[サステイナブル材料] 2023年度採択課題

荒井 俊人

界面トポロジー制御で拓く高耐久・易分離無機有機接合

研究者
荒井 俊人

物質・材料研究機構
高分子・バイオ材料研究センター
独立研究者

研究概要

本研究では、界面のトポロジカル構造制御に基づく有機/無機複合材料の接合技術を開発します。自己焼結性材料を無機接合層として利用し、ポリマー材料と共連結ネットワーク構造を作ります。この絡み合い構造を用いることで、伸長・せん断双方に強い接合層を構築し、複合材の高耐久化を目指します。また、各相の熱的・化学的な性質の違いを活かし、再資源化可能な状態に分離する技術を確立します。

磯野 拓也

多糖の分解と再構成による資源循環型オリゴ糖ベース材料の創出

研究者
磯野 拓也

北海道大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

多糖誘導体は再生可能資源から短工程で得られ、生分解性も期待できることからサステイナブルな高分子材料として有望視されています。しかし、物性の幅や成形加工性に大きな課題を抱えています。本研究では、多糖が元来持っている構造・機能を維持しつつ、その欠点をオリゴ糖へと低分子量化(分解)することで解消し、さらに適切な形で高分子材料設計に組み込む(再構成する)ことで真にサステイナブルな高分子材料を創出します。

木田 拓充

プラスチックの不均一分解の可視化技術開発と分解メカニズムの解明

研究者
木田 拓充

滋賀県立大学
工学部
講師

研究概要

本研究では、プラスチックにおけるミクロおよびメソスケールの構造不均一性を考慮して分解挙動を解析することにより、プラスチックの複雑な分解メカニズムの解明に挑みます。具体的には、重水素化ラベル法と顕微イメージング技術を組み合わせることで、高次構造中の特定部位における特定分子鎖の分解状態を直接・選択的に観察可能な分解評価技術を開発します。プラスチック単体だけでなく、複合材料の分解評価にも応用します。

徐 于懿

塩応答性バイオポリマー複合材料の分解制御

研究者
徐 于懿

大阪大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

真水中では崩壊せず、塩水中で迅速的に分解・解離する刺激応答性複合材料を開発します。多糖類と親水性ポリマーを基盤とし、ポリマー鎖間に可逆的なヘミアセタール/アセタール結合を導入して化学架橋し、同時に強固な物理的な多点相互作用を形成することで、機械的特性と耐水性を持つ複合材料を創製します。可逆的化学結合と物理的相互作用を塩応答により解離させることで材料の易解体を実現し、再複合化による資源循環を達成します。

高橋 明

物性と再利用性を高次両立する剛/柔可変高分子の創製

研究者
高橋 明

東京工業大学
物質理工学院
助教

研究概要

本研究では、使う際は剛直な化学構造に基づいて高温でも優れた強度・耐久性を示しつつ、使用後は化学構造が柔軟化し、より低温でも再加工・リサイクル容易な性質へと変換できる高分子を開発します。また、元の優れた物性を示す状態へと高効率に再生できるリサイクル工程を確立します。それにより、これまで両立困難だった物性とリサイクル性を高い次元で兼ね備えた、新たな高分子群を創製します。

西川 剛

ホウ素側鎖による主鎖反応性設計を鍵とした循環利用型ポリマー材料の創出

研究者
西川 剛

京都大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

ビニルボロン酸誘導体のラジカル重合という独自の成果に基づき、ビニルポリマーの主鎖上ホウ素のユニークな特性を鍵とした循環利用型ポリマー材料を創出します。ビニルポリマーの炭素-炭素結合主鎖は通常の状態では確実な結合として振る舞いますが、主鎖炭素に直結したホウ素の反応性を活用することで主鎖分解を誘起できます。これにより、主鎖の切断と再構築を自在に制御してポリマーの循環利用を可能とします。

林 幹大

水トリガーの易解体接着を実現する結合交換性TPEの開発

研究者
林 幹大

名古屋工業大学
大学院工学研究科
助教

研究概要

本研究では、ABAトリブロック共重合体(A:ガラス鎖、B:溶融鎖)のB鎖上に、四級化共有結合から成る結合交換性サブドメインを導入した新規熱可塑性エラストマー(TPE)設計を提案します。TPE元来のサスティナブル性を保持したままの物性向上指針の確立とともに、湿潤環境における水による結合交換特性制御やマルチトリガー型易解体接着技術開発を行い、TPEの新しい可能性を開拓します。

平野 篤

自然界最強クモ糸と人類最強ナノチューブの複合繊維

研究者
平野 篤

産業技術総合研究所
材料・化学領域ナノ材料研究部門
主任研究員

研究概要

本研究は、自然界で最強の「クモ糸」と人工物で最強の「カーボンナノチューブ」を組み合わせた複合素材の実現を目指します。この複合素材は、使用時には高い強度を発揮し、使用後には穏やかな条件で分解可能な特性をもつことが期待されます。この実現のために、クモ糸タンパク質とカーボンナノチューブの間に「確実な結合」を形成させ、さらに必要に応じて「やさしい分解」が可能となる分解プロセス開発を目指していきます。

山口 祐貴

反応機構シフトによるセラミックスの接合と分解

研究者
山口 祐貴

産業技術総合研究所
材料・化学領域極限機能材料研究部門
主任研究員

研究概要

本研究は、非晶質含水酸化物ゲルを原料に用いた複合酸化物の室温合成プロセスを活用して、低CO2排出でありながら新しい積層セラミック界面デザインを可能とする、溶液中で起こす新しい接着と剥離プロセスの創生を目的とします。樹脂等ではむずかしかった、500℃を超えるような高い温度で使用されるセラミックス部材の、接合と分解を200℃以下の溶液中で達成する新しいリサイクルプロセスの開発に挑戦します。

吉田 嘉晃

自己修復とケミカルリサイクルがともに可能な光学樹脂の開発

研究者
吉田 嘉晃

九州工業大学
大学院工学研究院
准教授

研究概要

本研究では、「傷ついても修復し、壊れても再生できる機能性材料」をコンセプトとして、優れた光学特性のみならず、自己修復性やケミカルリサイクル性などのサステイナブルな性質を示すポリマーを開発します。また、これらのポリマーを無触媒や無溶剤の条件で合成および解重合することにより、製造からリサイクルまでを一貫して低環境負荷および低エネルギーで達成することを目指します。

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