[多感覚システム] 2021年度採択課題

安 琪

感覚介入リハビリ技能の解明と支援装具への応用

研究者
安 琪

東京大学
大学院新領域創成科学研究科
准教授

研究概要

脳性麻痺児は感覚器と筋活動の関係性を示す「脳内身体表現」を形成できず、運動が障害される。これに対して、本研究では理学療法士が脳性麻痺児の感覚器に行っている介入技能および乳幼児の運動に与える影響を解明し、脳内身体表現の形成を促進する装具を開発する。この脳内身体表現を改善する装具や方法論は脳性麻痺児のみならず高齢者や脳損傷患者の運動機能をも改善することが期待される。

石川 由希

小さな脳による多感覚システムを用いた標的認識の制御機構

研究者
石川 由希

名古屋大学
大学院理学研究科
講師

研究概要

動物は複雑な環境の中で特定の標的を認識する能力を持っています。本研究は、その一つである昆虫の訪花行動に焦点を当て、彼らが小さな脳でどのように花を認識しているのかを明らかにします。訪花性ショウジョウバエに遺伝学的なツールを導入し、花への標的認識に用いる感覚やシグナル、シグナル検出に寄与する神経機構を特定します。また、感覚入力を再現することで、複数の感覚を統合する神経機構を理解することを目指します。

大原 慎也

情動が制御する側頭葉の感覚ゲーティング機構を探る

研究者
大原 慎也

東北大学
大学院生命科学研究科
助教

研究概要

我々の脳は、感覚器を通して受け取った外界の情報を側頭葉で連合し、記憶として保存します。しかし、膨大な感覚入力情報のうち、記憶として残るのは生存に必要なごく一部の情報に限られます。本研究の目的は、この情報の取捨選択に関わる、側頭葉の感覚ゲーティング機構を明らかにすることです。また、気分や情動に関わるモノアミン神経伝達物質に着目することで、情動による感覚ゲーティングの制御メカニズムの解明を目指します。

國松 淳

呼吸による情報処理の揺らぎが与える多感覚認知への効果

研究者
國松 淳

筑波大学
医学医療系
助教

研究概要

スポーツ選手が大切な場面で「息を整える」ように、私たちは呼吸を操作することで無意識に感覚を研ぎ澄ましているのかもしれません。本研究では、呼吸リズムが多感覚認知にもたらす影響を詳細に明らかにするとともに、その脳内メカニズムを神経回路レベルで解明することを目的とします。これによって、感覚情報処理のアルゴリズムに呼吸という新しい概念を付加し、感覚の敏感さを人為的に操作する新しい技術の創出を目指します。

近藤 邦生

感覚器ー末梢組織間の革新的神経回路解析法の開発

研究者
近藤 邦生

鳥取大学
医学部
准教授

研究概要

私たちの体は、外界の変化に対して体内の生理状態を安定に保つ「恒常性」を持ちます。恒常性では、脳が感覚器からの情報を用いて末梢組織の機能が調節しますが、感覚器から末梢組織まで情報が伝えられるメカニズムはよくわかっていません。本研究では、感覚器・脳・末梢組織の間の情報のやり取りを担う神経回路の解析を可能にする新しい研究手法を開発し、エネルギーの恒常性が制御される仕組みを明らかにします。

佐々木 亮

柔軟な行動戦略を導く多感覚時空間統合の脳回路機構

研究者
佐々木 亮

自然科学研究機構
生理学研究所
教授

研究概要

自他の行動戦略から柔軟に一連の認知行動(感覚-意思決定-運動)を決定する脳神経基盤を解明します。まず脳の時空間的統合・切り替え処理をマルチスケールに定量化する評価法を開発します。次に行動中の動物の多脳領野大規模神経活動から多因子を柔軟に統合・切り替え可能な多階層デコーダーを構築し、リアルタイムで意思決定を予測推定します。更に光遺伝学を用いた広汎脳回路操作により、認知行動の健全な制御を可能にします。

田坂 元一

養育行動を引き起こす多感覚統合機構の解明

研究者
田坂 元一

理化学研究所
生命機能科学研究センター
上級研究員

研究概要

動物は常に多様な感覚刺激に晒されており、脳は感覚情報を元に意思行動決定を行います。一方で、中枢において複数の感覚刺激がどのように意思決定プロセスに影響を与えるのかはよくわかっていません。本研究では、仔から発せられる複数の感覚刺激によって引き起こされる養育行動をモデルとして、脳深部を含む多領域からの大規模なニューロン群の活動記録により、中枢における多感覚モダリティの統合メカニズムの解明を目指します。

中島 健一朗

後天的食嗜好の形成を担う新規腸脳軸の解明

研究者
中島 健一朗

名古屋大学
大学院生命農学研究科
教授

研究概要

味や食物の好みは、先天的に決まっているのではなく変化します。しかし、元々好きでないものを後に好きになる仕組みは未だよくわかっていません。本研究では、全ての動物のエネルギー産生において必須なビタミンB1の感知を担う新規腸脳軸(腸→求心性迷走神経→脳幹→高次中枢)に注目し、その実態を明らかにします。また、それを基に、後天的食嗜好形成のトリガーとして働く神経細胞やメカニズムの特定を目指します。

眞部 寛之

嗅皮質情報統合地図の構築とその応用

研究者
眞部 寛之

奈良県立医科大学
医学部
准教授

研究概要

感覚入力を行動出力に変換する機構の詳細は不明です。本研究は嗅覚系に着目し、個々の嗅皮質亜領域が、それぞれ特異的様式で匂い入力とトップダウン入力を連合するという仮説をすべての嗅皮質亜領域で検証し、嗅皮質情報統合地図を構築します。次に、情報統合地図内の回路動作と行動出力の因果関係を明らかにします。そして、匂いを行動に変換する嗅皮質機能の解明から、多感覚ネットワーク機構の共通原理の解明をめざします。

山口 裕嗣

自発的な低代謝状態torporを生み出す多感覚システム

研究者
山口 裕嗣

名古屋大学
環境医学研究所
特任助教

研究概要

本研究では、寒冷環境で絶食させたマウスが一時的に体温を大きく下げてtorporに入ることをモデルとして、ウイルストレーシング技術、インビボ遺伝子編集技術、光遺伝学などの最新の神経科学的ツールを用いて、torporを制御する生体多感覚システムの作動原理の解明を試みます。

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