[複雑流動] 2023年度採択課題

有馬 隆司

非平衡流れに対する階層的流体力学の創成

研究者
有馬 隆司

苫小牧工業高等専門学校
創造工学科
准教授

研究概要

急激な物理量の時空間変化や複雑な素過程を伴う非平衡流れでは、異なる時空間スケールの現象が絡み合い、従来の流体力学では適切に記述できません。本研究では、多原子分子効果、実在気体効果、多成分性を含む流体を対象に、階層的時空間スケール構造を考慮した流体モデルを、拡張された熱力学に基づいて構築します。これにより、非平衡輸送現象の包括的な理解と高精度な予測・制御が可能となり、流体科学の新展開が期待されます。

大道 勇哉

非周期的・間欠的流動現象のデータ駆動モデリング

研究者
大道 勇哉

宇宙航空研究開発機構
航空技術部門
主任研究開発員

研究概要

複雑流動場に生じる非周期的・間欠的な現象(Nonstationary現象)の時空間パターン抽出を可能な独自のデータ解析法を提案し、実際の工学問題を対象にその有効性を実証する。さらに、流れ場中の各現象が他現象と及ぼし合う相互作用の解析法を検証する。本研究構想を通じ、これまでの平均的な振る舞いを主な対象としてきた流体データ解析を、Nonstationaryな振る舞いも解析可能なデータ解析へと転換する。

沖野 真也

熱と化学種が形成する密度成層乱流の新展開

研究者
沖野 真也

京都大学
大学院工学研究科
講師

研究概要

熱塩成層乱流を対象に、直接数値計算、力学系理論、室内実験を駆使することによって、小スケールで生じる二重拡散不安定性と乱流の相互作用を徹底的に解明します。さらに、系を熱塩成層流体から化学反応(中和反応)をともなう酸・塩基溶液へと拡張し、化学反応が乱流に及ぼす効果を明らかにします。本研究をきっかけとして、熱流体力学と化学を包含する新たな学問領域の構築を目指します。

亀谷 幸憲

高Re数乱流伝熱面の多自由度形状最適化

研究者
亀谷 幸憲

明治大学
理工学部
専任講師

研究概要

エネルギーの有効利用のため,熱交換器の高性能化が大きな課題です.本研究では高Re数乱流場での伝熱面形状最適化を目的とし,RANS方程式を用いた随伴最適化にLESを組み合わせた多自由度形状最適化手法を開発します.LESのSGSモデルに基礎流れのDNSデータを利用した機械学習を取り入れ,最適化の高精度化を図ります.また,3Dプリンタで供試体を作成し,風洞実験により形状最適化アルゴリズムを実証します.

竹内 宏光

量子粘性の検証と複雑な量子流動現象の解明

研究者
竹内 宏光

大阪公立大学
南部陽一郎物理学研究所
准教授

研究概要

量子力学的効果が顕著なある種の物質は絶対零度近傍の低温下でも固化せず、超流体という非粘性流体に相転移します。超流体の流れは従来の流体よりも簡潔に記述されるため、流体科学の悲願である乱流理論の構築に有効な模型として注目されていますが、乱流に付随するはずの散逸の機構がその非粘性ゆえに十分理解されていません。本研究は量子粘性という概念を導入してこの困難を解消し、新しい視点から乱流理論の構築に挑戦します。

田之上 智宏

情報流体力学―複雑系の予測・制御に関する普遍的限界―

研究者
田之上 智宏

大阪大学
大学院理学研究科
助教

研究概要

近年、情報熱力学の進展に伴い、様々なシステムのふるまいや性能が情報の流れによって普遍的に制限されていることが明らかになってきました。本研究では、情報熱力学を乱流等の様々な流動現象に応用しながら、地球システムや生体システム等が示す複雑な流動現象の予測・制御に関する普遍的限界の解明に向けた新しい流体科学「情報流体力学」の基盤を構築することを目指します。

都築 怜理

実用のための量子流体シミュレーション技術の開拓

研究者
都築 怜理

東京大学
先端科学技術研究センター
講師

研究概要

超流動ヘリウム4のダイナミクスは二流体モデルにより現象論的に記述されますが、渦格子など量子効果に起因して生じる巨視的量子現象の多くは再現出来ていません。自転角運動量保存型の二流体モデルはこれを打破する手法として注目を集めています。当該モデルの高精度化と大規模計算による実証を達成し、量子効果を捉えつつ噴水効果など数メートル規模の量子流体の挙動を再現できる実用的なシミュレーション技術を構築します。

手嶋 秀彰

超空間分解能計測と界面特性マッピングで拓く「すべり」の新学理

研究者
手嶋 秀彰

九州大学
大学院工学研究院
助教

研究概要

固液界面で流体が速度を持つすべり現象を理解するには、界面特性とすべり長さの双方を把握する必要があります。本研究では、周波数変調原子間力顕微鏡を駆使することですべり計測の空間分解能を10 マイクロメートルから100 ナノメートルオーダーへと一気に2桁進化させます。この技術を基にすべりと界面特性を同時マッピングする新しいプラットフォームを構築し、すべり現象の物理機構をナノ・原子スケールから解明します。

中 吉嗣

高密度壁面計測とデータ科学の融合による乱流の予測と制御

研究者
中 吉嗣

明治大学
理工学部
専任准教授

研究概要

本研究では壁面での圧力変動場の高密度計測データから乱流場を推定し、乱流の予測と制御を行う新たな手法を確立します。このため、直接数値計算を用いて壁面圧力変動と乱流場の特徴量の関係を解明し、壁面情報から流れ場を推定するためのデータモデルを構築します。また、壁面圧力変動場を測定するための高密度マイクアレイおよび乱流制御のための集束超音波音響流アクチュエータを開発し、実機での乱流の予測と制御を実現します。

仲村 英也

粉体の流動と混合の時間・空間スケーリング

研究者
仲村 英也

大阪公立大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

大規模・長時間スケールで起こる粉体の流動・混合現象の予測に焦点を当てます。離散要素法(DEM)を基盤として、実在粉体が本質的に内包する粒子径不均質性を扱うことができ、かつ、1個粒子スケールの微視的な混合均一性まで予測できる高速計算代理モデルと粗視化計算技術の開発に取り組みます。これにより、実在粉体の流動・混合挙動の時間・空間スケーリングを可能とする粉体シミュレーション技術を創出します。

前山 伸也

磁化プラズマ乱流のマルチスケール・マルチフィデリティモデリング

研究者
前山 伸也

自然科学研究機構
核融合科学研究所
准教授

研究概要

磁化プラズマ乱流中のマルチスケール相互作用現象における重要な課題である「核融合原型炉開発に向けた乱流輸送の定量予測」と「マルチスケール相互作用の理解とモデル化」に挑戦します。それぞれの問題に対し、独自に提案する「マルチフィデリティ乱流輸送モデリング」と「射影演算子法に基づく統計データ解析と一般化Langevinモデリング」の二つをキーアプローチとして、解決の糸口を図ります。

本木 慎吾

対流熱伝達の上限への挑戦

研究者
本木 慎吾

大阪大学
大学院基礎工学研究科
講師

研究概要

流体による熱の輸送現象の解明・予測・制御はエネルギーの有効利用に直結し、持続可能な社会の実現に寄与します。本研究では、磁気力等の付加的な外力を導入することで対流熱伝達をどこまで促進し得るのかを追求します。その複雑な流動・輸送現象の理論的な解明に挑むとともに、流体制御効果を数値的・理論的に実証し、伝熱促進を目的とした革新的な流体制御技術の創出を目指します。

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