成果概要

誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現5. CA基盤構築の研究開発

2022年度までの進捗状況

1.概要

多数のサイバネティックアバター(CA)と操作者を結ぶCA基盤(CA-PF)の研究開発として「CA基盤構築と実証実験」および「サービス機能記述の標準化」に取り組みます。多数のCAを多数の操作者が利用するには、両者を結び付ける情報インフラとなるCA基盤が必要不可欠です。「CA基盤構築と実証実験」では、まず基盤の階層構造を明らかにし、各階層の機能を実現すると共に、階層間のプロトコルを定めます。基盤の階層は、利用者・CAモニタリング層、CA経験管理層、階層的CA連携層、操作者割り当て遠隔操作層です。プロトコルに従ってCA基盤のプロトタイプを実装し、街を対象とした広範囲の環境においてその性能を確かめ、新たな課題を発見していきます。「サービス機能記述の標準化」では、実社会実証実験に参加する企業による企業コンソーシアムと連携し、研究開発テーマ7(実社会実証実験)で実施される実証実験を通じて、異種サービス、異種CAの相互運用性やスケーラビリティを考慮したCA基盤に発展させます。

2.2022年度までの成果

  • CA基盤構築と実証実験
    昨年度構築したCA基盤初期プロトタイプの仕様を踏襲しつつ、実社会環境でのCA活用に関する実用的な要件を検討し、CA基盤とCAおよび遠隔操作者PCの接続方法やWebユーザインタフェースを改善した第2期プロトタイプを構築しました。遠隔操作者がスマートフォンやモバイルWIFI環境でのノートPCを接続してCAの操作を行う、いわゆるモバイル環境でもCA基盤が機能することを実験により示しました。CAの自律動作をCA基盤の外部プログラムとして実装し、遠隔操作と自律動作の切替えをCA基盤が管理する遠隔操作手法を提案・実装しました。この手法は、研究開発テーマ1(存在感・生命感CAの研究開発)、および研究開発テーマ7(実社会実証実験)の研究グループとともに、企業エントランスにおける受付・案内実証実験、三箇所のインキュベーションオフィスの受付(東京、京都、大阪)を1人の遠隔操作者が行う多地点受付実証実験を通じて検証し、模擬CAサービスが提供可能なことを示しました。
  • サービス機能記述の標準化
    CAのサービス機能を記述する仕様は、国際標準化団体であるObject Management Group (OMG) のRobotics DTFにおいて標準化が進められているRoSO (Robotic Service Ontology) に盛り込む取り組みを行い、2022年9月に RoSO 1.0 Initial Draftを提出しました。CA基盤の仕様は、同様にOMG Robotics DTFで標準化が進められているRoIS (Robotic Interaction Service) の仕様拡張として盛り込み、RoIS 2.0 RFP (request for proposal)を2023年3月に発行しました。

3.今後の展開

CA基盤は、CAの種類(実機,CG)、CA操作者の状況(在宅操作,モバイル操作)、CAサービス提供場所の状況(広域単地点,広域多地点,低顧客密度,高顧客密度)、CAサービスの種類(受付,案内,接客,買物など)、以上を組み合わせた状況での利用が想定されます。これらに対応したCA基盤を段階的に構築し、逐次機能実証を進めます。他の研究開発テーマの成果を組み込む枠組みとして提案した外部プログラムのサンプル実装を拡充していきます。

CA基盤

実社会実証実験に参加する企業による企業コンソーシアムと連携し、CA基盤をコンソーシアム会員に向けて公開し、各企業が中心になって実施する実証実験に段階的に利用してもらうことで、異種サービス、異種CAの相互運用性やスケーラビリティを考慮したCA基盤に発展させるとともに、国際標準化活動を推進していきます。