[量子情報処理] 令和3年度採択課題

秋笛 清石

高機能量子通信プロトコルにおける量子操作の分散効率化と評価

研究者
秋笛 清石

日本電信電話(株)
コミュニケーション科学基礎研究所
研究主任

研究概要

商用化の進む量子鍵配送に続く量子情報処理技術として注目される、高機能量子暗号や多ノード間量子通信などの高機能量子通信の実現には、各ノードでの量子操作やノード間で共有する量子もつれの効率化が求められます。本研究では通信プロトコルの特徴を踏まえた、量子操作の汎用的な分散効率化手法と量子もつれの共有困難性の評価方法・最小化方法を確立することで、高機能量子通信の社会実装への道筋と理論的基盤を築きます。

池田 達彦

多体波動関数物性の量子シミュレーション

研究者
池田 達彦

科学技術振興機構
さきがけ研究者

研究概要

量子多体系の波動関数には本来、物性を決定する様々な情報が含まれていますが、その全てを計算することは古典コンピュータには非常に難しい課題です。本研究課題では、商用量子コンピュータ実機および GPU シミュレータを使って量子多体系の波動関数を解析するための技術的基盤を構築します。さらにこの技術を用いて、物性物理学や量子統計物理学の未解決問題を解決することを目指します。

伊藤 悦子

符号問題が生じる場の理論の古典量子計算法の開発

研究者
伊藤 悦子

京都大学
基礎物理学研究所
准教授

研究概要

素粒子の物理を記述する場の理論のシミュレーションに有効な量子計算のアルゴリズムを開発します。複数の古典量子ハイブリッド計算法を実装し、どの手法が有効であるかの検証を行います。またこれらの計算法を用いて、従来のモンテカルロ法では計算が困難な符号問題の生じる系の性質を明らかにします。基本コードは公開し分野の素粒子原子核理論分野の発展に役立てます。

遠藤 傑

量子エラー抑制の基礎理論の構築および実用的手法の提案

研究者
遠藤 傑

日本電信電話(株)
NTTコンピュータ&データサイエンス研究所
准特別研究員

研究概要

近年、量子エラー抑制と呼ばれる、量子コンピュータの計算エラーを取り除く手法が盛んに研究されています。本研究では、様々に提案されている量子エラー抑制技術に統一的な定義を与えます。そして、量子エラー抑制手法を組み合わせることにより、効率的で、複雑なノイズにも対応できる、実用的な量子エラー抑制技術を提案します。さらに、量子エラー抑制を組み込んだ効率のよい誤り耐性量子計算手法も提案します。

大戸 達彦

第一原理計算と量子アルゴリズムをつなぐ多階層計算手法の開発

研究者
大戸 達彦

名古屋大学
大学院工学研究科
准教授

研究概要

密度汎関数法プログラムと量子アルゴリズム間を接続するインターフェースを開発し、水中の溶質分子や固液界面に吸着した分子など、大規模現実系を対象とし、周囲の影響を埋め込みポテンシャルとして取り入れながら変分量子公固有値ソルバーによる高精度第一原理計算を行います。エネルギーの計算だけではなく、量子アルゴリズムの適用範囲を第一原理分子動力学法にまで拡張し、高精度計算手法による表面反応解析を行います。

桑原 知剛

量子多体理論を用いた量子計算機の高速アルゴリズムの開発

研究者
桑原 知剛

理化学研究所
量子コンピュータ研究センター
理研白眉研究チームリーダー

研究概要

量子多体系の計算複雑性を解明することを目的として、ハミルトニアン複雑性と呼ばれる研究分野が現在発展しています。ハミルトニアン複雑性は量子超越性の証明や精度保証のある量子アルゴリズムの開発において大きな注目を浴びてきました。この分野は計算機科学と物理学の境界研究領域であり、様々な未解決問題は数学的に明瞭な形で定義されています。本研究の目的は、これらの数学的な未解決問題を解決することにあります。

本多 正純

初期宇宙解明に向けた量子アルゴリズム開発基盤の創成

研究者
本多 正純

理化学研究所
数理創造プログラム
上級研究員

研究概要

私たちの宇宙が始まったばかりの頃、宇宙では実際に何が起こっていたのでしょうか。この疑問に答えるには、初期宇宙を支配する物理法則を解明すると共にその時間発展を調べる必要がありますが、これは従来の計算技術では膨大な計算量を必要とすることが知られています。本研究では、量子計算によりこの状況を打開することを将来に見据え、初期宇宙解明のために必要な量子アルゴリズムの開発・確立を目指します。

山本 大輔

人工量子系における量子状態同定および量子もつれの定量化法の開発

研究者
山本 大輔

日本大学
文理学部
准教授

研究概要

人工量子系を用いた量子コンピューティング・量子シミュレーションのためには、マクロな物理量だけでなく、量子状態そのものの同定や量子もつれの定量化が不可欠です。本研究では、特に光格子中の冷却原子系を適用先として設定し、効率的操作と現実的コストで可能な量子状態再構築法の開発や、そのポストプロセスのアルゴリズム構築を行います。冷却原子量子シミュレータへの実装を経て、一般の人工量子系への適用を目指します。

吉岡 信行

量子並列回路を用いた計算基盤の構築

研究者
吉岡 信行

東京大学
大学院工学系研究科
助教

研究概要

量子情報技術の進展によって、大規模な量子計算機に手が届く時代が到来しようとしている中、誤り耐性のない量子的なリソースを最大限活用する試みは、まだまだ発展途中の段階にあります。本研究では、並列実行される量子回路間に、制御された量子相関や古典事後処理を導入することを通じて、実行可能な高精度演算を押し広げる枠組みを構築することを目指します。

渡部 昌平

虚時間量子ツールボックスの開発

研究者
渡部 昌平

芝浦工業大学
工学部
准教授

研究概要

持続可能な社会を目指す現代において組合せ最適化問題の解決は重要な課題です。量子アニーリングは量子効果を使ってこの問題を解くユニークな手法ですが、課題も知られ現在精力的に研究が進められています。本研究では、組合せ最適化問題の新しいソルバーとして、虚時間量子アニーリング向け量子コンピュータの実現方法を構築します。さらに、効率化の手法を開発し、これらを組み込んで虚時間量子ツールボックスを開発します。

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