統合型材料開発システムによるマテリアル革命

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プログラムディレクター(PD)

  • プログラムディレクター(PD)三島 良直

    プログラムディレクター(PD)
    三島 良直
    東京工業大学 名誉教授・前学長

  • サブPD(サブプログラムディレクター)毛利 哲夫

    サブプログラムディレクター(サブPD)
    毛利 哲夫
    東北大学 金属材料研究所 特任教授

PDの挨拶

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔機能を発揮し、科学技術イノベーションを実現するものとして2014年に創設されました。第1期(5年)は府省・分野横断型プログラムとして、基礎研究から実用化・事業化までを見据えた11の課題が実施されました。2018年度よりSIP第2期として新たに12の課題が採択され、「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」がその1つです。

この課題においては、我が国で開発してきたマテリアルズインテグレーション(MI)の技術基盤を生かし、欲しい性能から材料・プロセスをデザインする逆問題MIに対応した統合型材料開発システムを世界に先駆けて開発します。高い国際競争力が要求される革新的CFRPや粉末・3D積層材料を対象とし、既存の材料データベースの活用はもとより、新たなプロセス・評価技術に対応したデータベースの構築を図り、材料科学・工学と情報工学を融合した逆問題MIを援用して社会実装に向けた開発期間・開発費用を低減するマテリアル革命に取り組みます。

本課題では産学官44機関(企業18、大学22、公的(非営利)機関4)の参画による3領域の13チームが一丸となって取り組みます。日々の研究開発に役立つ「逆問題MI」を開発して先端構造材料設計とその製造プロセスで有効性を実証し、これらを産業用発電プラントや航空機機体・エンジン等関連企業の研究開発現場への実装を目指します。本課題の研究開発成果が日本の素材産業のさらなる国際競争力強化に貢献するよう、全力を尽くすつもりです。関連する省庁をはじめ、皆様のご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

2019年9月

研究開発内容

研究開発の背景・目的

人工知能(AI)を駆使した材料開発手法の刷新に向けて、諸外国で研究開発投資が活発に行われ、ものづくりが大変革期を迎えています。日本においても、材料産業が維持してきた高い国際競争力をさらに強化すべく、マテリアルズインテグレーション(MI)を提唱し、SIP第1期「革新的構造材料」では、産学官連携のもと、MIシステムの開発に取り組みました。

MIとは、計算科学・理論・実験などを融合した材料工学手法およびデータ科学を活用して、計算機上で材料の諸事象をバーチャルに再現することで、材料開発の時間短縮・コスト低減を主目的としています。SIP第1期では、構造材料の4要素、すなわちプロセス・構造・特性・性能に関する複数の計算モジュールを一気通貫になるよう自動接続して、疲労・クリープ寿命などを導出するMIシステムver.1.0を開発しました。

SIP第2期「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」では、MIシステムver.1.0を発展させ、欲しい性能から必要な材料の構造・プロセスを提案するMIシステムの実現を目指しています。

情報工学を活用した逆問題MIの解法の事例

本プロジェクトで利用する技術の一つが逐次最適化手法です。これは、順方向の計算(実験)結果をもとに、目的変数を最大化/最小化する次の「打ち手」(制御因子)を決定する方法で、資源探索、潜水艦探索等々で活用されています。計算回数が少ないほど効率が高いことになります。併せて、局所解を避ける工夫も様々に施されています。

右図はベイズ最適化法の例です。これは資源探索のために開発された手法で、それまでの結果をもとに統計モデルを構築し、その平均と分散から最適と考えられる次の制御因子を導き出します。他にも遺伝的アルゴリズム、モンテカルロ木探索などの方法があります。

開発しようとするMIシステムでは、要求性能(出力)を達成するまで、プロセス・構造条件(入力)を変えて順方向計算を繰り返します。この時システム内部では、この最適化手法により、1回計算が終わるたびに次の入力が自動的に決定されます。

MIシステムの社会実装 : 最先端構造材料開発への適用

我々が目指すMIシステムの社会実装は次のとおりです。
 ①MIシステムが企業の研究開発に利用される
 ②企業がMIシステムを用いて開発した製品・技術が実用化・事業化される

本プロジェクトでMIシステムが扱う対象は、最先端構造材料・プロセスです。構造材料を選択した主な理由は、その使用期間は長いものでは数十年にもなり、それに対応して開発にも多大な時間・コストを要するからです。さらに構造材料の永遠の開発課題と言える高比強度と耐熱性を取り上げ、それらが特に要求される航空機・エネルギー産業のための材料開発に取り組んでいます。

MIの適応対象:構造材料(活用事例と使用期間)

研究開発計画

統合型材料開発システムによるマテリアル革命研究開発計画(PDF:727KB 内閣府のサイト)

研究開発項目

3つの領域で13テーマの研究開発を実施しています。

研究開発体制

研究開発全体像(領域・チーム構成)

研究開発体制は、A領域(5チーム):先端的構造材料・プロセスに対応した逆問題MI基盤の構築(逆問題MI基盤)、B領域(3チーム):逆問題MIの実構造材料への適用(CFRP)、C領域(5チーム):逆問題MIの実構造材料への適用(粉末・3D積層)の3領域、13チームから構成されます。A領域は、計算モジュール、データベース、ワークフロー、逆問題解法など、MIシステムの基盤技術開発および先端材料・プロセスへの展開を行います。B領域、C領域は、いわば潜在的ユーザーとして、A領域で開発された技術を実際の材料・プロセス開発に用いて、その有効性を実証します。研究開発の全体像を以下に記載します。

過去情報等(公募ほか)

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