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さきがけ
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- 多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス/
- [多細胞] 令和元年度採択課題
大阪大学
免疫学フロンティア研究センター
特任准教授
組織とはいわば区画化された空間であり、物理的な境界により細胞社会が隔離されることが独立した多細胞システムとして機能するために必要不可欠です。一方、境界は物質や細胞を選択的に通過させることで外界や組織間とのコミュニケーションを制御する動的な場でもあります。本研究では内臓表面で境界を形成する中皮層に着目し、組織境界層を起点とした細胞間相互作用の新たな様式を提唱します。
京都大学
大学院医学研究科
特定准教授
臓器、器官や個体などの多細胞システムを対象とした解析では、目的の細胞集団を高い純度で「分取」しなければなりませんが、既存の方法ではミクロンレベルで特定の細胞集団を非侵襲的に取り出すのは容易ではありません。そのような限界に挑戦すべく、本研究では光学と分子生物学を融合した「位置情報レコーディング技術」により、光照射領域に限定可能なオミクス解析法を開発します。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
最近では空間分布情報を伴う遺伝子発現解析技術が急速に発達を見せている(seqFISH+やSlide-seqを代表として)。究極的な空間遺伝子発現解析のためには、検出遺伝子の網羅性と1分子単位の空間解像度が求められる。しかしこの2つの要素はトレードオフの関係にあり、現状両立する技術はない。そこで本研究ではこれを両立する技術を確立し、細胞間相互作用に伴う遺伝子の空間発展を詳細に捉えることを目指す。
福井大学
学術研究院医学系部門
教授
血管構造パターンの多様性は、これまで知られている遺伝子発現によるプログラムに加え、未知の環境因子によるゆらぎによって生じると考えられます。実際に、生体内イメージングによる解析では、新しい血管がランダムに発芽して、蠢くように支配領域を拡大する過程が観察されています。本研究では、血管と微小環境における複雑な相互作用を時間空間的に解析することで、血管構造の多様性を生みだす複合的システムを明らかにします。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
基礎科学特別研究員
本研究では「どの細胞同士が、いつ、どこで、どの分子ネットワークによって細胞間相互作用(CCI)をしたのか」という情報を、テンソルというデータ構造で表現し、テンソル分解アルゴリズムを適用することで、データに含まれる顕著な時空間CCIパターンを抽出します。また、テンソルの柔軟性を活用し、各種1細胞オミックスとの同時解析や、他の研究者のデータに、関連情報を割り当てる、推薦システムの開発にも取り組みます。
神戸大学
大学院医学研究科
助教
培養細胞と嗅上皮組織をモデルに、モザイクパターンが作られる際のライブイメージングとドメイン解析により、細胞の割込みにおいてネクチンが細胞辺ごとに接着力と収縮力の偏った分布を作る分子メカニズムを明らかにします。さらに、接着力や収縮力の計測を行い、新たに創出した組織形成の数理モデルに導入することで、力の偏りが細胞の割込みを制御しモザイクパターンを作る力学原理の解明を行います。
東京大学
大学院理学系研究科
准教授
線虫を自動追尾するステージを顕微鏡に統合し、画像中の神経細胞の追跡手法を改良して、行動中の線虫の全神経活動を観察する系を確立します。個々の神経細胞における遺伝子発現パターンを解析して神経細胞の同定(アノテーション)に適した線虫株を作出します。測定した神経活動をアノテーション技術によって神経回路にマッピングし、回路レベルで解析します。
大阪大学
大学院生命機能研究科
准教授
本研究では「細胞はどのようにして隣の細胞の状態を知り、どう付き合うのか?」について理解することに挑戦します。具体的には多能性組織であるマウス着床前胚エピブラストの細胞社会において、ある細胞が、隣接する細胞の多能性の状態をいかに認識し、組織内での均質性構築のために生かすか殺すかの判断をするメカニズムの解明を目指します。さらにそこから得られた知見を活かし、再生医療分野への貢献も目指します。
シンガポール国立大学
メカノバイオロジー研究所
主任研究員
微細加工技術やイメージング、力計測-推定技術を用いた分野横断的手法により、細胞集団が有する環境応答能「場の曲率の感知と力生成」を検証します。さらに、得られたデータを基に数理モデル化を進め、シミュレーション解析を通じて、再現性の高いロバストな分岐形態形成を実現する多細胞動態システムを明らかにします。国内外を問わず異分野研究者間での交流を深め、積極的に協働しながら本研究課題を進めていきます。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
オジギソウは植物ですが、葉をさわるとまるで動物のようにすばやく動きます。オジギソウには運動のための特別な細胞があり、運動の際にはそのひとつひとつが水を出し、すばやく縮みます。しかし、葉の全体をすばやく動かすにはそれだけでは足りません。たくさんの細胞が同時に縮むための、なんらかの仕組みが必要です。その仕組みを明らかにし、植物の細胞が使っているコミュニケーション方法を知ることがこの研究の目的です。
自然科学研究機構
基礎生物学研究所
助教
平面細胞極性は多くの動物に共通してみられる普遍的な細胞の方向性です。平面細胞極性を方向付けることが知られている分泌性シグナル蛋白質Wntの可視化を基盤として、どのようにWntが平面細胞極性を方向づけるかを、独自のライブイメージングを中心に解析し、分子レベル・細胞レベルでの相互作用として理解します。更にそれをもとに平面細胞極性を培養系で再構成することを目指します。
筑波大学
生命環境系
准教授
動物が正常な機能を持った体を形づくる過程において、光や温度などの外的刺激がいかにして初期発生に影響を与えうるのかに関しては不明な点が多く残されています。本研究では、発生生物学のモデル動物であるウニの幼生を用いて、不安定な海洋環境で変化する外的刺激依存的に、消化管形成を制御する仕組みの発見とその分子機構の解明を目指します。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
教授
寄生植物は異種植物である宿主植物の組織に侵入し、宿主植物細胞の影響を受けながら自身の細胞運命を変化させ寄生を成立させます。本研究では、モデル寄生植物コシオガマを用いたトランスクリプトーム解析により、寄生器官内の細胞群の時空間的なアイデンティティーの変化を追うとともに宿主植物遺伝子と合わせて遺伝子共発現ネットワーク解析を行い寄生を司る遺伝子モジュールとそれを制御する宿主因子を明らかにします。