統合型材料開発システムによるマテリアル革命

新着情報

  • 2022年3月22日 トピックス マテリアル革命

    B領域の東北大学とNECが、スーパーコンピュータを活用したマテリアルズインテグレーションシステム CoSMICによる航空機用複合材料開発シミュレーションのサービス提供開始をプレスリリースしました(2022年3月18日)。

    NECプレスリリース
    東北大学プレスリリース

  • 2022年3月18日 トピックス マテリアル革命

    C2チームの物質・材料研究機構 佐々木泰祐 主幹研究員が、(公社) 日本金属学会 功績賞を受賞(2022年3月15日)。
    受賞対象は「マルチスケール組織解析による金属材料の高特性化に関する研究」で、本SIPのC2チーム「高性能化のためのNi粉末鍛造プロセスの開発」でもマルチスケール組織解析による粉末冶金Ni基超合金の組織形成過程の解析に取り組み、今後の更なる展開が期待されています。

    日本金属学会 表彰のページ

  • 2022年3月18日 トピックス マテリアル革命

    毛利哲夫 サブプログラムディレクターが、(公社) 日本金属学会 第67回日本金属学会賞を受賞(2022年3月15日)。
    日本金属学会2022年春期(第170回)講演大会にて「材料数理学としてのクラスター変分法」の演題で受賞記念講演を行いました。受賞にあたっては、マルチスケールの視点に基づく相平衡・相転移の学理の発展と、材料数理学の構築に対する貢献が高く評価されました。また、1期SIP研究者及び本SIPのサブPDとして、素材産業のさらなる国際競争力強化への貢献もあげられています。

    日本金属学会 表彰のページ

プログラムディレクター(PD)

  • プログラムディレクター(PD)三島 良直

    プログラムディレクター(PD)
    三島 良直
    日本医療研究開発機構 理事長
    東京工業大学 名誉教授・前学長

  • サブPD(サブプログラムディレクター)毛利 哲夫

    サブプログラムディレクター(サブPD)
    毛利 哲夫
    北海道大学 名誉教授

PDの挨拶

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)* 第2期「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」は2018年度にスタートし、現在、後半に入っています。素材関連産業のさらなるグローバル競争力強化のために、材料工学手法に実験及び理論計算に基づいたデータ科学を活用して、計算機上でプロセス・組織・特性・性能をつないで材料開発を加速する統合型材料開発システム、すなわちマテリアルズインテグレーション(MI)システムを世界に先駆けて開発してきました。構造用金属材料向けのMIntとCFRP向けのCoSMICと2つを柱とし、さらに金属間化合物、セラミックス基複合材料という次世代材料にも対応するMIシステムも構築中です。これらには逆問題解析手法も導入して、欲しい性能から材料・プロセスをデザインする機能も備えています。

私たちは、MIシステムが企業や大学・国研の研究開発で有効活用され材料開発が加速することを、社会実装の目標としています。そのために、SIPに参画していない研究開発機関の皆様にも利用していただけるよう、コンソーシアムなどを設立しました。MIシステムを活用して開発された製品・技術が実用化・事業化されることを願い、これからも研究開発に邁進します。皆様のご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。

2021年9月

* SIP(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)とは、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより、科学技術イノベーション実現のために創設した国家プロジェクトです。詳細は内閣府SIP HPをご覧ください。

研究開発内容

マテリアルズインテグレーション(MI)システム

マテリアルズインテグレーション(MI)システムとは、材料工学手法に実験及び理論計算に基づいたデータ科学を活用して、計算機上でプロセス・組織・特性・性能をつないで材料開発を加速する統合型材料開発システムであり、計算機上で材料の諸事象をバーチャルに再現することで、材料開発の時間短縮・コスト低減を主目的としています。
ここで扱う対象は、最先端構造材料・プロセスです。構造材料を選択した主な理由は、その使用期間は長いものでは数十年にもなり、それに対応して開発にも多大な時間・コストを要し、MIシステムによる開発の効果が期待できるからです。

