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- [光操作] 平成29年度採択課題
東京大学
定量生命科学研究所
准教授
ヒトを含めた社会を形成する動物は、集団内の他個体を記憶(社会性記憶)し、それぞれの相手に対して適切に振る舞うことで適応的な社会を形成していますが、自閉症スペクトラム障害患者は、この社会性情報の処理過程に異常を示します。そこで本研究課題では、「樹状突起スパインの情報処理」を解析するための光を用いた新規技術を開発し、自閉症脳における「スパイン集団」の情報表現や情報処理の変化を解析します。
東京大学
大学院総合文化研究科
准教授
複数個体のマウスを用いたファイバーフリー光遺伝学や、軸索分岐毎にシナプス伝達抑制を試みる光遺伝学、といった発展的な光遺伝学実験を可能にするための新たなツール開発を試みます。具体的には光駆動性イオンチャネルの構造解析を行い、その構造情報を元にオフキネティクスの長い光駆動性Cl-チャネル、生理的条件下で利用可能な光駆動性K+チャネルの開発を目指します。
東京大学
大学院総合文化研究科
助教
本研究では、抗体を介してタンパク質などの生体分子(抗原)の機能を光制御するために、光スイッチタンパク質を抗体に融合し、光で自由自在に抗原結合活性を変化させることが可能な光駆動型抗体を開発します。当該抗体は抗体部位を別の抗体に置き換えるだけで容易に標的とする生体分子を切り替えることが可能です。これにより細胞内外のあらゆる生体分子を光操作の対象にできる汎用性に極めて優れた光操作技術の創製を目指します。
自然科学研究機構
生理学研究所
助教
経シナプス性ウイルストレーサーは、神経回路の構成を解析することができる強力な実験手法です。本研究では、光による神経活動の操作・解析を行うことができる、新しい経シナプス性ウイルストレーサーを開発します。それにより、神経回路単位での活性状態の変化を解析できる方法を確立します。さらにこの方法を用いて、摂食に関わる神経回路の機能を明らかにします。
東京大学
大学院薬学系研究科
特任准教授
生物の精神機能の中枢は脳ですが、生命システムには、末梢活動が精神機能を制御する潜在的な仕組みも多数存在します。しかし、その生理学的な意義はほとんど未解明です。この課題に挑むために、本研究では、末梢部位の活動を正確に制御する光操作法を開発します。新しい末梢光操作法と全身計測法を融合することで、末梢中枢連関の問題に挑み、精神機能調節における末梢活動の位置付けや因果関係を検証します。
京都大学
大学院理学研究科
助教
フリッパーゼは脂質輸送体の一つであり、生体膜機能である小胞輸送・細胞骨格形成などの活性調節や、細胞増殖・細胞形態などに関与するシグナル因子の膜集積・活性化に関与します。本研究では光によるフリッパーゼの活性調節を介した生体膜機能制御を目指します。確立したシステムを動物細胞に応用することで、フリッパーゼが関与する細胞の形態、運動、接着などの新規メカニズム提案と、光制御の可能性を検証します。
神戸大学
大学院理学研究科
准教授
この十数年間に、外来の(異なる生物種由来の)光受容タンパク質遺伝子を強制発現させて、動物の神経活動などを光で操作する技術は爆発的に発展しています。この研究提案では、外来遺伝子を用いるのではなく、研究対象の動物に内在する受容体遺伝子を活用して生命機能を光操作する技術の開発に取り組みます。そして、これまで以上に幅広い動物種・生命機能に光操作技術を適用できるようにします。
北海道大学
電子科学研究所
教授
従来よりも数10倍高速な、1,000ボリューム/秒の超高速3D蛍光顕微鏡技術を開発する。これにより、活動する生物をリアルタイムかつ正確に記録し、神経活動をはじめとする様々な生命活動の組織・細胞レベルでの理解に貢献する。
理化学研究所
生命機能科学研究センター
チームリーダー
脳の機能を詳しく調べるためには、遺伝子の発現パターンに基づいて特定のタイプのニューロンを研究する必要がありますが、マウス以外の哺乳動物ではこれまで困難でした。本研究は、動物個体の脳内でウイルスベクターによるゲノム編集を行うことで、さまざまな哺乳動物において特定のタイプのニューロンを標的とした光遺伝学を可能とします。これを用いて、社会行動を司る視床下部の神経回路の機能について比較解析します。
長崎大学
大学院医歯薬学総合研究科
教授
本研究では、「眠れる遺伝子」を標的とした光操作技術を新たに提案することを目指します。「眠れる遺伝子」とは、「メチル化修飾によって発現が抑制された状態にある遺伝子」のことです。メチル化修飾を受けた標的遺伝子に対し特異的に反応する光応答性核酸を用い、遺伝子を配列特異的に「脱メチル化」する手法を開発します。さらには、この手法を駆使して新たな細胞分化制御法を構築することに挑戦します。
名古屋工業大学
大学院工学研究科
助教
本研究では、蛋白質の細胞内局在を制御する化合物にさまざまな光スイッチを導入した光機能性小分子を新規開発します。それらをゲノム編集技術と融合することで、タグ付けした内在性シグナル分子の局在をさまざまな波長や時間パターンで簡便かつ自在に光操作可能な汎用的基盤技術を構築します。これにより、従来のオプトジェネティクスのアプローチでは困難な「細胞内在性シグナル分子の自在な光操作」を実現します。
佐賀大学
医学部
准教授
光操作法には、他の神経刺激法にはない、次のような優れた点があります。(1)治療に関連する神経細胞のみを刺激できるため、電気刺激では問題となる刺激の拡散による副作用を無くすことが可能です。(2)ミリ秒単位での刺激ができるため、薬よりもより短い時間の神経刺激が可能です。そのため、神経の可塑性を導ける可能性があります。これらの利点を使って、脳神経疾患治療に新たな地平を開きます。