[植物分子] 2022年度採択課題

相原 悠介

植物修飾分子による多面的機能のテイラーメイド制御

研究者
相原 悠介

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

植物が産生する高反応性分子を「植物修飾分子」と定義します。アブラナ目植物の植物修飾分子イソチオシアネート(ITC)を題材として、植物における多面的な標的タンパク質と生理機能を解明します。標的特異性を決定づけるITCの作用機構を分子構造レベルで解明し、生理作用ごとに最適化されたテイラーメイドITCを創出します。これを基に、有用な植物機能を亢進させる、植物修飾分子のテイラーメイド制御技術を確立します。

加藤 大明

植物のストレス応答分子機構を利用した人工受容体の創出

研究者
加藤 大明

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

植物は細胞膜の受容体を使って病原菌の存在を認識し、感染に対する防御応答を誘導します。本研究では、スフィンゴイド塩基受容体に着目し、この受容体がどのようにスフィンゴイド塩基をとらえているかを詳細に解析します。次に、この受容体の仕組みを改変して、あらかじめ物理的な刺激を与えたときに植物が病原菌の攻撃に対して備えることができる「人工受容体」の創出に挑戦し、将来の作物の新規防除技術の開発に貢献します。

白川 一

一細胞/一核RNA-seq解析による異形細胞の遺伝子発現アトラス

研究者
白川 一

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教

研究概要

植物は、二次代謝産物やタンパク質等の有用分子を異形細胞に高蓄積しています。異形細胞の分化メカニズムの理解や遺伝子発現アトラスの作製は、有用植物分子の生合成経路・大量生産・蓄積機構の理解につながります。本研究では、一細胞/一核RNAシーケンシングにより異形細胞の遺伝子発現アトラスを作製します。その知見をもとに、有用植物分子の生合成経路や大量蓄積機構を人為的に操作する技術の開発を行います。

杉山 龍介

特化代謝のリサイクル経路がもたらすC/N/S循環システムの理解

研究者
杉山 龍介

千葉大学
大学院薬学研究院
助教

研究概要

植物は外敵や環境ストレスから身を守る手段として特化代謝産物を生産します。本研究では、これまで「代謝の終着点」と考えられてきた特化代謝産物が植物体内で分解・リサイクルされている可能性に着目し、その分子メカニズムの解明を目指します。特に炭素・窒素・硫黄のリサイクル反応に焦点を当て、成長と環境適応の栄養バランスや有用生理活性物質の生産を制御する、新しい戦略ターゲットとしての利用にも取り組みます。

舘田 知佳

全身獲得抵抗性/感受性間のスイッチングシステムを解く

研究者
舘田 知佳

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

植物と病原体は、病原体の存在している植物組織のみならず、存在していない非感染組織においても、植物体内を長距離輸送される植物分子を利用して、生存をめぐる攻防を繰り広げています。本研究では、病原体との攻防戦の過程で非感染葉で惹起される全身獲得抵抗性と感受性誘導システムに焦点を当て、そのスイッチングメカニズムを解き明かすことで、両システムを農業に利用するための研究基盤の構築を目指して研究を行います。

楢本 悟史

オーキシン極性輸送をモデルとした体軸の形成・維持機構の解明

研究者
楢本 悟史

北海道大学
大学院理学研究院
准教授

研究概要

オーキシンの極性輸送は、植物の形態形成を制御する重要な現象ですが、その輸送方向はオーキシン排出担体PINの細胞における偏在化で規定されます。本研究では、PINが細胞膜上で形成する新奇複合体様構造に注目した研究を行うことで、従来のモデルに代わる新しい細胞極性・体軸形成モデルを提案します。本研究は、オーキシンをはじめとした植物分子の輸送方向をデザインする基盤技術の創出に繋がる可能性があります。

野元 美佳

機械刺激センサーであるトライコームの分子基盤の解明と応用

研究者
野元 美佳

名古屋大学
遺伝子実験施設
講師

研究概要

植物葉面の毛状突起(トライコーム)は、雨によって負荷される機械刺激を感知すると、周辺組織でカルシウムウェーブ依存的な免疫を活性化します。本研究では、トライコームのマルチオミックス解析と微細構造解析によって、その制御を担う植物分子を同定し、機械刺激受容センサーとしての特徴付けを行います。本免疫の情報伝達経路を明らかにし、感染リスクの上昇に伴い自律的に疾病防除能を強化することのできる植物を作出します。

深田 史美

植物の免疫シグナル因子を逆手に取った病原菌の宿主認識機構

研究者
深田 史美

岡山大学
資源植物科学研究所
助教

研究概要

植物が病原菌を認識すると、ペプチドなどのDAMPsと呼ばれる物質を放出し、それを受け取った植物細胞の免疫を強化します。本研究では、「植物が放出するDAMPsが、実は病原菌によって認識され、病原力を高める因子として利用されている」という、新しい植物-病原菌相互作用のモデルを提唱し、実証に挑みます。本成果により、病原菌のDAMPs認識による病原力発揮機構を標的とした新規農薬開発への貢献を目指します。

吉成 晃

植物の細胞極性を制御する分子基盤の解明

研究者
吉成 晃

名古屋大学
高等研究院
特任助教

研究概要

陸上植物の形態や機能を制御する様々な分子は、細胞内の特定の場所に配置されたり細胞外の特定の場所に分泌されたりすることで、その機能を発揮します。本研究では、植物分子が偏在するために重要な「細胞極性」がどのように形成・維持されるのかを、極性プロテオミクス、ケミカルジェネティクス、そして極性スイッチの3つの切り口から解析し、解き明かします。

若林 孝俊

植物生長制御に寄与するアポカロテノイドの包括的理解

研究者
若林 孝俊

東京大学
大学院農学生命科学研究科
助教

研究概要

カロテノイドの開裂により生成するアポカロテノイドは、植物体内だけでなく生態系内でも作用する多彩な機能を有します。本研究では、アポカロテノイドの一大グループを形成し、多様な構造と機能を持つストリゴラクトンに着目します。未だ未解明である枝分かれ抑制ホルモンの化学的本体の同定をはじめとして、個別のストリゴラクトン分子が有する機能の追求を通じて、アポカロテノイドの分子機能の包括的理解を目指します。

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