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量子科学技術研究開発機構
量子生命科学領域
グループリーダー
量子計測とナノハイブリッド化学の融合により「コンポジット量子センサー」という新たなナノ量子センサーを創成します。これにより、従来法では計測困難だった多種多様な細胞内局所パラメーターを計測する技術を開発します。更に量子センサーをマウスなどの哺乳動物個体に応用するための新たな量子生体計測技術を開発し、動物個体内における胚発生、発癌、腫瘍形成、脳機能のマルチスケール・マルチモーダル定量計測を実現します。
大阪大学
先導的学際研究機構
特任准教授
本研究では、生体組織内の力学特性を「非接触」「非染色」「サブ細胞分解能」で計測できる新規技術の確立を狙います。音響フォノンによる非弾性散乱を計測原理として用い、新規測定法・解析法を開発して、組織内の弾性分布を可視化することを目指します。組織形成過程における力発生の計測など、メカノバイオロジーや再生医療分野への応用を出口として見据えています。
大阪府立大学
大学院理学系研究科
准教授
本研究では,量子情報技術で用いられる量子トモグラフィの測定・解析法を非線形分光測定に取り入れた新しい分光手法である「密度行列分光法」を提案・構築します。従来の分光技術では物質中の量子コヒーレンスについて部分的な情報しか得ることが出来ませんでしたが,密度行列を直接得ることにより物質の量子状態を定量的に評価することが可能になります。本手法を用いて光合成などの生命現象における量子性の秘密に迫ります。
北海道大学
大学院先端生命科学研究院
教授
これまでの蛋白質等生体高分子構造解析法では,水素原子(プロトンおよびヒドリドを含む)を直接みることはなかなかできませんでした。量子技術であるX線及び中性子結晶解析法を組み合わせると,正確に水素原子の位置を決定することができます。本研究では生体高分子に含まれるアミンに注目し,窒素原子と水素原子の相互作用をプローブとして,今まで顧みられなかった生体内化学反応を量子的に解明していきます。
大阪大学
大学院基礎工学研究科
助教
核スピンは人体内の高温、ウェットな環境でも長い量子コヒーレンスを持つことが可能です。そのような核スピンの量子もつれが人体内で自発的に生成されていれば、長いタイムスケールでの生命現象に量子力学的な効果がかかわっていることを示唆できます。本研究では近年提案された生体反応によって核スピンの量子もつれが生成されるという新現象を磁気共鳴を用いて実験的に検証し、量子生命分野に貢献します。
東京大学
大学院理学系研究科附属フォトンサイエンス研究機構
准教授
光の波長より小さな人工ナノ構造を用いた波長変換技術を活用し、超短パルスレーザーから生成される真空紫外領域のコヒーレント光を用いて円二色性を計測する技術を開発します。高い空間分解能と時間分解能を兼ね備えるというコヒーレント光の特性を活かした、真空紫外領域の電子遷移をプローブとする、新たな生体分子ラベルフリーイメージング技術や超高速ダイナミクス計測の実現を目指します。
東京工業大学
生命理工学院
講師
近年、生体内でも様々な量子現象が発見され、生命機能との関わりが議論されています。しかし、環境が不均一な上に揺らぎが激しい生理条件下で、どのように量子状態が保持され生体機能に寄与するのか、については謎が多く残されています。本研究では、量子状態の顕微分光法を確立し、その制御機構を明らかにします。さらに、生体反応への寄与を評価し、量子現象は生命にとって本当に意味があるのか?、という問いに答えを出します。
岡山大学
異分野基礎科学研究所
准教授
量子ビームの技術は機能する酵素のそのままの姿を高速ストロボ撮影することを可能にします。本研究では光合成膜タンパク質の反応を制御して量子ビームによる動的な結晶構造解析を行います。原子構造情報と金属イオンの価数やスピン情報をフェムト秒時間分解能で取得することを目指します。本研究により光合成膜タンパク質の触媒反応を従来の静止画ではなく、複合的な動的解析から理解する新しい構造生物学的な視点を開拓します。
東京大学
大学院医学系研究科
教授
本研究では、高速量子波面モジュレーション技術FASYを開発し、次世代のクライオ電子顕微鏡への道を拓きます。FASYは、これまでの「固定された」電子顕微鏡を、研究者と実験のニーズに適応できるダイナミックかつフレキシブルな光学システムとして再定義します。この技術を応用することで、タンパク質の原子構造を解明し、細胞の機能を研究するためのクライオ電子顕微鏡の性能を大幅に向上させます。
京都大学
大学院工学研究科
准教授
光合成の最初のステップは、初期電荷分離と呼ばれる電子移動反応です。植物は進化の過程で、この反応が起こりやすいようにタンパク質の構造を変遷させてきたと考えられていますが、その詳細は不明です。また近年、この反応でコヒーレンスと呼ばれる現象が観測されていますが、その現象が起きる理由や果たす役割もよく分かっていません。本研究では私が開発してきた独自の理論計算手法を用いてこれらを解明します。
九州大学
大学院工学研究院
准教授
MRIは現代医療において不可欠な技術ですが、感度が低いため観測対象は主に生体中に豊富に存在する水に限られます。室温における超高感度化を可能にする方法としてtriplet DNPが近年開発されましたが、固体結晶中の分子しか高感度化出来ないという問題がありました。そこで本研究では「超核偏極ナノ空間」という新概念に基づき、これまで困難であった室温・水中における生体分子の超高感度観測に挑戦します。
理化学研究所
開拓研究本部
研究員
植物やバクテリアの光捕集は超高速な時間スケールで生じるため、これらの現象を理解するには量子効果の視点が重要となります。本研究では、複数の大きな分子間のエネルギーのコヒーレントな重ね合わせ、環境の振動モードの量子コヒーレンスについて、それらを正確に表すモデルの開発を行います。そして、生物系の効率的な光捕集において最も重要となる量子効果の特徴を明らかにすることを目指します。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
研究員
生体内で繰り広げられるリガンド結合や酵素触媒反応を正確に理解する上で、水素原子(プロトン)の位置情報を含めた精密な分子挙動を明らかにすることは重要です。本研究では、中性子解析などで得られる3次元構造データを基に日本発の量子化学計算手法であるフラグメント分子軌道法を相乗的に融合発展させることで、生命現象をつかさどるタンパク質活性中心におけるプロトンの振る舞いを「量子構造生物学」によって解明します。