われています。これまでの研究から、リボソームDNA反復配列のコピー数安定維持機構が生殖系列の「不死性」を支えていることがわかってきました。しかし、生殖系列における本機構のメカニズムはまだよくわかっていません。そこで本研究では、生殖系列における本機構の分子基盤を解明し、得られた知見から体細胞老化の抑制へむけた方法確立の手がかりを提供します。

渡邊 謙吾

加齢に伴う生体内分子システム状態遷移の探究

研究者
渡邊 謙吾

システムバイオロジー研究所
バイオインフォマティクスK. Carole Ellisonフェロー

研究概要

従来の医療は病気を特定して治すことが主要でした。しかし老化では、加齢性疾患の顕在化前から生体内システムが連続的に遷移しており、病気よりも健康状態を中心に捉えるべきだと考えます。そこで本研究では、ヒト・モデル生物のマルチオミクスデータと機械学習・システムバイオロジーの手法を活用したデータ駆動的アプローチで、加齢に伴う生体内分子システム状態遷移を理解し、老化の定量的評価・介入法の基盤開発を目指します。

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