[植物分子] 2021年度採択課題

安達 広明

比較ゲノミクスを基盤とする免疫受容体ネットワークの解明とデザイン

研究者
安達 広明

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

植物は多様化した免疫受容体がつくる分子ネットワークを利用することで、多種多様な病原体を認識し、免疫応答を誘導します。本研究では、病害抵抗性を示す植物種のゲノム情報から有用な免疫受容体遺伝子を発掘し、機能予測及び機能評価を進め、免疫受容体ネットワークの全容を解明します。そして、その成果を免疫受容体ネットワーク活用型の新規抵抗性技術の開発に繋げます。

大津 美奈

植物寄生性線虫の感染をモデルとして植物の細胞融合の謎に迫る

研究者
大津 美奈

奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教

研究概要

細胞壁のある植物細胞では、細胞融合は殆ど起こりません。しかし、驚くべきことに植物に寄生する線虫の一種であるシストセンチュウは、植物細胞に細胞融合を誘導し、巨大な多核の栄養貯蔵細胞「シンシチウム」を作らせます。本研究では、シロイヌナズナとテンサイシストセンチュウをモデルに、細胞融合過程のライブセル解析や感染細胞の単一細胞多元オミクス解析を組み合わせて、植物の細胞融合メカニズムの解明に挑戦します。

奥山 雄大

「擬態する花」に着目した昆虫操作の物質・遺伝基盤解明

研究者
奥山 雄大

国立科学博物館
植物研究部
研究主幹

研究概要

本研究では花ではないものに擬態する「擬態花」をつける「カンアオイ属」と「テンナンショウ属」計100種以上の栽培個体コレクションを用い、花の香り、誘引される昆虫、トランスクリプトームの網羅的データセットを作成します。これらのデータ間の相関関係を解析した上で実証実験を行い、物質・遺伝子・生態をつなぎます。これにより強力な昆虫操作のメカニズムや、植物の潜在的な物質生産能力に関する理解の変革を目指します。

加藤 義宣

生殖障壁としてのクチクラ層の分子機能の解明

研究者
加藤 義宣

東京大学
大学院農学生命科学研究科
助教

研究概要

被子植物は花粉をやり取りして種の遺伝的多様性を維持しています。花粉が雌蕊の先端(柱頭)に付着すると花粉の認証が行われ、適合しない花粉は花粉管を伸ばすことができません。本研究では、柱頭の外側を覆うクチクラと呼ばれる脂質成分の層が関わる花粉認証の仕組みを明らかにします。さらにこの認証機構を人為的にコントロールする手法の確立を通じて、園芸・育種開発の拡張に繋がる基盤技術の創生を目指します。

佐藤 玄

計算化学を用いたテルペン環化酵素と酸化酵素の反応機構解析と機能改変

研究者
佐藤 玄

山梨大学
大学院総合研究部
特任助教

研究概要

二次代謝産物の構造多様性は、骨格構築酵素と修飾化酵素の組み合わせによって産み出されます。本研究では、テルペン環化酵素と鉄依存性酸化酵素をそれぞれのモデルとして取り上げ、量子化学計算と実験化学の両輪を駆使して詳細な反応機構解析を行い、構造多様性創出メカニズムを明らかにすることを目的とします。さらに、計算結果に基づいた酵素の機能改変により、新規骨格を有する新たな植物分子の創出を目指します。

末次 健司

情報分子が拓く植物による菌根菌への寄生能力獲得と制御

研究者
末次 健司

神戸大学
大学院理学研究科
教授

研究概要

これまで菌根共生の進化生態学的研究では、植物と菌根菌が互いに良いパートナーを選別できることが前提とされており、菌根菌に寄生する植物がどのように出現したのかは、大きな謎でした。本研究では、同一植物種において独立栄養性と菌従属栄養性の個体を自在に作出できる培養系と野外サンプルを用いた収斂解析で得られる知見を統合し、分野横断型のアプローチで、植物が菌根菌を騙すことを可能にしたメカニズムに迫ります。

関本 奏子

生態系内における多成分揮発性植物分子の時空間イメージング

研究者
関本 奏子

横浜市立大学
大学院生命ナノシステム科学研究科
准教授

研究概要

アレロパシーは、植物が体内で生産した代謝物を大気中や土壌中に放散させ、周囲の生物に影響を及ぼす現象です。その代謝化合物は多数あり、我々にとって有用なものも多いと期待されますが、極微量かつ多様な揮発性物質の捕捉や効果検証は難しく、ほとんど未発掘です。そこで本研究では、揮発性植物分子の放出特性や生態系内での時空間的動態を網羅的に分析・可視化する技術を開発し、新規アレロパシー探索の基盤を確立します。

高橋 洋平

二酸化炭素濃度を感知する植物細胞内装置と作用分子

研究者
高橋 洋平

名古屋大学
トランスフォーマティブ生命分子研究所
特任准教授

研究概要

本研究では、植物がどのように二酸化炭素の濃度変化を感知するのかを解明するため、植物・大気間のガス交換の90%以上を担う気孔に焦点をあて、二酸化炭素を感知して気孔閉鎖を引き起こす未知の細胞内情報伝達装置に生化学・分子遺伝学・ケミカルバイオロジーを駆使した複合的アプローチで迫ります。さらに、植物の二酸化炭素取り込みの促進や水利用効率の改善に繋がる革新的新規化合物の単離と活用を目指します。

福井 康祐

「発芽スイッチ」の構築:厳密な種子休眠維持機構の解明と応用

研究者
福井 康祐

東京理科大学
理学部第一部
准教授

研究概要

雑草など野外で生きる植物は、不利な環境下での発芽を回避する休眠維持機構を備えています。本研究では、この休眠の維持に関わる遺伝子を明らかにするとともに、どのような化学的刺激で休眠が打破され発芽へと向かうのかを解明します。これらを応用し、休眠の維持を可能にする遺伝子の利用と、休眠を打破する化合物の創製を通じて、厳密な種子の休眠から発芽へと切り替え可能な「発芽スイッチ」の構築を目指します。

山田 泰之

発現制御機構の多様性に基づく植物特化代謝の生産制御

研究者
山田 泰之

神戸薬科大学
薬学部
講師

研究概要

植物は様々な特化代謝産物を作り、その一部は医薬品などに利用されています。しかし、資源の枯渇なども懸念されており、持続的な天然資源の管理・供給方法の確立が求められます。本研究では、植物が獲得した多様な特化代謝生合成系と、それらを制御する転写因子の機能獲得と多様化に着目し、その関連性の解明に取り組みます。それら知見を基に、代謝フローの選択的増強といった革新的な物質生産制御系の構築を目指します。

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