(C) 革新的炭素資源高度利用技術

サブプログラムディレクター(SPD)

瀬戸山 亨 三菱ケミカル株式会社 執行役員・フェロー/横浜研究所 瀬戸山研究室 室長

研究内容

CO2排出単位の低いメタン等の炭素資源を高度利用するため、①従来のメタン改質よりCO2排出量を削減するメタン酸化的低温改質プロセス技術の開発、②従来の酸素製造法より消費エネルギーを削減する安価な酸素製造技術(空気分離装置)の開発、③蒸溜法を代替する混合生成の膜分離・精製技術の開発、④ライフサイクルアセスメント(LCA)を考慮に入れたCO2排出量の評価手法の開発を実施。

目標/出口戦略

SIP事業期間内に社会実装に向けた取組として、本プロジェクト内で開発された材料を用いて、民間事業者のパイロット設備での実証を行う等、研究開発段階から社会実装を最短で実現する研究開発体制を構築するとともに、化学工業、製鉄業等の幅広い産業セクタ-・市場への実装を視野に入れた研究開発を実施し、参画企業が事業終了後の実用化につなげる。

イメージ図
LCA優先(低CO2排出)志向の原料/プロセス転換・熱 management

C-①平衡制約脱却を目指した低温部分酸化型CH4改質プロセスの開発

本研究開発では、千代田化工建設で開発された高生産性(超高線速=106hr-1)と高安定性(850℃、1MPa、1000時間でCH4転化率~80%、合成ガス選択率>90%を維持)とが確認されている酸化的改質触媒、三菱ケミカルで開発されたCO2共存下で750℃という比較的低温で作動する酸素吸蔵能を有する複合酸化物担体を用いた金属担持改質触媒、北海道大学で開発された金属担持強酸性ゼオライト触媒並びに東京工業大学で開発されたメタンからのメタノール合成用ゼオライト触媒の知見をベースに低温活性な酸化的メタン改質触媒プロセスを開発する。

21世紀のメタン部分酸化改質プロセス

C-②高速酸素吸脱着材料による革新的排熱利用酸素製造装置の開発

各種産業セクターにおける多量の酸素ガスのニーズに対し、酸素吸脱着材料を用いた酸素製造技術が注目されている。本研究では、低コストと性能を両立した新規材料、対象材料のスケールアップ製造法、最適なPSAプロセス、熱源としての排熱回収技術を開発する。これらの新規技術に基づき、テストモジュール設計・製造、パイロット運転を行い、現行法比で大幅なエネルギー消費量低減を見込める排熱利用酸素製造装置を開発する。

イメージ図

C-③オレフィン分離精製用ゼオライト膜の性能実証と分離プロセスの構築

ゼオライト分離膜を利用した革新的省エネルギー型C2-C4オレフィン精製プロセスの確立を目指し、ラボスケール膜、および工業スケール膜のプロピレン精製性能を実証する。C2、C3、C4オレフィンの精製技術に対して、実プロセス中不純物の処理を含めた精製プロセス基本設計を行い、その省エネ性を明らかにし、パイロットスケール実証への道を拓く。

イメージ図

C-④プロセスシステム設計とLCAの統合によるCO2排出量の評価

CO2排出量削減を目的とした化学品製造プロセス技術が数多く提案されているが、真のCO2削減につなげるためには、CO2排出量を正しく評価する必要がある。本研究では、化学プロセスの設計段階からライフサイクルアセスメント(以下、LCA)の概念を取り入れることで、プロセスシステム設計とLCAを統合したCO2排出量の新規評価手法を開発する。LCAは、原料調達―運搬―生産―流通―使用・廃棄までの間に製品が環境に与える影響を定量的に評価する手法である。本研究では、化学品製造コストや消費エネルギーなどの制約のある中で、CO2排出量を最小化する化学プロセスを設計・提案し、工場や地域レベルでのCO2排出量を総合的に評価し、化学品製造における最適な炭素資源高度利用につなげることを目指す。

イメージ図