[高次構造体] 2021年度採択課題

上田(石原) 奈津実

刺激依存的な細胞骨格・オルガネラ複合体の局在変化による生理機能発現

研究者
上田(石原) 奈津実

東邦大学
理学部
准教授

研究概要

古くからオルガネラの局在変化は観察されていましたが、刺激依存的な局在変化の生理的意義は不明です。本研究では、神経細胞の情報受容素子(スパイン)への細胞骨格・モータータンパク質複合体を介した刺激依存的なオルガネラの移動と記憶固定化の機能相関と因果関係を解明することで、「刺激に応じたオルガネラの局在変化が生命現象の基盤」というConceptual Advanceを提唱することを目指します。

有賀 隆行

細胞内1分子力学操作による非熱的ゆらぎの影響解析

研究者
有賀 隆行

大阪大学
大学院生命機能研究科
准教授

研究概要

生体分子モーターは、環境の熱ゆらぎを利用して効率よく働くと言われてきましたが、実際に働く環境である細胞の中での効率計測はできていませんでした。一方、生きた細胞の内部では、熱ゆらぎだけでなく非熱的なゆらぎも自発的に生みだされています。本研究では、細胞内で単一分子を力学的に操作する手法を開発し、力学応答とゆらぎの計測を通じて、細胞内の非熱的なゆらぎが個々の分子の効率に及ぼす影響を解析します。

今井 裕紀子

ゼブラフィッシュから解く組換え開始の動的制御

研究者
今井 裕紀子

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

減数分裂期に起こる相同染色体の組換えは、次世代への遺伝情報の伝達を担い、生物に多様性をもたらす重要な過程です。本研究では、この組換えがどのようにして始まるのか、ヒトと類似した特徴をもつゼブラフィッシュをモデルにアプローチします。生殖細胞培養系を用いたライブイメージングと遺伝学・生化学的解析を組み合わせ、染色体構造や組換え因子といった高次構造体による組換え開始の動的制御を明らかにします。

神野 圭太

ベイズ的一細胞FRET計測で探る細胞シグナリングの適応原理

研究者
神野 圭太

中央研究院
分子生物研究所
助教

研究概要

細胞はシグナリング系と呼ばれる化学反応系を用いて動的に環境情報を処理する。この系は主に細胞集団の平均値を通して特徴付けられてきた。しかし近年の一細胞レベルの解析は、この系の挙動の細胞間のばらつきや時間的な揺らぎまでもが進化的に選択された性質であることを示唆している。そこで私はFRETと呼ばれる蛍光観察技術とベイズ推定の考え方を結合し、この系の動的な性質を一細胞レベルで特徴付け、その機能を考察する。

川本 晃大

Ⅲ型分泌系の細胞内機能構造の高分解能構造解析

研究者
川本 晃大

大阪大学
蛋白質研究所
助教

研究概要

細胞内での蛋白質間相互作用や過渡的に形成される複合体については構造解析が難しく構造-機能相関研究は遅れています。本研究ではミニセル化技術とクライオ電子顕微鏡による構造解析を組み合わせ、細胞内機能構造の高分解能解析技術を開発します。そして、蛋白質の輸送過程におけるⅢ型ニードル複合体構造や輸送装置の構造変化を明らかにし、効率の良い蛋白質輸送を可能にしているⅢ型分泌系の蛋白質分泌機構の解明を目指します。

栗原 美寿々

タンデムクラスタ配列を基盤とした新規動的高次構造体の解析

研究者
栗原 美寿々

北海道大学
大学院薬学研究院
助教

研究概要

近年、タンパク質やRNAを介した相分離によって核内空間が区画化され、複数の生体反応が混線せず進行するという考えが提唱されていますが、そこにゲノムDNAがどのようにして関わるのかはほとんど明らかになっていません。本研究では巨大タンデムクラスタ配列に注目し、近位ビオチンラベル法によって相互作用する分子を網羅的に同定します。これにより、核内空間構築における巨大タンデムクラスタ配列の役割を明らかにします。

坂本 寛和

神経伝達物質の放出確率を制御する超分子集合体の再構成

研究者
坂本 寛和

東京大学
大学院医学系研究科
助教

研究概要

神経伝達物質の放出確率は神経細胞・シナプスの種類によって大きく異なります。このような機能的多様性は複雑な脳神経回路を成り立たせる本質であると考えられます。本研究では、放出確率を制御する動的高次構造体として、四種の構成因子(Munc13、RIM、RIM-BP、CAST)から成る超分子集合体を想定し、in vitro再構成技術およびナノレベルの分子計測技術を構築することで、その動作原理を解明します。

