政治と複数性 民主的な公共性にむけて
齋藤純一
岩波書店 2008年
人びとにはさまざまな立場があり、利益があり、意見がある。遺伝子組換え作物の問題しかり、自然保護の問題しかり。百家争鳴、諸説紛々。そんな時、意見の異なる者同士の議論が大切であることは、誰もが認めるだろう。しかし、いかに異なる他者と討議することができるのだろうか。意見と意見の交換から排除されている人はいないだろうか、それぞれの意見はきちんと聴かれているのだろうか。本書は現実の問題に深く立脚した上で理論的な議論を展開しており、問題を考える際に重要なポイントを数多く読み取ることができるだろう。
(平川全機:北海道大学大学院農学研究員 学術研究員)