研究開発の体制は、逆問題MI基盤を構築するA領域(A1~A5チーム)とCFRP材料開発に取り組むB領域(B1~B3チーム)、及び、粉末・3D積層造形に取り組むC領域(C1,C2,C4,C5)の3領域、12チームです(合計44機関)。
B,C領域はA領域に実験データをフィードバックしながらA領域で構築されたシステムを実際の材料・プロセスに適用し、その有効性を検証していきます。

MInt(Materials Integration by network technology)の概要

構造用金属材料を対象としたサイバーシステムMIntは、物質・材料研究機構(NIMS)を拠点として開発が進められています。MInt上でモジュールと呼ばれる計算ツールを接続してワークフローを構成することで、プロセスから構造、特性、性能まで一気通貫に予測できます。一例では、半月かかる実験を、サイバー空間では半日に短縮できます。さらに、最適化手法と組み合わせることで、欲しい性能から最適なプロセスや構造を提案することも可能となります。

MIntは分散計算の仕組みを備えており、各企業が持っている秘匿性の高いデータを用いた計算は企業内の安全な計算環境で実行し、得られた結果のみをやり取りすることで、秘匿性を確保しながら、ワークフロー計算を完遂できます。また、インターネットを通じた遠方からの利用、音声や動画によるマルチメディア方式のチュートリアルの提供など、使いやすいシステムを目指しています。

マテリアルズインテグレーションコンソーシアム(MIコンソ)の概要

MIntを社会に役立てていくために、産学官連携組織「マテリアルズインテグレーションコンソーシアム(MIコンソ)」を設立しました。MIコンソの運営はNIMSが担っています。MIntを基盤として、産学官の共同研究により、材料イノベーションを促進していきます。同時に、共同研究から生まれた最新のモジュールなどを還元することでMIntを常に最新の材料研究成果が反映されたものとし、これを利用する産学官の研究開発力の向上を図っていきます。

CoSMIC(Comprehensive System for Materials Integration of CFRP)の概要

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を取り扱うMIシステムとして、CoSMICの開発が東北大学を中心に進められています。これまでに航空機構造用のCFRP設計をターゲットとした12個のモジュールを開発してきており、原子・分子スケールから機体構造までのマルチフィジックス/マルチスケールシミュレーションが可能です。今後はユーザーニーズの高まりに応え、航空機産業以外の製品開発を支援するためのモジュール開発も進めていきます。

ユーザーはリモートでシステムにアクセスでき、東北大学に設置されたスーパーコンピューターを利用して大規模な高速計算が可能です。システムを取り扱うユーザーインターフェースにGUIを搭載し、マニュアルと合わせてユーザーフレンドリーな使いやすさとなっています。

CoSMIC利用促進委員会の概要

MIntと同様に、CoSMICでも東北大学にコンソーシアムを設立して、多くの企業からの利活用を計画しています。まず、コンソーシアム設立の準備段階として、2020年にCoSMIC利用促進委員会を立ち上げました。ここではSIPに参画していない企業も含めた、コンソーシアム参画予定の企業に向けてCoSMICの利用方法についての説明や、コンソーシアムの運営方法・会則についての議論を実施しています。

研究開発計画

統合型材料開発システムによるマテリアル革命研究開発計画(PDF:727KB 内閣府のサイト)

研究開発項目・テーマ

3つの領域で12テーマの研究開発を実施しています。

研究開発体制

研究開発全体像(領域・チーム構成)

研究開発体制は、A領域(5チーム):先端的構造材料・プロセスに対応した逆問題MI基盤の構築(逆問題MI基盤)、B領域(3チーム):逆問題MIの実構造材料への適用(CFRP)、C領域(4チーム):逆問題MIの実構造材料への適用(粉末・3D積層)の3領域、12チームから構成されます。A領域は、計算モジュール、データベース、ワークフロー、逆問題解法など、MIシステムの基盤技術開発および先端材料・プロセスへの展開を行います。B領域、C領域は、いわば潜在的ユーザーとして、A領域で開発された技術を実際の材料・プロセス開発に用いて、その有効性を実証します。研究開発の全体像を以下に記載します。