Local Democracy and Development:
The Kerala People's Campaign for Decentralized Planning
T.M. Thomas Isaac Richard W. Franke
Rowman & Littlefield Publishers, Inc. 2002年
「科学コミュニケーション」と言ったとき、一般に日本で参考にされているのはデンマークやイギリスの例である。しかし、科学的な決定とデモクラシーの関係を考えるならば、その最高の成功例は実はインド南端に位置するケララ州にある。同州の科学者団体KSSPは1962年に設立され、当初はソ連の科学啓蒙の翻訳を中心に活動する団体であったが、徐々に持続的開発に方針を転換し、1996年には州政府と協力して250万人以上が参加した(恐らく世界最大の)参加型会議を開催している。本書は、そのときの記録である。本事例は、科学と民主制の関係、環境と開発をどう両立させるかといったことを考える上で貴重な事例を提供してくれる。
(春日 匠:大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 招聘研究員)