スピンは電子の自転的な性質で、ミクロな回転と見なすことができます。この回転を利用し、物体のマクロな機械運動を引き起こすことはできないのでしょうか。 本研究では磁性体で作製したマイクロデバイスにスピン流を注入することで、物体を振動させることに成功しました。
Detailsスピントロニクスは、電子の自転的な性質であるスピンをも利用しようとする技術です。しかし、物質中にはスピンを持った粒子が電子以外にもあります。それは原子核です。 本研究では、電子スピンのみならず、核スピンをも利用してスピン流を作れるということを示しました。
Details環境発電とは、身の回りにある様々な“揺らぎ“から、使える電力を取り出す技術で、この揺らぐエネルギーから電力を得るためには、一般に整流効果と呼ばれる現象が必要となります。 本研究では超伝導体渦糸を利用した新たな整流機能を実証しました。
Details電子の内部自由度であるスピンは、スピントロニクスの勃興によって、大きな注目を集めてきました。この神秘的な電子の”回転”は、情報の担い手として、スピントロニクスの主役でした。しかし、それだけではありませんでした。我々は、スピンが揺らぎを整流し、仕事に変える能力を持ちうることを実証してきました。スピンが”時間反転対称性を破る”ことで生じるこの驚くべき可能性を追求し、新たなスピン科学の学理としての体系化を目指します。
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スピンは電子の自転的な性質で、ミクロな回転と見なすことができます。この回転を利用し、物体のマクロな機械運動を引き起こすことはできないのでしょうか。
本研究では磁性体で作製したマイクロデバイスにスピン流を注入することで、物体を振動させることに成功しました。
スピントロニクスは、電子の自転的な性質であるスピンをも利用しようとする技術です。しかし、物質中にはスピンを持った粒子が電子以外にもあります。それは原子核です。
本研究では、電子スピンのみならず、核スピンをも利用してスピン流を作れるということを示しました。
環境発電とは、身の回りにある様々な“揺らぎ“から、使える電力を取り出す技術で、この揺らぐエネルギーから電力を得るためには、一般に整流効果と呼ばれる現象が必要となります。
本研究では超伝導体渦糸を利用した新たな整流機能を実証しました。
スピンペルチェ効果による物質中の温度変化を可視化することに世界で初めて成功しました。熱は物質中を伝播し拡散していく、というのが従来の熱現象ですが、今回スピンペルチェ効果によって生じる温度変化は周囲には広がらず、局所的に生じるということが明らかにしました。
ブラックホールは光さえも抜け出すことのできないほど、質量が大きくかつ高密度で強大な重力を持つ天体であることが知られています。この天体を理解するには、重力を記述する一般相対性理論と、素粒子を記述する量子場の理論とを併用することが必要不可欠です。近年、一般相対性理論と量子場の理論を統合してブラックホールを理解しようとする試みは、超弦理論を使って大きな進歩を遂げています。その取り組みから現れたホログラフィック原理は、ブラックホールを理解するだけでなく、様々な物理系への応用が始められています。今回の研究では、この理論を用いて、磁性体の物理量を計算する手法を開発することに成功しました。
スピンゼーベック効果はスピン流を介し、熱を電気エネルギーに変換する現象であり、それを発現する素子の構造が単純なことから、次世代の熱電変換法として期待されています。従来、スピンゼーベック効果の性能向上は、磁性体中のスピン流の担い手であるスピン波・マグノンの性質向上が主な研究対象で、素子を多層化することなどによってスピン波の伝搬距離をのばすことで、スピンゼーベック効果の出力向上に貢献してきました。 しかし新たな研究指針として、物質中の音波がスピンゼーベック効果の出力向上に寄与する可能性をあることが今回の研究で明らかとなりました。
スピン流とは物質中の磁気の流れことで、電流に似た働きをすることが確認されています。従来スピン流はその性質から金属や磁石を中心に研究がおこなわれてきました。しかし今回、通常の金属や磁石の状態とは異なる、「スピン液体」と呼ばれる状態において、従来とは全く違うタイプのスピン流が存在することが明らかとなりました。新しいスピン流は、「スピノン」と呼ばれる特殊な状態で運ばれており、理論的には従来の限界を打ち破るほど長距離でスピン流を伝えることができます。また、スピン液体状態を利用すれば、その性質から原子スケールまでサイズダウンすることができ、これを利用して極めて小さな回路を作ることが可能であると期待されます。
スピン流は電子の自転に由来する磁石の性質を指し、電流と対比され次世代技術スピントロニクス注1)の基礎現象として注目されています。
さて、電流の流れ易さ(電気伝導度)を調べることで、物質の性質を金属、半導体、絶縁体と分類することができます。では、スピン流の流れ易さ(スピン伝導度)を調べることで、物質の性質を分類することはできないのでしょうか。
今回、そのスピン流を用いて物質の磁石がもつ性質である、磁性を観測することができることを明らかになりました。
例えば鉄・コバルトなどの金属は磁石を近づけると、自身も磁石の性質をもつことができます。しかし金などもともと磁石にくっつかない金属は、たとえ磁石を近づけてもそれ自身が磁石になることはない、そう考えられてきました。しかし今回、そこに熱を流すことによって金が磁石の性質を示す、という現象を世界で初めて観測しました。
電気エネルギーを取り出すと聞くとタービンやの大型の発電設備が必要と思うかもしれません。しかし今回、液体金属を細い管に流す、それだけで電気エネルギーが取り出せるという現象を発見しました。
当プロジェクトでは、プロジェクトのテーマや成果をより多くの方に知っていただくために、
幅広い層を対象とした対外活動を行っています。
Spin colossal magnetoresistance in an antiferromagnetic insulator Z Qiu, D Hou, J Barker, K Yamamoto, O Gomonay and E Saitoh, Nature Materials 17, 577 (2018)
Observation of anisotropic magneto-Peltier effect in nickel K. Uchida, S. Daimon, R. Iguchi and E. Saitoh, Nature 558, 95-99 (2018)
All-optical observation and reconstruction of spin wave dispersion
Yusuke Hashimoto, Shunsuke Daimon, Ryo Iguchi, Yasuyuki Oikawa, Ka Shen, Koji Sato, Davide Bossini, Yutaka Tabuchi, Takuya Satoh, Burkard Hillebrands, Gerrit E.W.Bauer, Tom H.Johansen, Andrei Kirilyuk, Theo Rasing, & Eiji Saitoh
Nature Communications 8 (2017)
comming soon.
TAMT2017 (Taiwan) "How to create and use spin current ?" (齊藤英治総括 基調講演)
「固体の素励起とスピン流」日本物理学会2018年秋季大会 新学術領域研究(研究領域提案型)
「ナノスピン変換科学」共催シンポジウム ナノスピン変換から強結合スピントロニクスへ(京都)
2018 Spin Caloritronics IX(Ohio, USA) "Phonon and nuclear spin in spin current physics"
Spin Cavitronics(Mainz, Germany) "YIG Spintronics"