成果概要
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イオントラップによる光接続型誤り耐性量子コンピュータ[6] ジャンクショントラップを用いた捕獲イオンの配列技術
2025年度までの進捗状況
1. 概要
「誤り耐性型量子コンピュータ」は、計算の誤りを訂正しながら動く次世代の高性能コンピュータです。その実現には、計算の最小単位である「量子ビット」を数多く安定に扱えることが欠かせません。本プロジェクトでは、イオンを電極で捕まえて量子ビットとして用い、イオンを別のイオンで冷やす「協同冷却」と、複数の装置を光でつなぐ「光接続」によって大規模化を目指しています。このとき、イオンを狙った順に並べ替えたり装置間で運んだりする必要があり、その役割を担うのが、道を枝分かれさせられる「ジャンクション型イオントラップ」です。本研究開発項目6では、このトラップの開発を進めています。
2024年度までに、微細な電極でイオンをうまく運べる見通しを計算で確認しました。
2025年度は、立体的なジャンクション型トラップの試作・組立で生じる不具合(電極どうしの短絡や断線、基板の割れなど)を洗い出すとともに、平面型トラップの基礎装置を立ち上げ、実験の土台を整えました。
2. これまでの主な成果
試作した立体トラップでは、電極を作る各工程で短絡や断線が起き、特に電極の縁の絶縁不良が主な原因でした。図1のように、レーザーで短絡部分だけを削り取ることで、1つを除くほぼすべての電極を正常な状態に戻せました。

図2のように、微小なガラス球を使って電極を高い精度で立体的に位置合わせできることを確認し、実際に使うチップでも成功しました。

電極どうしの接続方法では課題が出ました。図3のように部品を介して基板と直接つなぐ方式に変えましたが、図4のように接続時の圧力で一部のチップにひび割れが生じ、通電も一部失われました。基板がごく薄く壊れやすいことが分かったため、レーザーとペーストで通電を回復させる補修を試みました。以上から、設計自体ではなく、接続の作り方と扱い方に改善点があると分かりました。


平面型トラップでは装置を組み上げ、原子からの光の観測と電源系の立ち上げまで完了しました。一方で電極に不要な高周波ノイズが混入しており、安定してイオンを捕まえるにはこれを大きく減らす必要があります。図5のように、専用の配線を設ける対策を検討しました。

3. 今後の展開
立体トラップでは、電極の縁の確実な加工、短絡の補修技術、割れにくい接続方法、通電の確認手法の確立を進めます。平面型トラップでは、専用配線と回路の改良で不要なノイズを減らしていきます。