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- 西澤完全結晶プロジェクト
総括責任者 西澤 潤一
(東北大学 電気通信研究所 教授)
研究期間:1981年10月~1986年9月
完全結晶技術と静電誘導制御理論を組合わせることを基本とし、結晶欠陥の極めて少ないシリコン、ガリウム砒素等の結晶材料を追求することにより、超高速素子、大電力素子、光学機能素子などの創出をねらいとしました。
研究では、ガリウム砒素系化合物結晶について、化学量論的組成を得るための生成法、成長法を追求し、不純物混入のない完全な結晶育成技術を確立しました。その後、この成果をもとに開発が行われ、GaAs大型単結晶引き上げ技術が企業化されました。また、分子精度で結晶成長できる光励起分子層エピタキシャル成長法を実現しました。さらに、高速、低雑音、低消費電力等の静電誘導効果の特徴を利用した両面ゲート型静電誘導サイリスタ、光学機能素子などの作成を行い、新世代の素子群としての可能性を見い出しました。
半導体基板上(GaAs, AlxGa1-xAs, Si)に紫外光を照射させ1分子層ずつ精密に単結晶をエピタキシャル成長させることを、世界で初めて実現した。
光励起分子層エピタキシャル成長法を用いて将来超高速スーパーコンピュータに不可欠な素子であるGaAs理想型 SIT の試作を行った。
縦型 SIT-CMOS を試作し、1ゲート当たりのスイッチ速度が65psという同一寸法の FET-CMOS をはるかに凌駕する世界最高速が得られた。
半導体材料として今後極めて有望視されている GaAs 化合物の単結晶作製過程に、As圧制御法を導入することにより、結晶欠陥の極めて少ないGaAs単結晶を作製することに世界で初めて成功した。
両面ゲート静電誘導サイリスタの製作に必要な基本技術を確立し、順阻止電圧1800V、最大可制御電流1000A、スイッチ時間0.37μsecという素子を世界で初めて実現した。
静電誘導トランジスタ(SIT)の展開として微弱な光を増幅し、電気信号に変換する超高感度静電誘導フォトセンサーの試作を行い、六角形セル、新規な信号処理法を実現した。
▲GaAs完全結晶の成長
砒素気体中で圧力を加えながら結晶成長を行うことで、不純物蛹?翌齒]来法に比べ1/20程度のほぼ完全な結晶が得られた。GaAsを用いた高速素子蜚?w?子の基板として利用される。
▲静電誘導型イメージセンサーの試作
静電誘導効果を利用し、(非常に)暗い所でも明るい所でも使用できるイメージセンサーを試作した。天文学など様々な分野の計測への応用が期待される。