成果概要

誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現[7] 実社会実証実験

2024年度までの進捗状況

1. 概要

場所、サービス、サイバネティックアバター(CA)開発に関する3つの業種の企業を組み合わせた実証実験が可能な、CAに特化した通信環境を含む実証実験基盤を開発します。2025年大阪・関西万博や、大阪市内、東京都内で大規模かつ実用的な実証実験を実施するため、準量産型CA等も準備します。他の研究開発項目、および複数企業とも企業コンソーシアムを通じて連携し、商業分野を中心に様々な実社会実証実験(図1)を実施するとともに、CAの社会実装に取り組みます。本研究開発テーマが単体で取り組む領域としては、発達障害者やうつ病患者といった精神障害者を対象としたメンタルヘルスケア、および高齢者を対象とした社会参加、以上の2つについて重点的に実証実験を実施し、CAの実現と課題を明らかにしていきます。

図1
図1:様々な場面での実社会実証実験を実施

2. これまでの主な成果

実証実験基盤構築と商業分野における実社会実証実験

公共・商業施設での異種CAサービス提供実証実験として、大阪駅に隣接する複合商業施設、グラングリーン大阪・JAM BASE(大阪市北区、独自の高効率な5G通信環境を構築)、および東京・御茶ノ水駅に隣接するWATERRAS(東京都千代田区)、以上の2拠点に展開したCA 47体(設置型CA 23体、移動型CA 8体、CG-CA 16体)による異種CAサービス(施設案内、施設誘導、警備、接客など)を、国内5か所(JAM BASE、WATERRAS、堺市実験拠点(堺市南区)、翔和学園(東京都中野区)、三和中央病院(長崎市布巻町))から遠隔操作して提供する実証実験(名称:アバターランド(図2))を、研究開発項目1・2・4・5・8と連携して実施しました(2024年9月10日〜9月29日)。一般市民5,200人以上に体験してもらい、2,285件のCA受容性に関するアンケートを取得することができました。また、空間の制約を越える試みの1つとして、スペイン・バルセロナのカタルーニャ工科大学との相互接続技術検証を行い、CAサービスが国を越えて相互に提供可能であることを示しました。

図2
図2:体験型実証実験「アバターランド」の様子と告知チラシ

複数の小型のGPUを搭載し、人間の行動を実時間で追跡しながら、人間に近い音声認識と発話機能を持つ、設置型および移動型のCA(名称:AI-CA)のプロトタイプを研究開発項目1と連携して開発しました。

発達障害者やうつ病患者のメンタルヘルスケアを対象とした実社会実証実験

メンタルヘルスケア領域では、CAを活用した離島での遠隔診療支援の実社会実証実験を継続的に実施しました。本土から直接行くことができない二次離島での医療従事者不足の課題に対して、現地医師の診察に専門科医が本土からCAを介して陪席、助言を行う遠隔診療支援のシステムを構築し、五島列島・久賀島診療所における実証実験を1年以上継続して実施し、その有効性を示しました。

高齢者の社会参加を対象とした実社会実証実験

高齢者のCAを通じた社会参加に向けて、高齢者の遠隔操作を支援する機能として、遠隔操作者とCA側の対話者との対話内容から必要な操作を推定し、遠隔操作者にアドバイスする機能を開発しました。製品検索などのテストにおいて、本機能を活用することで平均1.7倍の速度向上を確認しました。定期的な遠隔操作講座を継続して実施するとともに、高齢遠隔操作ボランティアの募集を行い、150名規模のグループを作ることができました。

アバター共生社会企業コンソーシアム

企業連携を進めるために設立したアバター共生社会企業コンソーシアムは、会員数が2025年3月末現在で166法人まで成長しました。本コンソーシアム会員企業が、自社事業でのCA利用を検討する5つの分科会(ヘルスケア・医療、教育支援、ITインフラ、まちづくり、FA)では、CA事業の蓋然性を高める実証実験の具体化を検討しました。また、UAEの企業とドバイ未来研究所が参加する国際シンポジウムを2024年9月に開催し、本コンソーシアムの国際化を推進しました。

3. 今後の展開

実社会実証実験を継続的に実施していきます。特に、2025年度に開催される大阪・関西万博において、世界各国の一般市民を対象とした長期実証実験を実施し、技術と社会受容性を検証し、社会実装の方向性を検討します。実社会実証実験の結果を各研究開発項目へフィードバックするとともに、研究開発項目5で実施するCA基盤の構築および国際標準化活動にも反映させます。