プログラム紹介

萩田 紀博PD 写真

ムーンショット目標12050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

プログラムディレクター(PD)萩田 紀博大阪芸術大学 芸術学部 アートサイエンス学科 学科長・教授

概要

 少子高齢化が進展し労働力不足が懸念される中で、介護や育児をする必要がある人や高齢者など、様々な背景や価値観を有する人々が、自らのライフスタイルに応じて多様な活動に参画できるようにすることが重要です。そのためには、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現することが鍵となります。

 本研究開発プログラムでは、2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現するため、サイボーグやアバターとして知られる一連の技術を高度に活用し、人の身体的能力、認知能力及び知覚能力を拡張するサイバネティック・アバター技術を、社会通念を踏まえながら研究開発を推進していきます。

イラストレーション

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サイバネティック・アバター技術により、誰もが仕事や趣味で活躍 サイバネティック・アバターとは 2050年のサイバネティック・アバター生活

PDからのメッセージ

 ムーンショット目標達成に向けて、人間中心のサイバネティック・アバター研究開発を進めます。社会の至る所に配備され、遠隔操作により様々な活動を行うことが可能となるようなサイバネティック・アバターとその運用等に必要なサイバネティック・アバター基盤を実現します。様々な背景や価値観を有する人々が身体的能力、認知能力及び知覚能力をトップレベルまで拡張できるようなサイバネティック・アバターも実現します。サイバネティック・アバター開発において、供給者目線だけでなく、未来社会の利用者目線での受容性なども考慮します。このため、倫理的・法的・社会的・経済的(ELSE)課題や情報セキュリティ、この技術の活用において生まれる新しいストレスへの対処等の基礎研究も併せて推進していきます。すなわち、未来社会が来ても社会通念を踏まえて、人間中心の新しい生活様式(サイバネティック・アバター生活)が社会に浸透していく社会適応性についても考えて行きます。

研究開発プロジェクト

2020年度採択

*サイバネティック・アバター(CA)

プロジェクトマネージャー(PM) 石黒 浩(大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)
研究開発プロジェクト概要

利用者の反応をみて行動するホスピタリティ豊かな対話行動ができる複数のCAを自在に遠隔操作して、現場に行かなくても多様な社会活動(仕事、教育、医療、日常等)に参画できることを実現します。2050年には、場所の選び方、時間の使い方、人間の能力の拡張において、生活様式が劇的に変革しますが、社会とバランスのとれたアバター共生社会を実現します。

プロジェクトマネージャー(PM) 金井 良太(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 事業開発室 担当部長)
研究開発プロジェクト概要

人の意図が推定できれば、思い通りに操作できる究極のCAが可能になります。推定には脳活動の内部だけでなく脳表面情報や他人とのインタラクション情報も重要な手がかりになります。これらをAI技術で統合し、ブレインマシンインタフェース(BMI)機能を持つCA(BMI-CA)を倫理的課題を考慮して開発します。2050年には、人の思い通りに操作できる究極のBMI-CAを実現します。

プロジェクトマネージャー(PM) 南澤 孝太(慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科 教授)
研究開発プロジェクト概要

人々が自身の能力を最大限に発揮し、多様な人々の多彩な技能や経験を共有できるサイバネティック・アバター技術を開発します。
技能や経験を相互に利活用する場合の制度的・倫理的課題を考慮して、人と社会に調和した、身体的な技能や経験を流通する社会基盤を構築します。2050年には、この流通が人と人との新たな身体的共創を生み出し、サイバネティック・アバターを通じて誰もが自在な活動や挑戦を行える社会を実現します。

2022年度採択

プロジェクトマネージャー(PM) 新井 史人(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
研究開発プロジェクト概要

体内の健康状態を可視化できる生体内サイバネティック・アバター(生体内CA)を開発します。ミリ・マイクロ・ナノスケールの複数種の生体内CAを分散協調して時空間体内環境情報を構造化し、健康モニタリングや超低侵襲な診断を実現します。2050年までには人の健康維持・診断・病気の予防に役立ち、人が日常生活で利用することで、健康長寿社会への貢献を目指します。

プロジェクトマネージャー(PM) 新保 史生(慶應義塾大学 総合政策学部 教授)
研究開発プロジェクト概要

サイバネティック・アバターを安全かつ信頼して利用できるCA基盤を構築するためにCA操作者の認証技術、CA認証技術、遠隔操作者が法律に基づいてCAを公的に使用できることを証明・認証するCA公証に関する研究を行います。アバター生活実現のために克服すべき社会的課題解決のため、E3LSI(倫理的、経済的、環境的、法的、社会的課題)を研究し、国内外に提言や議論の場を創っていきます。2050年までに、新次元領域法学(AI・ロボット・アバター法)の展開を目指します。

プロジェクトマネージャー(PM) 松村 武(情報通信研究機構 ネットワーク研究所 ワイヤレスネットワーク研究センター ワイヤレスシステム研究室 室長)
研究開発プロジェクト概要

ジッタ(信号の時間的ずれや揺らぎ)、遅延、通信不通等の不安定な通信状況が起きても様々なCAの遠隔制御が可能な信頼性確保基盤を開発します。そのために、操作者と複数CAとのインタラクティブな接続を限界まで維持するために、無線区間のエリア最適化技術と有線区間を含むネットワーク最適化技術などを開発します。2050年までに水中・海中・宇宙などでのCA遠隔制御を可能とする信頼性確保基盤を創ります。

プロジェクトマネージャー(PM) 山西 陽子(九州大学 大学院工学研究院 教授)
研究開発プロジェクト概要

身体が持つ免疫能力を拡張する細胞内サイバネティック・アバター(細胞内CA)を開発します。医師・専門家が複数体の細胞内CAを遠隔操作することによって、体内をパトロールして、疾患の原因となる細胞の悪性状態を検査して、必要に応じて除去し、体をいつも良い状態に保つことができるようになります。2050年までに細胞内CAに見守られて、安全・安心な日常生活と健康寿命の延伸を実現します。

アドバイザー

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北野 宏明 株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長
土井 美和子 情報通信研究機構 監事
稲見 昌彦 東京大学 先端科学技術研究センター 教授
落合 啓之 九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授
加納 敏行 日本電気株式会社 データサイエンス研究所 上席技術主幹
小林 正啓 花水木法律事務所 所長
坪井 俊 武蔵野大学 工学部数理工学科 特任教授
徳田 英幸 情報通信研究機構 理事長
野原 佐和子 株式会社イプシ・マーケティング研究所 代表取締役社長
東野 輝夫 京都橘大学 副学長
藤沢 久美 株式会社国際社会経済研究所 理事長

*副構想ディレクター(サブPD)

関連情報

お問い合わせ

国立研究開発法人科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部 目標1 担当

e-mail moonshot-goal1メールアドレスjst.go.jp