- JST トップ
- /
- 戦略的創造研究推進事業
- /
さきがけ
- /
- 研究領域の紹介/
- 多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス/
- [多細胞] 令和2年度採択課題
科学技術振興機構
さきがけ研究者
オオヒメグモでは、体節形成の基盤となる周期的縞パターン形成はダイナミックな波状の遺伝子発現が関わる現象で、からだの領域により多様性が見られます。本研究では、極性の形成から波の出現と進行、縞パターンへの展開までを単一細胞レベルで解析します。発現の空間情報や遺伝子機能の情報も取得し、多様なパターンの形成を実現する分子ネットワークを明らかにします。パターン形成のライブ観察や培養細胞への再現も目指します。
大阪大学
大学院生命機能研究科
助教
細胞膜電位の「変動」が、細胞集団内で「伝播」することによって、モルフォゲン様に形態形成因子として機能しうることが示唆されています。本研究ではゼブラフィッシュをモデルに、光遺伝学を用いて膜電位を人為的に操作することで、形態形成因子としての膜電位の作用機序を分子レベルで解明します。さらに、膜電位を介した情報伝達が多細胞生物において普遍的な細胞間相互作用である可能性についても検証します。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
多細胞組織の構築は、シグナル勾配や生物時計などの時空間的な情報を統合することで実現されていると考えられています。しかし、それらがどのような情報を包含していて、どのようなルールで相互に変換・解読されているのかは十分に明らかでありません。本研究では、マウスES細胞由来の未分節中胚葉細胞をモデルに、培養技術および蛍光イメージング・光制御技術を新開発・活用することでこの問いに答えることを目指します。
東京都立大学
大学院理学研究科
准教授
上皮は体外と体内を区画化するバリアとして働くと共に、器官の働きに応じて多様な形をとります。上皮組織の形は細胞同士の接着と細胞の張力のつり合いによって決まると考えられますが、接着と張力には相互依存性があるため、その両者を独立に操作することは困難です。本研究では細胞間接着を自在に制御できる人工細胞間接着技術を開発し、接着と張力を独立に操作することにより、上皮ダイナミクスの原理を解明します。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
本研究では、細胞間相互作用が織りなす多様な生命現象と、それを取り巻く様々なシグナル伝達経路間の相関関係・因果関係を高い時間的・空間的分解能で解明することを目指します。そのために、細胞接着タンパク質が担う細胞間相互作用を高い時間的・空間的分解能で、かつ様々なシグナル伝達経路の活性と同時に観察可能なイメージングツール及び、細胞間相互作用を自在に改変できる光操作ツールを開発します。
ポツダム大学
生化学・生物学研究所
ジュニアグループリーダー
植物体の継続的な成長は、二次(肥大)成長によって物理的、物流的に支えられています。二次成長中の形成層では、幹細胞が絶えず木部、師部を、内側、外側それぞれに作り出しますが、その細胞動態や制御機構には多くの謎が残されています。本研究では、形成層幹細胞の動態や、分化過程中の遺伝子発現変遷を明らかにし、局所的遺伝子操作を通じて、継続的成長を支える細胞間相互作用の実体を細胞レベルで解明することを目指します。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
助教
植物では、各部に備わった概日時計同士のコミュニケーションにおいて、多くの謎に満ちています。本研究はシロイヌナズナの葉と植物体本体の間での接ぎ木を行い、その概日リズムを解析する手法を開発し、植物の葉と他器官のあいだでの概日時計の相互作用を明らかにすることを目指します。また、師管液成分のオミクス解析等を通じて時間情報伝達物質の同定を試み、更にその物質が離れた場所の概日時計に作用する仕組みを探ります。
北海道大学
大学院医学研究院
准教授
レム・ノンレム睡眠状態を再現する爬虫類ex vivo実験系を開発します。その後、これらの状態を誘導するために必要な細胞群を同定し、それらがどのように相互作用することによって睡眠が形作られるのかを明らかにします。これに加え、まだ神経科学の俎上に載っていない冬眠という現象にも生理学的手法を用いてアプローチしていきます。
フロリダ大学
医学部
アシスタントプロフェッサー
多細胞生物では発生、疾患、時には行動までも遺伝子発現によって制御されます。それら生命現象を理解する為、本研究では遺伝子発現の最終段階であるタンパク質合成が時空間でどのように制御されているか、『質』と『量』の両方を統合的に理解することを目標としています。特に本提案ではタンパク質合成の『質』の時空間的制御と分子機構の解明を目指し、タンパク質の凝集病として知られる神経変性疾患への応用を考えています。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
SRKとSP11のモデル構造を作製して、MDシミュレーションにより網羅的なドッキング実験を行い、各ハプロタイプで認識に重要なアミノ酸を同定します。また、多数のハプロタイプをパターン解析することによりSRK-SP11相互作用に関わるアミノ酸の法則性を抽出します。これらの結果より導き出される自家不和合性モデルについて分子生物学的・生化学的実験によって検証して、その妥当性を証明します。
九州工業大学
大学院情報工学研究院
教授
細胞機能に必須の要素である電気化学ポテンシャルの多細胞システムにおける役割を1細胞レベルで理解するために、高感度イメージングによる細胞内イオン濃度の網羅的な定量を行います。また、光遺伝学的手法を応用することにより、細胞内イオン濃度を人為的に制御する手法を確立します。これらの実験手法を用いることで、多細胞システムにおける1細胞ごとのイオン透過特性と生命機能の関係を明らかにします。
秋田大学
大学院理工学研究科
教授
平面内細胞極性(PCP)は、組織において体毛等の向きが特定の方向に揃う現象です。膜貫通分子Frizzled等から構成されるコアグループはPCP制御の中核であると認知されていますが、分子実体は不明ながら、コアグループに依存しないPCP調節機構の存在が示唆されています。本研究では、独自に見出した新たな現象「細胞集団移動を介した体毛のコーミング」に着目し、この未知なるPCP制御機構の解明を目指します。
情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所
教授
本研究では細菌由来のペプチド転移酵素とウイルス感染制御技術を組み合わせることで、細胞間接触の総和「コンタクトーム」を解析するための基盤技術を開発します。これにより、従来不可能であった順行性トランスシナプス標識や一過性に相互作用した細胞の網羅的同定などが可能となります。これらの技術を利用して哺乳類中枢神経系における細胞間の機能ドメインを介したダイナミックな時空間相互作用を網羅的に明らかにします。