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- [量子生体] 平成29年度採択課題
科学技術振興機構
さきがけ研究者
NVセンタはスピン依存発光を持つ原子サイズのセンサーとして、観測対象にナノメートルの領域まで近づけることができる量子計測材料として注目されています。しかし、分子状態解析等NVセンタを用いた生体計測応用には感度の向上が最大の課題となっています。本研究ではNVセンタの形成技術と生体計測技術の開発を並行して行うことでNVセンタの感度を上昇させ、微小領域におけるNMR計測による分子状態解析を実現します。
東京大学
大学院理学系研究科
准教授
蛍光顕微鏡は生体試料の構成成分を色分けして可視化することができますが、試料にとって擾乱となる蛍光標識を用いるため、試料の真の状態を観測することはできません。一方で、蛍光標識を用いないラベルフリー顕微鏡は感度が悪いため、高濃度に凝集する成分しか観測できません。本研究では、高感度のラベルフリー顕微鏡を開発し、生体内に低濃度で存在する成分を、試料の真の状態を保ったまま観測することを可能にします。
京都大学
大学院工学研究科
准教授
本研究では、量子レベルで制御された光を用いる事によって、既存の顕微鏡の性能限界を打破する生体イメージング手法の開発を目指します。具体的には、量子光源の一種であるスクイーズド光と非線型光学顕微鏡の技術を融合することによって、低侵襲深部多光子顕微鏡を実現します。さらに、量子光源による多光子相互作用を利用した生体内のコヒーレントな量子現象の観測も視野に入れながら研究を進めます。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
酵素の酸化ストレス防御、渡り鳥の弱い地球磁場感知能力、嗅覚受容体の匂い物質識別能力などの生体機能では、蛋白質中でおこる未知の生体電子移動反応が、その微視的メカニズムに深く関わっていると考えられています。この研究では、最新の量子シミュレーション技術を用いて、未知の生体電子移動反応を探索・発見することで、まだ解明されていない生体機能発現メカニズムを量子科学的に理解することを目指します。
東京大学
大学院工学系研究科
特任准教授
PETやSPECT等の核医学イメージングでは原理的に多核種撮像、相互作用撮像は困難です。本研究では、多核種同時撮像や分子間相互作用の全身イメージングを目指して、多光子カスケードガンマ線の時間空間相関に基づく新たな多光子時間空間相関イメージング手法(Multi Photon Emission CT MPECT)の提案および生体内局所情報抽出手法の開拓を行います。
慶應義塾大学
医学部
准教授
本研究では多光子顕微鏡技術を駆使し、精神機能の鍵を握りながらこれまで観ることができなかった化学情報伝達物質を、生きた脳組織の中で可視化する技術の開発と応用を試みます。本研究の成果は脳や精神の働きや病気の理解に大きく貢献すると共に、これまで観ることができなかった分子を生体内で可視化する技術の創成により、生命科学領域における量子技術の飛躍的な展開とかつてない知見の獲得へと繋がるものと期待されます。
量子科学技術研究開発機構
量子生命科学領域
主幹研究員
タンパク質において水素原子や外殻電子は様々な化学反応に直接関与しており、そのふるまいからタンパク質の分子機能には量子トンネル効果が寄与していると考えられています。本研究では、中性子回折とX線回折の2種類の量子ビーム技術を相補的に利用した高分解能立体構造解析を行い、水素原子と外殻電子の情報を高精度で決定し、タンパク質が関与する化学反応における量子トンネル効果の構造基盤の解明を目指します。
横浜国立大学
大学院環境情報研究院
講師
反応性の高い化学物質をビーム源とすることで、試料表面で起こる化学反応により試料分子のイオン化を補助する、新しい量子ビームを開発します。この反応性量子ビームを分析プローブとして、高感度と高分解能を両立するイメージング質量分析装置を実装します。この反応性量子ビームを用いて、細胞内部で起こる代謝機構を始めとした一細胞内の生命現象を可視化することを目指します。
オーストラリア国立大学
コンピューターサイエンス学科
講師
本研究は圏論的基礎論を媒介とすることで量子物理・情報の論理と生命・認知の論理の邂逅を可能にし(デカルト的二元論で分離された)物理学(物質世界)と生命・認知科学(生命・心の世界)が共有する高次の構造的法則性を明らかにするものです。その原理的繋がりを利用して量子の知を生命・認知の世界へとトランスポートすることで生命・認知の根源的理解に資する洞察を得ると共に量子情報の生命・認知科学的な応用を考案します。
コネチカット大学
化学科
アシスタントプロフェッサー
本研究では、分子発光を低磁場で制御することで、新たな生命科学イメージング技術の創出を目指します。磁場強度に影響を受けるスピンシステム(ラジカル対)を経由する反応系を分子の光物理過程に導入し、分子発光(CT発光)を磁場制御できる磁場応答光プローブを開発します。モデル分子における磁場による発光性制御の確立と、新規分子を利用したイメージング法の原理実証の達成を目指します。
大阪大学
大学院工学研究科
講師
新時代の量子技術、X線自由電子レーザーを生体分子である金属酵素の計測に応用し、触媒反応中に刻々と移り変わる立体構造変化の全貌を常温無損傷状態で高精度に可視化することにより、その動的構造活性相関を完全解明することを目指します。本研究を通し、独自の時分割連続フェムト秒結晶構造解析の技術を開発して、酵素化学における新しい解析基盤を創出し、生命科学上の革新的な知見を与えるサイエンスを開拓し実証します。
慶應義塾大学
大学院理工学研究科
特任講師
タンパク質の内部を出入りする水分子は、タンパク質の機能に密接に関わっています。それら水分子の挙動には量子化学的な効果が大きな役割を果たします。しかし現在の分子シミュレーションにおいて、これら水分子の動的性質を量子化学的な効果を含めて解析することはできません。本研究では、溶媒の量子化学効果を取り込む分子シミュレーションの枠組みを構築します。そして実際にタンパク質の解析に応用し、その有用性の実証を目指します。