[ナノ力学] 令和元年度採択課題

稲邑 朋也

無拡散変態ナノ組織の幾何と形状記憶特性

研究者
稲邑 朋也

東京工業大学
科学技術創成研究院
教授

研究概要

本研究は、独自に発見したTiNi基形状記憶合金を用い、整合な界面だけからなる「コンパチブルな無拡散変態ナノドメイン組織」が形成される幾何学条件を数理モデル化し、このコンパチブル条件からの「距離」と駆動時の転位累積挙動および形状記憶特性の関係を抽出し、ナノ組織の幾何を制御してあらゆる形状記憶合金の力学的機能を格段に高める材料設計指導原理を得るものです。

畝山 多加志

疑似自由度を用いたメソスケール粗視化モデリング

研究者
畝山 多加志

名古屋大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

高分子やソフトマターはナノ・メソスケールにおいて種々の構造を形成し、それがマクロスケールの物性に強く影響します。そのような構造を持つ系を理論や計算で効率的に調べるためには、粗視化と呼ばれる自由度の低減手法が有用です。本研究では、分子の位置等の通常の自由度に加えて拡散係数やポテンシャルを時間とともにゆらぐ疑似熱力学自由度ととらえ、疑似自由度を含めた形の新たな粗視化手法を構築します。

近藤 俊之

金属薄膜の強度発現を担う外的・内的寸法効果の解明

研究者
近藤 俊之

大阪大学
大学院工学研究科
講師

研究概要

金属薄膜の変形・破壊の機構と強度には膜厚(外的寸法)と微視組織(内的寸法)が大きな影響を及ぼします。本研究では膜厚と微視組織を独立に制御した超ナノ~マイクロ厚薄膜を創製し、これらに対するその場ナノ観察・解析破壊じん性・疲労き裂進展試験法を確立します。変形・破壊の機構と強度に及ぼす膜厚効果と微視組織効果を分離して解明することで、金属薄膜の強度発現を担う因子と発現メカニズムの理解・体系化を目指します。

篠崎 健二

ナノスケールの組成ゆらぎ設計による超低脆性ガラスの創製

研究者
篠崎 健二

産業技術総合研究所
ナノ材料研究部門
主任研究員

研究概要

ゆらぎを自在に制御可能にする新規プロセスを提案し、ガラスの“ゆらぎ”をナノ-ミクロスケールの材料設計可能要素として確立します。これによりナノスケールでの変形と破壊挙動を設計することで、亀裂が発生・進展しにくい超低脆性ガラスを実現します。

鈴木 凌

タンパク質結晶の転位論に基づく力学特性の解明

研究者
鈴木 凌

横浜市立大学
理学部
助教

研究概要

タンパク質分子から構成される結晶材料の一つであるタンパク質結晶は、一般的な金属や無機材料と比較して、数十~数百ナノメートルといった巨大な構成要素を有しています。さらに、タンパク質結晶は単位体積当たり最大で70%もの水分子を含んでおり、その水が結晶格子内を動き回るといった特異な材料です。この材料の力学特性を解明し、他の結晶材料との類似点や相違点を見出すことで、新しい機能の探索と創出を目指します。

多根 正和

ゆらぎ誘起原子シャッフリングの格子動力学と変形挙動との相関

研究者
多根 正和

大阪公立大学
大学院工学研究科
教授

研究概要

凍結された合金組成ゆらぎによって誘起される無拡散の変位型相転移の動的原子シャッフリングを対象とし、動的原子シャッフリングのための力学理論を「熱・統計力学」および「格子動力学」に基づいて構築します。その上で、動的原子シャッフリングを考慮した塑性変形および変形誘起相転移における格子変形モデルを構築し、動的原子シャッフリングに着目した新たな力学理論を確立します。

垂水 竜一

材料多様体のマルチスケールメカニクス

研究者
垂水 竜一

大阪大学
大学院基礎工学研究科
教授

研究概要

本研究では,材料多様体上の弾性理論と非局所弾性体の構成式論を組み合わせることによって,結晶格子の乱れである格子欠陥(転位と回位)に対する新しい数理モデルを構築するとともに,これをアイソジオメトリック解析に基づく大規模数値計算へ実装します.本研究の遂行によって,エンジニアリング材料の強度や変形特性の起源を解明し合理的な材料設計を実現する,格子欠陥のマルチスケール力学解析を確立します.

都留 智仁

転位芯の局所自由度を有する力学理論に基づく新奇機能の創出

研究者
都留 智仁

日本原子力研究開発機構
原子力科学研究部門
研究主幹

研究概要

材料の力学特性は一般に転位運動によって決定されますが、一部の合金の優れた力学特性は従来の材料にないナノスケールの特異な転位構造に起因することが分かってきました。本研究では、転位運動を決定する支配因子を解明するとともに、従来理論を越えた材料によらない「局所自由度を有する転位の力学理論」と「有限温度の転位運動を記述する解析手法」を構築することで、計算による戦略的な機能向上と新奇機能の創出を目指します。

栃木 栄太

変形・破壊現象の原子スケール解析

研究者
栃木 栄太

東京大学
生産技術研究所
准教授

研究概要

本研究では、微小電気機械システム(MEMS)を用いた新規のその場機械試験システムを開発し原子分解能透過型電子顕微鏡(TEM)内にてその場機械試験を実施、結晶性材料における変形・破壊現象を原子スケールにて直接観察します。荷重、温度、ひずみ速度といった機械試験パラメータを高度に制御し、種々の条件下での結晶の力学的応答を原子レベルから明らかにすることにより、ナノ力学の学理構築に寄与することを目指します。

中村 篤智

無機半導体材料の力学特性に及ぼす光環境効果のマルチスケール計測と機能開拓

研究者
中村 篤智

大阪大学
大学院基礎工学研究科
教授

研究概要

最近、光環境が無機半導体材料の延性や脆性に大きく影響することが発見され、注目されています。一方、半導体材料には大型の結晶を得られないものも多く、光環境が半導体の力学特性に及ぼす影響についての理解は未だ不十分となっています。そこで本研究では、ナノスケールまで対応可能な力学特性のマルチスケール計測手法を確立し、光環境が力学特性に及ぼす影響を系統的に評価するとともに、そのメカニズム解明を行います。

三輪 洋平

イオン架橋の動的特性制御によるポリマー材料の高機能化

研究者
三輪 洋平

岐阜大学
工学部
教授

研究概要

イオン成分を利用して適度な強度で架橋したイオン性エラストマーは、自己修復や強靭性、超延伸性など様々な機能を発現します。本研究では、この機能発現メカニズムを分子スケールから詳細に解明します。さらに、化学構造と分子スケールの運動性との関係を解析し、機能発現に最適な分子設計指針を確立します。また、イオン成分のCO2ガスによる可塑化特性を利用した高性能接着材料や自己修復性ポリマーガラスの開発に挑戦します。

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