成果概要
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イオントラップによる光接続型誤り耐性量子コンピュータ[5] イオントラップのための集積化光回路に関する研究開発
2025年度までの進捗状況
1. 概要
イオントラップ量子技術には通常、多数のレーザー光が用いられます。従来は多数の光学素子を堅牢な除振台の上に精密に並べて固定し自由空間の光回路を構築していましたが、本テーマではこの光回路を小さなチップ上の微細な光素子からなる光回路で置き換え、光回路がイオントラップと一体化した「光回路一体型イオントラップ」の実現を目指しています。この研究の推進によりイオントラップ量子ノードの大幅な小型化と安定化が期待でき、光接続された多数のイオントラップ量子ノードを量産・実装するための技術的ハードルがはるかに易しくなります。

2. これまでの主な成果
九州大学ではイオントラップに多波長のイオン励起用レーザーを導入するための集積光回路を開発しています。波長は可視から近赤外域にわたっており、最大6波長のレーザー光源をイオントラップ中に集光する必要があります。このような光学素子を作製するため、高精度な光導波路技術を用いて研究に取り組みました。図2は、SiN系光導波路を使って作製した6種類のレーザー光を同時入射できる光素子です。このレーザー照射素子をイオン捕捉素子と組み合わせたイオントラップ用モジュールを作製しました。特に光回路一体型イオントラップを実現するために、イオン捕捉素子と光導波路素子を簡便にモジュール化するためフリップチップ実装化技術に成功しました。

図3は、九州大学のグループが作製したフリップチップ実装用光集積回路です。本研究のため、大阪大学のグループが進める光回路一体型イオントラップの集積手法の課題と連携し、実装を実現するための加工技術の開発を共同で行ってきました。今後は、イオントラップモジュールのスケーラビリティを高めたマルチチップ化などを進め、光入出力チップには、位相変調、スイッチ、フィルタなどの高精度な光学機能を増やしていきます。

3. 今後の展開
イオントラップ量子コンピュータの開発では、量子ビットの大規模化が課題となります。イオントラップモジュールのイオン補捉部では、制御された高品質のレーザー光の配送が必要となるため、これまでの集積化光回路技術を応用した光配送システムの構築に向けて展開する予定です。また、スケーラブルな光配送を実現するための、光波制御オンチップ素子の作製にも取り組んでいきます。