IoE社会のエネルギーシステム 研究開発項目:A「IoE社会のエネルギーシステムのデザイン」

研究開発項目:A
「IoE社会のエネルギーシステムのデザイン」

  • 担当サブPD
    浅野 浩志
    東海国立大学機構 岐阜大学
    特任教授
    (一財)電力中央研究所
    研究アドバイザー
    東京工業大学 特任教授

  • イノベーション戦略コーディネーター
    塩沢 文朗
    元 住友化学株式会社

研究開発の背景・目標

再生可能エネルギーが主力エネルギー源となるIoE社会では、IoTによりあらゆるエネルギー機器や電源の状態監視やリアルタイム制御が可能になるため、エネルギー関連の機器や設備をネットワーク化し、エネルギーシステムとして統括的に捉え、システム全体として最適化を図る取組が求められます。また、運輸部門の電動化、自動運転が進み、交通部門とエネルギー部門の部門統合(セクターカップリング)が大きなテーマになりつつあります。
テーマ(A)ではエネルギーマネジメント研究会を中心に、エネルギーマネジメントを効果的に行うためのボトルネック課題を特定し、テーマ(B)、(C)の新技術実装により高性能のパワーエレクトロニクス機器普及による再生可能エネルギーの一層の利用促進効果等を明らかにします。そして、各種エネルギー変換・貯蔵・輸送技術を含むエネルギーネットワークと交通マネジメントのセクターカップリングを含むIoE社会のエネルギーシステムのデザインに取り組みます。
加えて、エネルギー消費、再エネの導入可能性に係る地域特性に応じた社会実装可能な地域エネルギーシステムのデザイン/実証を行い、今後、地域のエネルギーシステム設計の担い手となる地方自治体、あるいは地域での新たなエネルギーシステムの構築に参加する民間事業者向けに、幾つかのモデル地域における設計例を含めた、地域エネルギーシステムをデザインするためのガイドラインを作成します。

交通とエネルギー分野のセクターカップリングのイメージ

A-① エネルギーマネジメント研究会

エネルギーマネジメント技術はホームエネルギー管理システム(HEMS)、ビルエネルギー管理システム(BEMS)等の個別事業所のエネルギーマネジメントから、スマートコミュニティ(環境配慮型都市)事業、仮想発電所(VPP)事業等のような点から面までのエネルギーマネジメントを実現する事業(実証事業が中心)が行われてきています。本研究会では、より高度なエネルギーマネジメントシステムによる脱炭素化効果やレジリエンス強化などの社会的便益を評価するとともにエネルギーマネジメントやセクターカップリングを効果的に行うためのアーキテクチャのあり方を検討します。

A-② 再生可能エネルギー主力電源化に向けた革新的エネルギーデバイスの便益評価

本研究では、エネルギーマネジメントシステムを構成するエネルギー供給システム全体に革新的なパワーエレクトロニクス(PE)技術を適用することで得られる技術的な便益(電力損失の削減、電力品質の向上など)や経済的な便益(社会コスト削減効果など)を定量的に明らかにします。これにより、社会実装に向けた指針が明確になり、さらなる技術進展の速度を向上させることに寄与します。

A-③ 地域エネルギーシステムデザインのガイドラインの策定

本研究では、地域のエネルギーシステムデザインの担い手となる地方公共団体向けに、地域のエネルギー需給の実態を反映するデータの推計方法を開発するとともに、全国の市区町村別の地域エネルギー需給データベースを作成し、公開します。
また、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの特性である、時間の間欠性や空間の遍在性などの課題に対応するため、クロスセクター(電力・熱・燃料等のキャリア間融通や家庭・業務・産業・運輸等の部門間連携)、クロスボーダー(地域間の広域連携)の考え方を適用した地域エネルギーシステムモデルを開発します。
これらのセクターカップリング等の考え方をふまえて、モデル地域における地域エネルギーシステムの設計例を含めた、地域エネルギーシステムをデザインするためのガイドラインの作成や、電力・交通データ連携型のエネルギーマネジメントを行うためのプラットフォーム設計指針を構築し、地方公共団体によるサスティナブルシティやスマートシティの社会実装に貢献します。