成果概要
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イオントラップによる光接続型誤り耐性量子コンピュータ[3] 振動自由度を用いた量子誤り訂正符号実装のための研究開発
2025年度までの進捗状況
1. 概要
量子コンピュータを用いて有用な計算を行うためには、誤り訂正された論理量子ビットおよびその間の演算を実現することが鍵となります。多準位を擁するイオンの振動モードは、論理量子ビット実現のための有力な候補です。誘導ラマン散乱を用いて、集団振動フォノンモード間ビームスプリッター相互作用を実現し、それによりフォノンモード間量子もつれを実現することは、論理量子ビット間の演算実現のための重要なステップであると考えられます。このような複数モードに対する量子もつれ操作とスクイーズド状態を用いれば連続量クラスター状態を生成することが可能になります。さらにボゾニック符号をイオンの振動状態として準備し、上記のビームスプリッター相互作用を活用すれば複数モードにまたがる符号状態のゲート操作が実装できます。

(右)イオン配列の動径方向の集団振動モード
2. これまでの主な成果
2025年度は、複数振動モード(ボゾニック符号状態)の量子もつれ操作実現にむけて、まず実証実験の具体的な計画を立案しました。初期状態として、2つの振動モードに個数状態を生成します。これは、ボゾニック符号の一種である二項状態の符号状態とみなせます。次に、2つの振動モード(単一イオンの動径x,y方向)間のビームスプリッター結合(図2(a))を適用します。最後に、2つの振動モードの状態検出を行います。2つの振動モードの状態検出(個数分解検出)については、まず1モードにおける個数状態の射影測定(n=0-3)を行います。そして、これに条件づけたもう一つのモードの振動準位占有数同定(n=0-4; サイドバンドラビ振動観測による) を行います。これにより、 ()のほぼ全ての占有数を測定可能であり、したがって2モードのフォック状態の同時占有確率を同定できると考えられます(図2(b))。また、以上の方針に基づいて、1モードにおける個数状態の射影測定(n=0-3)にむけた実験を行いました。
3. 今後の展開
今後の方針として、外部からの振動励起を利用してトモグラフィーを行い、その結果からスクイージングの度合いを評価する実験などを組むことが考えられます。さらに、複数振動モード間に準備したスクイーズド状態を、ビームスプリッター相互作用によって混合することにより、EPR (Einstein–Podolsky–Rosen)型量子もつれ状態を実現することを目指します。また、単一の振動モードに対して、ボゾニック符号により単一量子ビットを符号化します。さらに、複数の振動モードに符号状態を準備し、モード間にビームスプリッター相互作用を印加することで、複数モードにまたがるボゾニック符号に対する量子ゲート操作の実現を目指します。
