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- [微粒子] 平成29年度採択課題
広島大学
大学院医系科学研究科
教授
人の体を形作る細胞には『一次繊毛』と呼ばれるミクロの毛が生えています。この研究では、一次繊毛から切り離されて細胞の外に出された小さな粒子が体の中のどの臓器に向かうのか、肥満や老化など体の状態が変わった時に粒子の向かう先がどのように変わるのかなどを解明します。これらの研究で分かったことを元に、医療や工業で利用されることを目指して、粒子の中身を人工的に変えて粒子の向かう先を操る技術の開発に挑みます。
愛知県がんセンター研究所
腫瘍制御学分野
分野長
エクソソームは細胞間コミュニケーションを担うとされる分泌膜小胞です。疾患など細胞の状態変化に応じてエクソソームの分泌量や内包物は変化しますが、その仕組みは解明されていません。本研究ではエクソソームの新たな分析手法を確立し、その形成過程と内包分子の選別に関わる分子の探索及び機能解析を通じて、エクソソーム形成制御に関わる分子メカニズムとその生物学的意義を明らかにします。
東京大学
生産技術研究所
講師
本研究では、インデック配列を用いて数十万の単一エクソソームを標識することで、各エクソソーム内 RNAの網羅的解析を可能にする「単一エクソソームトランスクリプトーム解析法」の確立を目指します。
兵庫医科大学
免疫学講座
主任教授
身の回りに存在する様々な微粒子が免疫反応に影響を及ぼしています。最近話題になっている大気中の微粒子であるPM2.5などは免疫反応を増強することでアレルギー性炎症を悪化させると考えられています。しかしながらそのメカニズムに関しては明らかにされておりません。本研究では微粒子吸入により誘導されるアレルギー性炎症をモデルの一つとして、微粒子による免疫活性化のメカニズムを明らかにすることを目的としています。
東京大学
大学院医学系研究科
助教
細胞から分泌される小胞の一種であるエクソソームが、ドラッグデリバリーのキャリアとして注目されていますが、その動態の制御は満足に達成されていないのが現状です。本研究では、多数のエクソソームターゲティングシステムの機能性を生体内でハイスループットにアッセイする系を構築し、エクソソームの体内動態を精緻に制御する新たな方法論を開拓することを目指します。
東京大学
大学院薬学系研究科
特任助教
本研究は、遠隔に位置する細胞間での情報伝達を媒介すると考えられているエクソソームなどの内因性細胞外微粒子について、その生成・放出過程と細胞間伝播の現場を1細胞の解像度で実時間で観察することを目指します。本研究がもたらす技術および成果は、エクソソームを初めとする様々な内因性微粒子に応用する ことで、これまで詳細な動態が掴めていないために混沌としている内因性微粒子の分類や作用機序を明らかにします。
(公財)がん研究会
がん研究所
プロジェクトリーダー
本研究は、老化細胞で細胞質に蓄積しエクソソームによって細胞外へと分泌される遊離核酸断片が細胞質センサーを介してSASP(Senescence-associated secretory phenotype)誘導に働く生理的機能と生体応答機序を解析することで、細胞外微粒子の生体機能と個体老化や加齢性疾患との関わりを明らかにし、それらの病態を制御する方法を開発することを目指します。
近畿大学
ライフサイエンス研究所
特任講師
タンパク質の凝集は、認知症や糖尿病など様々な病気の原因となります。生体がタンパク質凝集を防ぐ仕組みを理解することは、基礎科学的にも将来の医療応用においても重要な課題です。本研究では、細胞外小胞の分泌・伝播を介し、生体がタンパク質凝集を防ぐ仕組みを明らかにするとともに、細胞外小胞の生体恒常性における役割を明らかにします。これにより、神経変性疾患・認知症の診断・治療法開発に有用な基礎知見を提供します。
立命館大学
薬学部
教授
シリカ、アスベストやカーボンナノチューブといった粒子状物質は、生体内でマクロファージに取り込まれ、そのマクロファージ炎症応答が引き金となって、肺癌や悪性中皮腫といった重篤な疾患を引き起こします。しかしながらマクロファージがどのように粒子状物質を認識しているのかは不明です。本研究では、そのマクロファージ認識機構を解明し、粒子が引き起こす疾患の病態分子機構を明らかにすることを目指します。
熊本大学
大学院生命科学研究部
教授
がん細胞から分泌される細胞外小胞は、宿主のがんに対する免疫応答を変化させ、がんの進行に関わることが近年注目されています。本研究においては、宿主の免疫応答を活性化しうる細胞外小胞に焦点をあて、その生成メカニズムや内包する構成分子の特性、および生体内における作用機序を明らかにすることで、細胞外小胞を利用したがん免疫療法のコンセプトを創出し、新しいがん治療法の開発をめざします。
熊本大学
大学院先導機構
独立准教授
私達は、受容体型チロシンキナーゼであるROR1が、カベオラ形成を安定化させ、EGFR等の様々な受容体が伝達する肺腺癌の生存シグナル維持に関与することを見出しました。本研究では、これまでに得た結果を含む最新かつ詳細な知見を発展させるべく、カベオラ制御分子として新たに見出したROR1を基軸に内因性微粒子の生理機能と「がん」との関連性を明らかにし、内因性微粒子の複雑性とその破綻機構の解明を目指します。
九州大学
先導物質化学研究所
助教
本研究では、液中に浮遊している微粒子の「形状情報」と「組成情報」を同時に計測する革新的1粒子解析技術の開発をねらいとしています。生体微粒子において、「形状」と「組成」の相関性を解明することは、その微粒子の機能解明へと繋がります。本研究では、がん転移の指向性などに関わっているとされているエクソソームの「形状」と「組成」の相関性を明らかにし、構造的な観点からエクソソームの機能解析を目指します。