[未来材料] 2021年度採択課題

伊藤 喜光

電場による非平衡反応場を利用した合成化学

研究者
伊藤 喜光

東京大学
大学院工学系研究科
准教授

研究概要

電極表面に接している溶液は、電極界面において電位に応じたバルクとは異なる空間を形成します。本研究では、このような非平衡空間を利用した従来の電気化学的手法では得る事ができない、新しいナノ構造材料合成法の開発を行います。得られた材料の構造解析を通じて電極上の非平衡空間の実体を明らかにすると同時に、革新的機能をもつ新奇な有機及び無機材料の開発を目指します。

大池 広志

準安定電子状態を活用した量子機能材料の開拓に関する研究

研究者
大池 広志

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

本研究では、急冷された物質中の電子が形成する未知の準安定状態を開拓し、準安定状態が持つ「メモリ機能」を活用して、金属-絶縁体状態、磁気状態、超伝導-常伝導状態などの電子状態制御を行います。量子力学的な自由度を持つ電子が形成する準安定状態の背後にある学理を明らかにすることにより、熱電変換材料や超伝導材料などの量子機能材料を開発することで、新原理に基づいた情報技術の実現を目指します。

片山 司

誘電・光学応用に向けた新奇酸フッ化物材料の創出

研究者
片山 司

北海道大学
電子科学研究所
准教授

研究概要

従来、誘電・光学材料で用いられているセラミック材料のほとんどは酸化物であり、酸フッ化物の応用は限られていました。しかし、酸フッ化物の有する大気安定性と酸化物以上の電気絶縁性・広バンドギャップは、酸フッ化物が酸化物以上の機能を誘電・光学材料分野で発揮する期待があることを示唆しています。そこで本研究では酸フッ化物の高絶縁性・広バンドギャップを活かした新規誘電体材料、磁気光学材料の創出を進めていきます。

金 正煥

ヨウ素アニオンの性質を生かした新機能の開拓

研究者
金 正煥

東京工業大学
元素戦略MDX研究センター
特任准教授

研究概要

ヨウ素のような巨大アニオンの性質やそれに伴う電子物性を基礎とし、ハロゲン化物からの新たな機能開拓を図ります。特にこれまでに困難とされていた様々な機能の両立に着目し、発光材料での「輸送特性と発光特性の両立」、半導体での「キャリア制御と移動度の両立」などに挑戦します。研究手法としては、複合アニオンを用いた物質探索、低温溶液法を用いた準安定相の創製、複合相薄膜を用いた多機能化などを用います。

筒井 祐介

テラヘルツトリプルパルス分光法による電子フォノン結合評価技術の開発

研究者
筒井 祐介

京都大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

材料中に存在する原子・分子の乱れにより、さまざまな物理量が変動を受けています。本研究では最先端レーザー技術を駆使した振動モードの自在な制御技術を実現し、フォノンの非調和性やフォノン励起を用いた相転移挙動の研究へと展開します。これと同時に、テラヘルツ波による高速時間分解測定を駆使した凝縮相中の自由度の結合評価法を確立し、新機能性材料の新たな探索空間軸を創出することにより、未来材料の探索を加速します。

平山 元昭

電子材料系における非原子軌道の物質設計

研究者
平山 元昭

東京大学
大学院工学系研究科
特任准教授

研究概要

本研究では、従来の原子軌道ではない、電子の量子力学的干渉効果によって発現する非原子軌道的状態に着目した物質設計を行い、その学術的基盤を確立することを目指します。系としては、電子化物、異種原子間共有結合、干渉縞などを検討し、非原子軌道の電子材料設計とそこから創発される未踏の電子状態を開拓します。手法としては大規模かつ高精度な第一原理手法を用い、定量性を伴った理論提案を実施します。

福井 識人

π共役分子の内部を探索空間とする未来材料の創製

研究者
福井 識人

名古屋大学
大学院工学研究科
講師

研究概要

本研究では有機分子が多元素複合系であるという視点のもと、「骨格内部の変換」という独自の分子設計戦略の一般化を通じて物質探索空間の拡大を狙います。具体的にはπ共役分子に着目し、その骨格内部を未踏の物質探索空間と定めます。そして、分子変換法の確立と構造多様性の拡張を2本柱として研究を推進します。これにより、従来の周辺修飾法とは異なる機能創発指針を確立することで、未来材料の創製へとつなげます。

三浦 章

物質輸送の差異を生かした新規準安定相の創出

研究者
三浦 章

北海道大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

本研究では、固相反応における熱力学的平衡状態に達する前の非平衡状態で形成される準安定相に焦点を当てます。 放射光XRDと電子顕微鏡でその場観察によって、反応中の原子と粒子の『静と動』を調査することで準安定材料がどのように形成されるかについての学理を明らかにし、新たな準安定材料の創出を目指します。

満留 敬人

合金化と複合化による鉄ナノ触媒の革新

研究者
満留 敬人

大阪大学
大学院基礎工学研究科
准教授

研究概要

金属錯体における配位性元素であるリンや窒素を鉄ナノ粒子の安定化配位子と捉えた触媒設計法のもと、それらと鉄とを合金化することにより、安定な低原子価鉄ナノ粒子を原子レベルで制御・合成します。また、得られた鉄ナノ合金を機能性材料と複合化することにより、未踏の「大気中安定かつ高活性な新規鉄ナノ合金触媒」を開発します。開発した鉄触媒の有効性を種々の反応において評価し、鉄触媒の汎用性を飛躍的に拡張します。

宮島 大吾

π共役分子の一次元配列を基点とした未来材料探索

研究者
宮島 大吾

香港中文大学(深圳)
理工学院
教授

研究概要

分子性材料の物性は構成する分子の構造と集合様式によって決まります。しかしながら分子が集合し形成する三次元構造の予測・制御は未だ困難な課題の一つです。本研究ではπ共役分子の一次元配列を基点とした三次元分子集合技術を開発します。開発した分子集合技術を基に未踏分子集合構造を実現し、革新的機能性材料を探索します。

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