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- [超生体組織] 2025年度採択課題

神奈川県立産業技術総合研究所
実用化実証事業「毛髪再生医療実証」グループ
常勤研究員
本研究では,毛周期の制御メカニズムを解明し,「毛周期を繰り返すリアルな毛包(毛包クローン)」を生体外で構築します。さらに,培養動物繊維という新分野への応用を見据え,毛周期の制御による”超長毛化”した動物繊維の基盤技術を創出します。

東京大学
大学院総合文化研究科
特任助教
人類は育種を通じて、複雑で多様な形態の生体組織を手にしてきました。一方、人工設計による生体組織は依然として単純な形態にとどまっています。本研究では、形態進化の土台となる遺伝子回路を導入した「進化能」の高い大腸菌を作ることで、複雑な蛍光パターンを持つ組織を「育種選抜」します。合成生物学・進化学・ゲノム解析を融合した多細胞集団の進化能の理解と制御を通じて、「超生体組織の育種学」を創成します。

慶應義塾大学
医学部 先端医科学研究所
特任准教授
本研究では合成遺伝子回路を組み込んだ改変免疫細胞を設計し、生体内の環境に自律的に適応する人工免疫システムの構築を目指します。大規模データの取得と予測モデルを利用して、この多細胞システムの挙動を解析し、人工免疫系の生体内適応への設計原理の理解を深めます。この適応型免疫細胞プラットフォームは、次世代がん免疫療法に向けた治療戦略を提供し得ます。

アカデミアシニカ
物理研究所
アシスタントリサーチフェロー
脂質膜や細胞骨格,細胞質といった細胞の主要部品を組み合わせた「デザイナー人工組織」を開発し,超生体組織の実現を目指します.人工組織の収縮や弛緩の制御,エネルギー効率の計測を通じて,分子配向や波の物理的性質を解き明かし,光による操作で立体構造形成や創傷治癒を実現する機能性人工組織を構築します.本研究により,生体と人工を融合させたハイブリッド組織や自己修復機能をもつバイオロボット設計の基盤を築きます.

東京大学
大学院新領域創成科学研究科
准教授
本研究では,工学と生物学の技術を融合し,感覚入力の動的制御により,脊髄の回路形成を培養系で再現します.非侵襲計測から細胞種と成熟度を細胞毎に把握し,情報を基に感覚神経を刺激,感覚入力により脊髄の可塑性を誘発します.生体と同等の機能を持つ脊髄組織を形成したうえで,刺激により機能を調節し,痛覚情報の抑制や重要な触覚情報の強調といった超生体機能の実装から,生体を超えた組織の設計論の確立を目指します.

熊本大学
発生医学研究所
講師
ヒトiPS細胞から構築したオルガノイドは移植医療に向けた技術革新が必要です。本研究は、幹細胞学と工学の異分野融合により、臓器が発生し育つ胎仔環境を試験管内で再現し、腎臓オルガノイドの機能賦与に応用可能な次世代の培養システム「Embryo in CUBE」を構築します。その成果は他臓器のオルガノイドにも大きなインパクトを与え、多能性幹細胞由来の人工臓器移植や後期発症疾患再現への貢献が期待できます。

京都大学
高等研究院
特定助教
本研究では間充織組織の形態形成に着目し、細胞(ミクロ)のもつ自己組織化プログラムから組織形態(マクロ)を設計・制御するための基盤的理解を目指します。肢の骨格形態形成をオルガノイドと数理でモデル化し、マウスやヒト、その他動物種のES・iPS細胞を分化させた肢間充織細胞のアルゴリズムの比較から、形態多様性を制御するパラメータを同定することで、様々な組織形態を自在に予測・設計できる未来へとつなげます。

東京大学
大学院情報理工学系研究科
講師
近年、人工皮膚は再生医療や薬剤評価など多様な応用に向けて進展していますが、栄養供給や長期維持に課題がありました。本研究では、三次元皮膚構築技術と毛細血管網形成技術を融合し、柔軟な支持材上において栄養供給と機械応答性を両立する人工皮膚を開発します。これにより、生体機能により近づけるとともに、基礎研究から化粧品評価、さらにはバイオハイブリッドロボットの被覆素材に至るまで、幅広い応用展開を目指します。

九州大学
大学院歯学研究院
准教授
本研究では、炭酸アパタイトハニカム材料のマイクロ・ナノ構造を最適化し、造血・免疫機能を備えた「”超”骨-骨髄」の形成機構の解明を試みます。最適化した材料と歯髄由来の多細胞集団との融合により、超骨-骨髄を非侵襲かつ迅速に創出する革新的戦略の構築にも取り組みます。さらに、埋植初期から免疫を能動的に制御する”アクティブな超生体組織”として機能させ、難治性疾患の予防的治療への応用も目指します。

東京大学
医学部附属病院
特任研究員
生体深部で直接観察のできない着床を、体外培養子宮上で再現することで理解します。酸素供給と足場に着目し、自らが樹立した体外子宮システムを更に発展させます。化合物や遺伝子導入法を用いた摂動により細胞特異的な機能を解明し、多細胞間相互作用の調節により着床を制御します。着床基礎研究の発展により、将来的に着床診断マーカーの発見や着床因子補充療法の開発を目指し、生殖補助医療における着床補助技術を展開します。

東京農工大学
農学部
准教授
本研究では、ヒトの脳に存在する巨大ニューロンをマウス脳内に誘導することで、超生体脳の構築を目指します。鍵となるのは、ニューロン周囲の細胞外マトリクス(ペリニューロナルネット)であり、その人工的制御によってニューロンの構造や機能をリモデリングします。さらに、この技術を神経変性疾患モデルに応用し、従来のモデルでは再現が困難であったヒト特異的病態を模倣可能な超生体組織の創出を実現します。

名古屋市立大学
大学院薬学研究科
准教授
クマムシの乾燥耐性に関わるタンパク質に着目し、細胞間接着と構造安定性を維持する超分子ネットワークを解明・設計・導入することで、乾燥耐性を持つ超生体組織の創成を目指します。クマムシタンパク質群の機能的連携と細胞接着強化に関与する分子ネットワークを網羅的に解析します。その知見に基づき人工ネットワークを構築して細胞内に導入し、乾燥・再水和条件下での安定化効果を検証し、乾燥耐性組織の創出へとつなげます。