社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RIXTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

プロジェクト
2021年度採択

すべての子どもの社会的孤立・孤独・排除を予防する学校を中心としたシステムの開発

写真:>山野 則子

研究代表者:山野 則子

大阪公立大学 大学院現代システム科学研究科 教授

子どもの孤立・孤独・排除、AIを活用したスクリーニングシステム(YOSS)、プロセスモデル設計、人材養成講座、ネットワーク構築

研究開発期間:2021年11月~2026年3月

researchmap

プロジェクト概要

子どもの社会的孤立・孤独の背景にある3つの問題

子どもの社会的孤立・孤独が生じる背景として、以下3点が挙げられます。第1に、子ども自身は問題について声をあげられず、周囲に気づいてもらえないという背景です。第2に、学校組織が教師の抱え込みを生むという背景です。教師は、子どもに関する情報共有は行いますが、日々の仕事が多忙なうえ、子どもをつなぐ先や方法がわからないがゆえに、情報を抱え込む傾向にあります。第3に、支援の必要な子どもが提供側から認識されず支援が届かない、という背景です。個人情報保護を理由に、教師は子どもを必要な地域資源につなぐことが難しいのです。また、地域資源活動は積極的に展開されているものの、アウトリーチをすることが困難で、支援を本当に必要としている子どもには、支援が届けられにくいのが現状です。

学校でのYOSS活用によって、子どもの見えない貧困やストレスの把握、教師の抱え込みの防止、地域資源の活用を実現する

本プロジェクトでは、遅刻、学校健康診断による治療勧奨への無反応等、子どもの問題が虐待や非行などとして顕在化する前の早期段階でピックアップし、大まかな支援の方向性を提示することが可能なAIを活用したスクリーニングシステムであるYOSS (Yamano Osaka Screening System) の開発を進めます。また、現場の教職員に向けた映像コンテンツ等を作成し、スクリーニングについての理解を促進します。さらに本プロジェクトでは、YOSSによる子どもの課題把握や支援策を検討するシステムを確立することを掲げています。具体的には、YOSSに記載されている子どもの課題についての項目のうち、どんなチェック項目があると支援や対応を考えた方がいいか明確化します。また、チェックがつけられる項目のなかでも、実際の支援につながりづらい項目は何かを検討する介入評価を行い、子どもの社会的孤立・孤独、社会的排除につながりやすい課題を可視化する評価手法を確定します。これを教育委員会や学校に導入していくことで評価文化を教育分野に投入します。そして、子どもの支援において地域資源を活用できるよう、各ステークホルダー間のネットワーク構築の準備を行い、子ども中心につながることが可能になるゆるやかな温かい地域づくりの第一歩となるよう進めます。

山野プロジェクト概要図

Q&A

社会的孤立・孤独の一次予防のために、本プロジェクトが目指す社会像についてもう少し教えてください。
本プロジェクトでは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、すべての子どもが関与する学校という場において、教師個人の経験や勘に頼るのではなく、データに基づいて、子どもたちの潜在的な課題を発見し支援につなぐシステムを形成することで、エビデンスに基づく発見から支援までの循環するシステム(YOSS)を構築します。それにより、教師や家庭だけで課題を抱え込むのではなく、地域やNPOなど様々な人材が温かいまなざしをもって参画できる社会像を目指します。そして、システムを構築することにより、子どもに安心・安全を提供できる持続可能な社会の実現を目指します。
上記の社会像を実現するための最大の課題(ボトルネック)は何ですか?
大きく分けて3点あります。1点目は、YOSSを導入する際、個人情報保護の観点からデータ提供に同意を得ることが困難な場合があるということです。これを解決するために、自治体向けに活用できる個人情報関連障壁克服マニュアルを作成します。2点目は、誰もが新しいことを始める際に抵抗感を伴いますが、学校という閉じられた世界はより抵抗感が大きい傾向があります。心理的ハードルを下げるため、既存の会議で代替する方策の提供や、活用できる地域資源を知る手立てをセットする方法を確立しました。3点目は、YOSSを誘導する人材確保です。これを解決するために、マニュアルやDVDを作成したほか、人材養成講座の枠組みの設計を検討しています。
写真
スクールソーシャルワーク 評価ファシリテーターの養成モデルの作成についての勉強会

参画・協力機関

  • 大阪公立大学、東北福祉大学、群馬医療福祉大学、日本福祉教育専門学校、日本大学、一般社団法人生命保険協会大阪府協会、日本ソーシャルワーク教育学校連盟、堺市社会福祉協議会、全国こども食堂支援センター・むすびえ、大阪府、大阪府能勢町、神戸市、沖縄県 など

実施報告書

プレスリリース

関連リンク