[パンデミック社会基盤] 2023年度採択課題

池内 和彦

パンデミック下の性感染症の実態把握と対策立案

研究者
池内 和彦

東京大学
医学部附属病院
助教

研究概要

COVID-19パンデミックによる行動変容の結果、多くの感染症の流行が一時的に下火になった一方で、梅毒やMpoxなど性感染症の流行は拡大しました。本研究はビッグデータを用いてパンデミック下における性感染症の有病率、罹患率、再感染率、感染リスクを評価し、流行抑制のための対策立案を目指します。また、今後新規の性感染症流行が起こった際、流行状況を早期に検知するシステムの構築を目指します。

井上 浩輔

ポストコロナ社会での高齢者に対するPrecision Public Healthの実現

研究者
井上 浩輔

京都大学
白眉センター
特定准教授

研究概要

本研究では全国高齢者コホートに最先端の因果推論・機械学習を応用し、パンデミックに脆弱(うつ症状の増悪、認知機能低下など)な高齢者の特徴、及びコロナ禍において運動・社会参加の効果が高い高齢者の特徴を明らかにします。多面的な属性情報に基づく個人ごとの脆弱性と介入効果を推定することで、社会状況を踏まえた個別化戦略のあらたな地平を切り開き、世界における医療・公衆衛生の在り方の歴史的変換点を創造します。

江島 啓介

IoT技術を用いた医療従事者にやさしい臨床データ取得体制構築とデジタルツイン技術開発による、多角的なパンデミック対策の立案

研究者
江島 啓介

南洋理工大学
医学部
助教授

研究概要

本研究ではまず、臨床データの効率的な取得方法の確立を行います。全自動遺伝子検査システムをIoT技術によってサーバーと接続し、サンプル採取からデータ蓄積までを効率化します。次に、現実の患者を再現したコンピュータ上の患者であるデジタルツインを開発します。デジタルツインから生成されるデータを使って実行性のある感染症対策を立てる仕組みを整えます。デジタルツインは公開され、さらなるパンデミック対策への活用を促します。

川崎 純菜

動物由来ウイルス感染症の発生リスクを評価する技術基盤の構築

研究者
川崎 純菜

千葉大学
大学院医学研究院
特任助教

研究概要

動物からヒトへのウイルス伝播によって、多くの感染症が引き起こされてきました。本研究では、公共シークエンスデータを再利用し、ヒトと動物を対象とした大規模なウイルスゲノムの調査を実施することで、ヒトに感染症を起こしうるウイルスの特定と、感染症発生の前兆やリスク因子の解明に取り組みます。これらの知見により、パンデミック発生前にリスク低減に向けた対策を立案・推進するための科学的根拠を提供します。

國谷 紀良

マルチグループ構造化感染症モデルの数学的解析と実用化

研究者
國谷 紀良

神戸大学
大学院システム情報学研究科
准教授

研究概要

本研究では、感染症の流行を表す数理モデルの内、集団に属する各個体の異質性に応じてモデルを細分するマルチグループモデルに注目します。特に、免疫レベルの変化や行動変容などの複合要因を考慮できるマルチグループ構造化感染症モデルを構築し、その数学理論の発展と実用化を目指します。また、タイプ別再生産数の理論を利用して、ハイリスク者を優先したワクチン接種など、特定のグループに特化した政策の有効性を検証します。

小林 義治

パンデミックへの備えの政治学

研究者
小林 義治

リーズ大学
政治国際研究学部
准教授

研究概要

次のパンデミックへの十分な備えには、一般市民の理解と関心が不可欠です。COVID-19の経験を通じて、備えに対する関心は高まったかもしれませんが、時間の経過とともに関心が衰えることが懸念されます。また、事前の備えがパンデミック時の政治や政策に与える影響に関する知見は限られています。本研究は、政治学の視点から次のパンデミックへの「備え」を分析し、新たな課題やパンデミック対応策への影響を明らかにします。

齋藤 浩輝

平時と有事をつなぐ感染症領域の“Platform of multi-platform trials”の社会実装

研究者
齋藤 浩輝

聖マリアンナ医科大学
医学部
講師

研究概要

本研究では、平時から有事までシームレスに対応可能な、複数の国際感染症プラットフォーム研究同士を横断的につなぐ、新たなコンセプト『A Platform of multi-platform trials』(PMPT)を提唱・構築するのみならず、日本特有の環境においても持続発展可能なPMPTを模索することで、レジリエントな社会・技術基盤の構築に貢献することを目指します。

都築 慎也

支払意志額概念の拡張による感染症対策の最適化

研究者
都築 慎也

国立国際医療研究センター
国際感染症センター
医長

研究概要

本研究ではいずれ到来する新たなパンデミックに備え、「我々の社会が感染症対策に支払っても良いと考えるコスト」の上限を決定することを目標とします。ここで言うコストとは金銭的な価値、健康上の指標の双方を内包しており、その許容額の上限、即ち支払意志額 (Willingness to pay) を定めることで経済・保健両面から感染症対策を最適化することを目指します。

長尾 美紀

感染症の流行に強い高齢者福祉・医療の構築に関する基盤研究

研究者
長尾 美紀

京都大学
大学院医学研究科
教授

研究概要

本研究では、1.高齢者の予後を可視化し、2.高齢者福祉・医療当事者への心身的・経済的な影響、3.時限的に自治体がリソースを投入した事業の経済的な評価、についてリアルワールドデータを用いて分析することにより、課題の構造化を行います。その上で、パンデミック時であっても揺るがない高齢者福祉体制と福祉・医療をシームレスにつなぐシステムの提言へとつなげます。

三浦 郁修

大規模社会データを縮約する数理疫学手法の構築:理論に基づく感染症対策の新展開

研究者
三浦 郁修

愛媛大学
先端研究・学術推進機構
JSPS特別研究員 SPD/CPD

研究概要

感染症数理モデルは政策決定における重要なツールとして利用されていますが、流行を捉える観測データと組み合せてはじめて真価を発揮します。本研究課題では、異分野において収集されているが未だ活用されていない「代替データ(人々の社会活動やウイルスの蔓延状況を反映する多様なデータ)」を統合し、迅速かつ詳細な感染動態の把握と介入政策の最適化を実現する数理的アプローチを提案します。

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