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- [光操作] 平成28年度採択課題
五十嵐 啓
カリフォルニア大学アーバイン校
医学部
アシスタントプロフェッサー
本研究では、記憶行動中のマウス記憶回路(海馬および嗅内皮質)で生じる「脳オシレーション同期」を、電極から記録した脳活動をもとに、高速光操作法により人工的に抑制または増強し、神経細胞の発火活動と動物の記憶行動への影響を計測します。これにより、脳記憶回路の情報交換メカニズムを解明するとともに、アルツハイマー病モデルマウスの脳回路機能の回復を目指します。
伊藤 博
マックスプランク脳科学研究所
リサーチグループリーダー
ヒトやラットは脳内に空間地図を描くことで目的地へ効率よくたどり着くことを可能にしていますが、こうした脳内モデルがどのように実際の行動決定に関わっているかはほとんど分かっていません。本研究では、光感受性たんぱく質と空間選択的光照射技術とを組み合わせることにより、特定の神経細胞群の活動を変化させ脳内モデルを操作することを試みます。これにより脳内モデルを行動に結びつける神経回路の解明を目指します。
井上 謙一
京都大学
霊長類研究所
助教
本研究では、霊長類を対象として、独自に確立した神経路選択的な光操作による脳機能解析法を基盤に、記録部位および刺激部位を拡大した「光刺激による神経ネットワークの高解像度5D解析法(5D=神経路x時間x3次元空間)」を達成します。これにより、特定の神経投射を介する入力が、ターゲットである脳領域内のネットワークダイナミクスにどのような影響を与え、それが行動発現にどのように寄与するのかを詳細に解析します。
大川 宜昭
獨協医科大学
先端医科学統合研究施設
准教授
記憶は、学習時の情報の入力に応答して活性化した一群の神経細胞に蓄えられることが実証されています。この細胞を”記憶痕跡細胞”と呼びます。本研究課題では、学習前・学習中・学習後の記憶痕跡細胞に特有の活動パターンを観察することで、記憶の情報処理のタイミングを見出します。さらに、得られた情報をもとにして、記憶痕跡細胞の活動を操作し対応する記憶の質的変化を調べることで、記憶の新しい操作法の確立を目指します。
川上 隆史
山梨大学 大学院
総合研究部
助教
現在、光を利用した生体機能メカニズム解明の研究は、光受容たんぱく質など、100残基以上の大きなたんぱく質プローブで行われています。本研究では、光観察・光操作が可能な有機小分子を特異的に結合する10アミノ酸程度のペプチドタグを遺伝子操作でターゲットたんぱく質に組み込み、非常に小さい分子を利用して生体分子を観察・操作する技術を開発します。これにより、光を用いた生命科学研究に新しい流れを作ります。
河野 恵子
沖縄科学技術大学院大学
膜生物学ユニット
准教授
細胞老化のメカニズムの1つとして、細胞膜の重篤なキズにより老化が起こるという説が発見されました。本研究では、このメカニズムを細胞脂質の障害・リクルートを光操作することにより解析します。この研究により、細胞老化の新奇のメカニズムを解明するとともに、光による細胞老化を制御する可能性を検証します。さらに、細胞のがん化に関する新しい機構を提案します。
高山 和雄
大阪大学 大学院
薬学研究科
招へい教員
本研究では、光照射によりゲノム編集および遺伝子発現操作できるCRISPR/Cas9システムを構築し、遺伝子導入効率に優れたアデノウイルスベクターに搭載します。本技術を開発することによって、動物や臓器の種類を問わず高い時空分解能を有したゲノム編集および遺伝子操作を可能とし、光照射によって高精度な生命機能メカニズム解明や疾患治療を実現させることを目指します。
角田 聡
科学技術振興機構
さきがけ研究者
フォスフォジエステラーゼ(PDE)は細胞内シグナル伝達物質であるサイクリックヌクレオチドを必要に応じて加水分解し、シグナル伝達調節を行う重要な酵素であり、創薬分野の重要なターゲットです。本研究ではフォスフォジエステラーゼ(PDE)の光制御を目指します。これによりシグナル伝達を高い時空間精度で制御する手法を確立します。それを応用し、高感度でより生理条件に近い視覚再生に向けた基盤技術形成に挑戦します。
徳田 崇
東京工業大学
科学技術創成研究院
教授
本研究では、生体内マイクロエレクトロニクスデバイス技術によって、オプトジェネティクスに応用できる光操作デバイスを実現します。CMOSマイクロチップを搭載しながら、体外から配線接続が不要な完全埋め込み型のデバイスを実現します。この技術により、従来は光ファイバで束縛されていたり、ワイヤレス型であっても動物に負担が大きかった光操作を、動物の負担が少なく、自由行動下で行うことが可能になります。
野間 健太郎
名古屋大学 大学院
理学研究科
特任助教
遺伝子の変異は様々な疾患を引き起こすので、遺伝子と生命機能の関係を理解することは非常に重要な課題です。本研究では光を用いることによって、これまで不可能であった特定の遺伝子あるいは遺伝子群にランダムな変異を誘発するフォワードジェネティクスの新しい方法を開発し、これを遺伝子スクリーニングと組み合わせることによって、神経系ではたらく遺伝子の機能と遺伝子相互作用の解明を目指します。
野村 雄高
自然科学研究機構
分子科学研究所
助教
生体深部の細胞で起きる現象を観察するために、二光子蛍光顕微鏡が広く利用されてきました。しかし、従来の二光子蛍光顕微鏡では近赤外のレーザー光を励起光として用いるため、細胞内における散乱や吸収の影響により、生体深部の細胞まで励起光が届かないという課題がありました。本研究では、さらに長波長の超短パルスレーザー光源を開発し、それを多光子顕微鏡に適用して、従来の顕微鏡の限界を超えることを目指します。
丸山 剛
早稲田大学
高等研究所
講師
本研究では、オプトジェネティクスとCRISPR/Cas9システムを融合させることで、任意の時間・組織でモザイク状にがん変異細胞を誘導できる高精度Opt-CRISPRedマウスを開発します。これにより、超早期段階での変異細胞の動態を、世界で初めて生体内で観察します。上皮細胞層における変異細胞-排除機構を生体レベルで解明することで、がんの予防的治療のための革新技術の創出を目指します。
山下 貴之
名古屋大学
環境医学研究所
准教授
哺乳類生体深部の特定の細胞機能を体外から自由に操作するためには、新しい光送達技術の開発が必要です。本研究では、マウスの脳をモデルとして、生体を透過する種々の電磁波を受容し可視光を放出するナノ材料を用いた、極めて低侵襲的・広範囲かつ高時間分解能の脳深部光操作法を確立し、動物行動の神経基盤の解明のための強力な基盤技術の開発を目指します。