五十嵐デザインインタフェースプロジェクト

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研究総括 五十嵐 健夫
(東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授)
研究期間:2007年~2012年

 

 

メディア表現のための技術では、スケッチから3次元モデルを作成する技術、布や紐などを自由に操作する技術、流体現象を含むイラストを描く技術、などの成果により、「訓練を受けていないユーザのための3次元CG制作・編集のための技術」という新しい流れを作り出しました。生活デザインのための技術では、拡張現実感技術を利用して家具や衣服デザインを行う技術、スケッチで椅子をデザインする技術、家具モデルから製作のための構造を推測する技術、物理シミュレーションを利用して家具や衣服をデザインする技術、などの成果により、「実世界で使うことのできる実物体のデザインを初心者でも簡単に行えるようにするための技術」という新しい流れを生み出しました。ロボット行動デザインのための技術では、カードを置くことでロボットに指示する技術、マウス操作で服の畳み方や料理プロセスを教える技術、俯瞰カメラ画像を使ったロボット操作およびプログラミング環境の技術、布を使った簡易的なセンサ技術、カメラ付き扇風機で風を制御する技術、などの成果により、「ロボットや次世代家電のための多様なユーザインタフェース」という新しい技術の流れができました。

 

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研究成果集

映像表現のための技術グループ

少数の例からの自動学習や高速流体シミュレーションなどの先端技術を活用することで、これまで手書きですべて描くには複雑すぎて利用することが困難であった豊かな表現を手軽に利用できる技術を開発した。具体的には、多量の微細なストロークからなるスケッチ画の描画、心臓を描画すると血流を即座にアニメーション表示するものなどを実現した。また、布や紐といった柔軟物を3次元空間内で自由に操るための手法も開発した。成果を代表する論文として、①Structured Annotations for 2D-to-3D Modeling (SIGGRAPH Asia 2009)、②折り重なった柔軟物体の重なり順の操作手法 (SIGGRAPH 2010)、③Vignette: ペンとインクでイラストを描くため描画ジェスチャー機能を持つ対話型テクスチャーデザインシステム (CHI 2012)、④Stick Figures: Stick Figuresを用いた人間の動作データの検索と可視化 (Pacific Graphics 2012, Best Paper)、⑤Sketch-Editing Games: ゲーム理論を適用したマン・マシン コミュニケーションの作図システム (UIST 2012)、⑥Facetons:面を基本要素とした3次元モデリング (VRST 2013, , Best Paper)などがある。

 

生活デザインのための技術グループ

拡張現実感技術を応用し、現実世界の中で家具や衣服をデザインする技術の開発をおこなった。また、モデリング作業の最中にバックグラウンドで物理シミュレーションを実行し、その結果を継続的にフィードバックすることで、物理的要求を満たしつつ自由に形状をデザインする技術を開発した。具体的には、椅子、鉄琴、風船、モビール、衣服のデザインシステムを開発した。また、新しい実世界への出力デバイスとして、物体表面に自由に文字や模様を印刷する技術の研究開発にも行った。成果を代表する論文として、①Modeling-in-Context: ガイドに1枚の写真を使用するオブジェクトデザインシステム (SBIM 2010, Best Paper)、②Metallophone: 実時間固有値解析による自由形状を持つ鉄琴のデザイン (NIME 2010, Best Paper)、③Sketch Chair: エンドユーザによるオリジナル椅子デザインシステム (TEI 2011)、④Dress Up: マネキンを使ったドレスデザインのための3次元インタフェース (TEI 2012)、⑤Situated Modeling: 仮想現実感環境における形状スタンプによるモデリング (TEI 2012)、⑥Sensitive Couture: 実時間物理シミュレーションによる衣服デザイン(SIGGRAPH 2011), ⑦Guided Exploration: 物理的制約を考慮した家具デザイン(SIGGRAPH 2012)、などがある。

 

ロボット行動デザインのための技術グループ

ロボットや家電といった実世界システムに対して、視覚的・空間的な指示を出す手法の研究開発を行ってきた。具体的には、環境にカードを置いて指示を出す方法、カメラ画像に写った家電機器やロボットを画面上で直接触って操作する方法、ペイントインタフェースで制御できるロボティック照明、などを開発した。また、クッションの押され具合を計測するセンサ、ぬいぐるみに取り付けてロボット化するデバイス、カメラを内蔵し風を制御する扇風機、自動で容量の変わる計量スプーンといった、日常的なものにアクチュエータやセンサを埋め込んだ新たな使い方を提案した。成果を代表する論文として、①Magic Cards: 非明示的なロボット操作のためのカードインタフェース(CHI 2009)、②CRISTAL: テーブル内に埋め込んだディスプレイとタッチ入力インタフェースを用いた家電操作インタフェース (SIGGRAPH 2009 Emerging Technologies: Best of Emerging Technologis Award)、③TouchMe: CG重畳表示を用いたロボットの直接操作手法 (ICAT 2011: Honorable Mention)、④smoon: 計らなくて済むスプーン(インタラクション2011: インタラクティブ発表賞)、⑤FuwaFuwa: 反射型光センサによる柔軟物体への接触位置および圧力の計測手法の提案と応用 (UIST 2011) 、⑥PINOKY: ぬいぐるみを非侵襲的にロボット化する技術(CHI 2012)、⑦Lighty: 照明制御のためのペイント型インタフェース(Visual Computer 2013)、などがある。

 

研究成果

評価・追跡調査

プログラム

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