[ナノ力学] 令和2年度採択課題

市川 裕士

固相粒子接合界面のナノメカノケミストリー

研究者
市川 裕士

東北大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

粒子を固相状態のまま衝突積層させ、皮膜・構造体を作る固相粒子積層プロセスは、新しい材料プロセスとして期待されています。これらを一連のナノメカノケミストリー現象と捉え、固相接合界面ナノ領域で起きている材料の超高速変形挙動、それに伴う化学変化、および結合の物理化学現象を実験的に解明します。微小材料の変形と化学反応を同時に取り扱うナノメカノケミストリー現象を説明できるように材料力学の拡張を目指します。

伊藤 伸太郎

界面相互作用計測による高分子境界膜の潤滑機構解明

研究者
伊藤 伸太郎

名古屋大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

固体表面に形成された高分子の境界膜は、過酷な摩擦条件においても高い潤滑性をもつことが報告されています。ただし、その厚さは1μm以下であり、そのような薄膜が潤滑性を発現するメカニズムは未だ解明されていません。本研究では、ナノレオロジー計測、X線反射率計測、マイクロ流体デバイス計測を駆使した多角的かつ階層的なアプローチにより、分子レベルからマクロな潤滑機能が発現するメカニズムを解明します。

菊池 将一

周期ミクロ強度勾配制御による多機能材料設計

研究者
菊池 将一

静岡大学
工学部
准教授

研究概要

本研究では、構造用金属材料をターゲットに「ナノスケールで組織制御してミリスケールで機能発現」させる指針を明確化します。周期構造内の全組織に対する連続損傷計測および力学シミュレーションを行い、動的試験におけるミクロな転位の発生・運動と、マクロな変形の非線形性の重畳効果を解明します。高強度相が低強度相を包み込んだ周期構造制御材料における、特異な動的損傷発生・進行メカニズムを明らかにします。

木村 康裕

電子流による原子拡散に基づくナノワイヤ結晶性デザイン

研究者
木村 康裕

名古屋大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

本研究では、金属ナノワイヤの力学特性を左右する結晶性に着目した、電子流による原子拡散に基づくナノワイヤ結晶性デザインの創出を目的とします。エレクトロマイグレーションと呼ばれる高密度電子流による原子拡散を駆使してナノワイヤを創製することで結晶性操作技術を創出し、異なる結晶性を跨ぐ力学特性評価を実施することで、これまで閑却されてきたナノワイヤ力学特性を活かす高強度機械材料としての応用発展を目指します。

塩澤 大輝

接着接合ナノ構造の非破壊力学強度解析技術の確立

研究者
塩澤 大輝

神戸大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

様々な分野の機械構造物でマルチマテリアル化が進められており、接合接着の強度向上および非破壊評価技術が求められています。本研究では、可視光や赤外線からテラヘルツ領域までの様々な波長帯の電磁波を用いて、力学的負荷を受ける樹脂材料および接着剤におけるナノ構造とひずみ・応力場を計測してナノ構造が力学的挙動に及ぼす影響を評価する技術を構築し、接着接合の疲労強度メカニズムの解明を目指します。

柴田 曉伸

高強度鋼における水素脆性クラック伝播挙動のマルチスケール解析

研究者
柴田 曉伸

物質・材料研究機構
構造材料研究センター
上席グループリーダー

研究概要

高強度鋼の水素脆性における各破壊過程に対応する力学特性を破壊力学に基づいて評価するとともに、トモグラフィとFIB-SEMシリアルセクショニング観察を組み合わせたマルチスケール解析という新しい解析手法を確立します。この独自手法により水素脆性の本質的特徴である不連続クラック伝播挙動に焦点を当て、ナノ力学での破壊メカニズムに基づいてマクロ力学特性の起源を解明する水素誘起破壊の学理構築を目指します。

高橋 航圭

ナノ界面の疲労損傷検出と抑制による複合材料の超長寿命化技術

研究者
高橋 航圭

北海道大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

繊維強化複合材料の疲労破壊は、繊維と樹脂の界面はく離に起因すると言われています。そこで、大型放射光施設のX線ナノCTを利用し、ビームライン上でのその場疲労試験・観察によって界面近傍における疲労損傷を数10nmの分解能で可視化する技術を確立します。これを、分子動力学法の大規模計算で疲労損傷をシミュレーションし、ナノCT観察結果と直接的に比較することで、界面近傍における疲労損傷の素過程を解明します。

中島 祐

未踏高分子材料群「極限伸長網目」の学理構築

研究者
中島 祐

北海道大学
大学院先端生命科学研究院
准教授

研究概要

ゲル・ゴムなどのソフト高分子網目材料は、そのナノスケール網目鎖のコイル状構造に由来した柔軟性、伸張性を示します。本研究では、これら材料の網目鎖を極度に伸長させ、新奇力学機能を有する未踏材料「極限伸長網目」を創製します。自由エネルギー的に不利な極限伸長網目の合成法を確立し、そのナノ伸長構造に由来する特異な力学特性を見出します。得られた材料は、易分解材料、力で機能化する材料などへの応用展開を図ります。

中田 伸生

ナノスケール内部応力制御による鉄鋼強靭化

研究者
中田 伸生

東京工業大学
物質理工学院
教授

研究概要

鉄鋼のマルテンサイト組織に分布する微視的な引張内部応力が、(001)へき開破壊を誘発することをマクロとミクロのスケールから実証した後、分子動力学シミュレーションを援用した内部応力の実測を行うことで、炭化物の析出によって生じる微視的内部応力状態の動的な変化の全容をミクロ~ナノスケールで明らかにします。これにより、へき開破壊を抑制する理想的なナノ合金炭化物の析出状態を提示し、鉄鋼の更なる強靭化を試みます。

楽 優鳳

層構造を持つソフトマテリアルの力学特性と革新的機能創出

研究者
楽 優鳳

産業技術総合研究所
電子光基礎技術研究部門
主任研究員

研究概要

本研究では、これまで開発した三種類の層構造を持つソフトマテリアル(ゲル、液晶ポリマーと金属ナノ材料)の研究に基づき、これらの構造材料から得られた知見を融合することによって、層構造、ナノ結晶構造とナノ分子運動(光誘起)がマクロな力学特性を決定する支配因子を見出し、優れた力学特性を持つ新規材料の設計や、これらの特性を使用した革新的な力学機能性材料の創出を目指します。

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