成果概要

誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現4. CA協調連携の研究開発

2022年度までの進捗状況

1.概要

本研究開発テーマは、複数CAの同時遠隔操作・連携制御技術(自在CA制御)の基盤研究開発を担っています。この研究開発テーマの達成により、1人の操作者が同時に複数のCAを操作することが可能となり、プロジェクトの目指すアバター共生社会の実現、ムーンショット目標で目指す空間・時間制約からの解放に貢献します。
この達成に向けては、タスクや環境に応じて操作者の意図を理解しながら働く複数CAを利用する技術開発が課題となります。本研究開発テーマではまず、CAが連携する生活環境や病室環境を実際に再現し、そこで活躍する半自律化CAを、遠隔操作から自律化する自律化CA技術をベースに試作します。そして、複数CAからなる半自律連携制御システムの操作インターフェースをBMIを含め開発します。

概要図
病院環境における複数CA連携

2.2022年度までの成果

統合システムの実装と実証実験を実施しました。
(1)5台の物理操作CAを一人で操作する統合システムを実現しました。東京×1(高齢者宅)、大阪×2(高齢者施設、病院)において合計5台の物理操作CAを一人で操作することが可能となりました。
(2)高齢者施設/病院において御用聞きをするCAシステムの開発と実証実験を実施しました。どのようなCAサービスが必要かスタッフへヒアリングし、御用聞きと入居者の活動などに関する情報共有ができるとよいことを明らかにしました。そして、SNSを使った自動情報共有システムを実現しました。

5台物理CAの同時操作システム
5台物理CAの同時操作システム

また、自在CA制御のための基盤技術として開発した代表的なものを以下に挙げます。

  • (1)Transformerを用いたロボットの世界モデル実現
  • (2)複数CAの協調手法の開発
  • (3)場所概念モデルによる現場学習と記号論理による常識的知識を統合した計算論モデルをCAに実装
  • (4)物体操作指示文理解手法HLSM-MATを構築しALFREDタスクにおいて世界最高性能を達成
  • (5)近接覚センサを用いた滑らかな安定把持を実現し通信遅延へ対応
  • (6)頭蓋内脳波の解読によるBMI随意制御実現、及び文章作成操作精度95%を達成
Transformer世界モデル
Transformer世界モデル
複数CA協調制御の様子
複数CA協調制御の様子
場所概念モデル
場所概念モデル
ALFREDタスクの例
ALFREDタスクの例
近接覚センサを用いた把持
近接覚センサを用いた把持
BMI随意制御の様子
BMI随意制御の様子

3.今後の展開

今後は、さらに多くのCA同時遠隔操作の実現に挑戦します。これは、これまでに開発してきた要素技術を統合実証システムに組み込み、CAが自律的に連携する仕組みを構築することで実現できると考えています。また、実際の病院や高齢者施設における実証実験を継続することでさらなる要素技術の開発を促進し、実環境での利用に耐え得るシステムを構築することを目指します。