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- [光操作] 平成30年度採択課題
東京工業大学
科学技術創成研究院
准教授
紫外・可視光を用いる光技術は、分子特異性に優れる一方、適用できる範囲は局所に限られます。そこで本研究では、生体透過性に優れた磁場を用いる技術に、伝達経路に応じた機能を発現する磁性ナノツールを組み合わせることで、この問題の解決を図ります。これにより、分子レベルかつ遺伝子工学フリーで脳広域や深部を観察・操作できる磁場照射技術を確立します。
東京大学
大学院総合文化研究科
准教授
脳はおおくの神経細胞が織りなす情報伝達により機能を発揮しますが、こうした情報伝達を行動中の動物の脳において計測することはこれまで困難でした。本研究は、大規模な神経活動計測技術と光遺伝学を組み合わせることで、神経細胞間・脳領域間の情報伝達を生体脳において計測する新たな手法を開発します。また、この計測手法を記憶に重要な海馬体に適用し、記憶情報の生成・伝搬のメカニズムを明らかにします。
モナシュ大学(オーストラリア)
バイオメディシン・ディスカバリー研究所
グループリーダー
大脳皮質の情報処理の演算ユニットは神経細胞です。その細胞内構造である樹状突起は、微小な入力信号を電気的に増幅できます。今までネットワークの計算と思われていた非線形な視覚応答が、樹状突起の演算で生じることを因果的に示すため、マウス大脳皮質視覚野4層の単一神経細胞にて樹状突起活動を光操作・測光します。樹状突起が演算サブユニットとして持つ豊かな計算能力を示すことで、皮質情報処理に対する理解を変えます。
自然科学研究機構
基礎生物学研究所
助教
AGCキナーゼは真核生物に広く保存された蛋白質リン酸化酵素のファミリーであり、多様な細胞機能を制御する細胞内シグナル伝達において中心的な役割を担っています。本研究では、このキナーゼ活性を光により直接的に操作することを可能とする、時間・空間分解能の高い光遺伝学ツールを開発します。開発したツールを利用し、植物の生理応答を含めた真核生物の細胞機能を制御することを目指します。
豊橋技術科学大学
大学院工学研究科
准教授
オプトジェネティクスにおいて従来の光ファイバを用いた光操作技術から,無線電力給電や多点刺激が可能なLEDデバイスによる光刺激が注目されています。本研究では,脳の各層間および各領域間における神経ネットワークを明らかにするために,超低侵襲・局所刺激・多点刺激・多波長刺激を可能にする侵襲型LEDプローブを開発します。
京都府立医科大学
大学院医学研究科
教授
本研究では、マウスの遺伝学的に同定した特定味細胞の活動を、自発的飲水行動に同期した光操作法により人工的に増強または抑制することで、擬似的な「光味覚」を創出し、光味覚に対する味細胞活動と動物の味覚行動への影響を観察・計測します。これにより、味に対する認識・欲求・満足感を規定する末梢感覚入力と中枢神経回路の関係を解明するとともに、生活習慣病の予防戦略を提案します。
東北大学
大学院生命科学研究科
助教
我々ほ乳類の睡眠は、レム(急速眼球運動)睡眠とノンレム睡眠から構成されています。本研究では、そのうちレム睡眠特異的に観察される生理反応制御に、グリア細胞活動が貢献しているという新たな視点でのメカニズム解明を目指します。特に、脳血流・エネルギー代謝動態、さらには夢見に至るまで、光計測を軸に研究を展開していきます。
東京大学
物性研究所
助教
細胞内シグナル伝達系を駆動する動物のオプシンは光操作ツールとして多くの利点を持ちますが、これまでは光でシグナル伝達をONにする光ON型オプシンに限られていました。本研究では、これとは反対に暗中で伝達系を駆動し、光を受けて駆動を止めるという新たな性質を持つ光OFF型オプシンを用い、高感度かつ自然な視覚再生技術の構築に取り組みます。またこれによりOFF型光操作という新しい光操作技術の基盤確立を目指します。
筑波大学
医学医療系
助教
革新的な光操作技術の開発には分子レベルでの光反応機序の解明が不可欠です。本研究課題では、これまで転写因子としての機能に注目が集まっていた哺乳類の非オプシン型タンパク質Cryptochrome (CRY) の非視覚光受容における役割を明確にし、哺乳類における新規光応答メカニズムに分子レベルで迫ります。さらに、光による分子的ダイナミクスを利用して革新的な光遺伝学ツールへ発展させることを目指します。
横浜国立大学
大学院工学研究院
助教
本研究では、希土類元素を用いたプローブを生体透過性の高い近赤外光で励起することで、生体深部における細胞の3次元マルチカラー光操作法を開発することを目指します。本手法により、従来困難であった生体深部における複数種の光活性化タンパク質の操作や、一細胞スケールでの三次元的な光操作が可能になります。
同志社大学
大学院脳科学研究科
教授
神経細胞からなる塊やファイバーを脳に移植し、移植した神経細胞の活動を光遺伝学の技術を用いて操作することによって、新たな神経回路を創出する技術を開発し、脳機能の拡張を目指します。この技術を、まずはげっ歯類の脳に、次に非ヒト霊長類の脳に応用します。将来、この技術は、神経疾患で途絶えた神経回路の治療への応用も期待されます。