[加齢変容] 2022年度採択課題

有馬 勇一郎

ケトン体による代謝-老化表現型連関の解明

研究者
有馬 勇一郎

熊本大学
国際先端医学研究機構
特任准教授

研究概要

ケトン体は空腹時に産生される代謝産物です。適度な食事制限が健康長寿につながることが明らかとなる中、ケトン体の働きについても注目されています。しかし、ケトン体には様々な作用があり、何が実際に影響を及ぼしているのかは明らかでありません。そこで、ケトン体が老化にもたらす影響を検証するため、ケトン体合成・分解を完全に制御する動物モデルを構築します。そして、ケトン体代謝が老化に及ぼす影響を正しく評価します。

一條 遼

皮膚深部に着目した新規老化メカニズムの解明

研究者
一條 遼

京都大学
医生物学研究所
助教

研究概要

皮膚は基本的には表皮、真皮、皮下組織から形成されます。表皮、真皮に着目した研究は数多く報告されてきましたが、さらに深部の組織の老化に関してはこれまでほとんど報告されていません。本研究では、これまで着目されていなかった皮膚深部組織に着目し、イメージング、single cell RNA sequence技術、移植実験などによって新規の老化メカニズムの解明を目指します。

上住 聡芳

間葉系間質細胞の局在依存的特性による筋維持機構の解明

研究者
上住 聡芳

九州大学
生体防御医学研究所
教授

研究概要

筋の老化はサルコペニアと呼ばれ大きな社会問題となっています。筋組織に内在する間葉系間質細胞(筋MSC)は筋の恒常性を維持しており、本細胞の機能低下はサルコペニア発症に寄与します。筋MSCは筋組織内でいくつかの特徴的な局在をとり、その局在によって異なる機能を担うと考えられます。本研究では、筋MSCの局在依存的な特性とその加齢変容を解明し、得られた知見からサルコペニアの予防・治療法開発を目指します。

大東 いずみ

加齢による胸腺の退縮における胸腺上皮細胞変容の基盤研究

研究者
大東 いずみ

徳島大学
先端酵素学研究所
教授

研究概要

T細胞の産生器官である胸腺は生体内で最も早期に退縮し、胸腺退縮によるT細胞産生の低下は獲得免疫機能低下や加齢関連疾患の発症などに関与します。本研究では、加齢プロセスにおいて、胸腺の機能を主に担う胸腺上皮細胞での栄養代謝やオートファジー機能の変動が胸腺機能にもたらす影響を明らかにすると共に、早期から退縮する胸腺をモデル器官とし、生体における器官退縮の本質に迫ります。

堅田 明子

脈絡叢変容による脳内液性環境老化の分子機構

研究者
堅田 明子

九州大学
大学院医学研究院
講師

研究概要

加齢に伴い、誰もが認知症を発症するリスクを抱えますが、発症年齢や進行度合いは個人差が大きく、その原因は明らかでありません。本研究では、脳脊髄液産生を担う脈絡叢が脳内液性環境整備の中枢と考え、脈絡叢の加齢に伴う変容を解明します。マウスでも、老齢では学習能力や脈絡叢遺伝子発現の個体差が大きいため、記憶学習に相関する老化標的遺伝子ネットワークを明かすことで、認知機能低下に個体差が生じる原因を追究します。

永松 剛

原始卵胞を起点とした卵子の加齢メカニズムの解明

研究者
永松 剛

山梨大学
大学院総合研究部
教授

研究概要

卵子の加齢変化を質的な機能低下と量的な減少という2つの側面から捉えます。そして卵子形成の起点となる原始卵胞の静止期維持機構の解明を基に、加齢による卵子の変化を根本的に理解することを目指します。本研究で得られる成果は生殖補助医療における高齢化問題の解決基盤となり得るものです。

長谷川 恵美

老化に伴う睡眠異常の解明と免疫変容の神経科学的理解

研究者
長谷川 恵美

京都大学
大学院薬学研究科医薬創成情報科学専攻
准教授

研究概要

本研究では、睡眠覚醒制御機構に関する神経細胞集団や、それらが構成する神経回路が、加齢に伴いどう変化し、その神経活動や遺伝子発現が変化するのか、そしてどのような変化が睡眠変容を引き起こすのかを分子神経科学的に明らかにします。さらに、睡眠・覚醒状態に応じて、免疫応答がどのような挙動を示すのかを探索し、老化による睡眠変容が及ぼす免疫機能低下の理解に繋げ、睡眠の介入による健康寿命伸延の提案を目指します。

松本 翔太

次世代電子顕微鏡による早老症発症の分子基盤の解明

研究者
松本 翔太

東京大学
定量生命科学研究所
助教

研究概要

生物が持つDNA修復機構は、ゲノムに生じた損傷を絶えず取り除くことで私たちの健康に貢献しています。このDNA修復機構が破綻することにより、早老症をはじめとする様々な疾病が引き起こされます。しかしなぜ早老症が発症するのかについては未解明な部分が多く残されています。本研究では蛍光とクライオ電子顕微鏡を統合した次世代電子顕微鏡を駆使して、細胞核内を分子レベルで直接「見る」ことによりこの謎に迫ります。

三好 知一郎

レトロトランスポゾンから紐解く老化細胞の免疫応答変容

研究者
三好 知一郎

理化学研究所
生命医学研究センター
チームリーダー

研究概要

老化過程において、レトロトランスポゾンの発現上昇が免疫応答異常を伴う加齢性疾患に関与することが示唆されていますが、その動態制御やメカニズムはまだよくわかっていません。本研究は、老化細胞において、ヒトL1レトロトランスポゾンがどのようにして慢性炎症にもつながるような免疫応答の破綻やDNA傷害を引き起こすのか、オミクス解析を駆使してその作動原理を明らかにし、これを制御する手法の開発を目指します。

吉永 直人

ミトコンドリアDNA変異から生じる老化プロセスの解明

研究者
吉永 直人

理化学研究所
環境資源科学研究センター
基礎科学特別研究員

研究概要

老化現象の一つである、ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異による細胞機能の変容を理解することは非常に重要です。しかし、mtDNA編集技術が十分確立されていないため、mtDNA変異由来の機能変化は検討されていません。そこで本研究では、独自技術を用いてmtDNA編集技術を確立し、mtDNA変異が細胞に与える影響をマルチオミクス解析により評価することで、mtDNA変異と老化の関係性を解明します。

渡部 聡朗

霊長類精子幹細胞に備わる老化抑止メカニズム

研究者
渡部 聡朗

国立成育医療研究センター
再生医療センター
専門職

研究概要

マウスとヒトにおいては寿命が大きく違うにも関わらず、一世代で導入される突然変異の数はあまり変わらないことが明らかになっています。これは一世代あたりに導入される変異が増えると次世代個体で奇形が頻発してしまうため、長寿命生物が進化するためには突然変異の抑制が必要であったと考えられます。本研究では霊長類のモデル動物であるマーモセットを用いて、霊長類の精子幹細胞の老化を抑制するメカニズムを明らかにします。

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