下林 俊典

細胞内非膜型分子集合体の不均一核生成:定量的理解と光制御

研究者
下林 俊典

京都大学
iPS細胞研究所
准教授

研究概要

非膜型の分子集合体はいつどこで形成し生物学的機能を発揮するのだろうか?本研究では、光技術、細胞工学、物理理論を融合し、非膜型分子集合体が形成される過程を分子レベルから定量的物理的に解明する。その理解をもとに非膜型分子集合体の生成を時空間的に厳密に制御する新たな技術を開発し非膜型分子集合体の機能に迫る。

坪山 幸太郎

人工タンパク質による、高次構造体の自由自在な解体・分解

研究者
坪山 幸太郎

東京大学
生産技術研究所
講師

研究概要

細胞内の非膜型オルガネラは、転写や翻訳の制御などの機能を持つことが示されています。しかし、内在性の非膜型オルガネラを特異的に解体・分解し、その機能を解明することは困難です。そこで、生体分子の相互作用を操作可能な人工タンパク質を創造し、その特徴の理解を目指します。そのような理解に基づき、多彩な非膜型オルガネラを自由自在に解体、分解する技術を確立し、非膜型オルガネラの生物学的意義を明らかにします。

寺坂 尚紘

相分離進化工学による人工オルガネラの創成

研究者
寺坂 尚紘

東京工業大学
地球生命研究所
特任准教授

研究概要

相分離タンパク質・RNAを用いた人工非膜型オルガネラ研究が近年報告されていますが、天然を超えるような機能を創出することは未だ困難です。本研究では、一億種類という高多様性ライブラリーを用いた、相分離タンパク質・非膜型オルガネラの分子進化系を構築し、コンパクトなde novo相分離タンパク質タグの開発や高効率カスケード反応を可能にする人工オルガネラの創成を目指します。

中村 秀樹

解糖系高次構造体の時空間操作技術によるグルコース代謝制御の解明

研究者
中村 秀樹

京都大学
白眉センター
特定准教授

研究概要

合成生物学分野の技術を解糖系酵素高次構造体に応用し、生きた細胞内で構造体の集合・離散を、小分子化合物や光刺激により高い時空間分解能で「操る」技術を確立します。この技術による高次構造体の集合・離散操作による影響を、蛍光イメージングで「見る」・近接ラベリングを用いたプロテオミクス解析で網羅的に「知る」という多角アプローチで解析し、動的高次構造体の理解を通してグルコース代謝の制御機構に迫ります。

畠 星治

“可逆的な液・固相転移”による細胞内構造体の構築解体機構の解明

研究者
畠 星治

東京大学
大学院薬学系研究科
特任講師

研究概要

これまで、細胞内の構造体は、様々な構成分子が確率論的に出会い会合していくことにより、レゴブロックが積み重なるかの如く組み立てられると考えられてきました。しかし、細胞内には”短時間”で構築・解体される巨大な構造体も存在します。本研究では、既存モデルでは説明の難しい巨大な構造体の迅速な構築・解体機構について、”液・液相分離”と”可逆的な液・固相転移”に基づく革新的な理論の構築を目指します。

日比野 佳代

超解像・1分子計測によるヒト染色体凝縮機構の解明

研究者
日比野 佳代

情報・システム研究機構
国立遺伝学研究所
助教

研究概要

染色体凝縮は、長大なヒトゲノムDNAを1万分の1の長さの棒状構造に変換する驚異的な自己組織化過程です。凝縮には染色体関連タンパク質、特にコンデンシンDNAモーターが必須ですが、モーター活性がどのように凝縮に寄与しているかは分っていません。そこで、染色体凝縮中のヌクレオソームの動態や構造とコンデンシンなど凝縮関連タンパク質の動態を超解像・1分子イメージングし、染色体の構築原理を明らかにします。

松尾 芳隆

リボソームの交通渋滞を解消するしくみと生理的意義の解明

研究者
松尾 芳隆

東京大学
医科学研究所
准教授

研究概要

翻訳の伸長反応は、緩急を伴ったダイナミックな反応であり、速度調節によって遺伝子発現を制御しています。ストレスなどによってこの速度調節に異常が生じると、リボソームの交通渋滞が形成され、その蓄積が引き金となりアポトーシスや自然免疫応答が誘導されます。本研究では、異常翻訳の実体であるリボソームの交通渋滞の形成と解消を試験管内で再現し、その動態を1分子レベルで可視化します。

李 勇燦

物質吸収を担う刷子縁膜の高次構造動態とその破綻メカニズムの解明

研究者
李 勇燦

横浜市立大学
大学院生命医科学研究科
助教

研究概要

腸や腎臓の上皮細胞では、刷子縁膜と呼ばれる高度に発達した膜構造が効率的な物質吸収を実現しています。本研究では、この刷子縁膜を電子顕微鏡グリッド上に形成する細胞培養技術を確立し、電子線トモグラフィーによってその内部構造体と空間分布を直接観察します。さらにサブトモグラム平均化法を用いることで、主な構造体に関してはナノメートル以下の分解能で構造を解明することを目指します。

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