個別事業紹介

幹細胞操作技術開発領域

・ヒトiPS(人工多能性幹)細胞のような世界をリードするような多能性幹細胞等の新規幹細胞創出
・無血清培養等医療として実用化する際に必要となる技術開発
・有用細胞作成のための分化誘導技術開発 等
本領域では、成果の社会への還元のため、5年以内に実用化への移行を目指します。

ヒトiPSならびにES細胞を用いた安全かつ効率的な造血幹細胞分化法の開発

谷 憲三郎

谷 憲三朗(タニ ケンザブロウ)
九州大学 生体防御医学研究所ゲノム病態学分野 教授

ヒトiPS細胞の開発により自己の細胞を用いた再生医療の実現が極めて現実的になってきましたが、治療用に同細胞より分化した細胞を大量に得る技術はまだ確立されてはいません。
本研究では特に血液細胞を作る源となる造血幹細胞に焦点を当て、安全性の高い遺伝子導入法を用いて、ヒトiPS細胞ならびにヒトES細胞から同細胞への安全で効率的な生産技術の確立を目指します。
これにより、より安全で簡便な造血細胞移植療法や輸血療法の開発が可能になるものと考えています。

iPS細胞から膵β細胞への分化制御と糖尿病再生医療の基盤開発

粂 昭苑

粂 昭苑(クメ ショウエン)
熊本大学 発生医学研究センター 幹細胞部門 多能性幹細胞分野 教授

本研究ではマウス及びヒトiPS細胞から膵β細胞を培養下並びに動物の微小環境の力を利用して作成することを目標とします。
分化誘導、機能維持するための培養・保存条件の検討、糖尿病病態マウスへの移植により得られた分化細胞の性状と病態改善効果を解析し、安全性評価系を構築するなど、様々な技術開発を行い、糖尿病治療への応用を目指します。

再生医療対応ヒトES細胞樹立と長期安全性・品質保持システムの確立
-戦略的ヒトiPS細胞を先導する基盤研究-

阿久津 英憲

阿久津 英憲(アクツ ヒデノリ)
国立成育医療研究センター 生殖・細胞医療研究部 室長

幹細胞は再生医療という治療戦略の重要な一翼を担っています。
本研究では、ヒト胚性幹(ES)細胞の細胞移植療法への実用化を推進するために、ヒトES細胞樹立の段階から異種由来物の影響を排除し、完全ヒト型の培養システムを構築することを目標とします。
更に、異種由来物を排除する培養環境がヒトES細胞に与える長期的な影響を、ゲノム安定性、未分化性維持や分化動態に関して解析し、完全ヒト型培養システムによるヒトES細胞及びiPS細胞の最も安全で、品質を保つシステムを構築することを目標とします。

E-カドヘリンキメラタンパク質を接着マトリックスとしたES/iPS細胞の新しい単細胞培養システムの開発

赤池 敏宏

赤池 敏宏(アカイケ トシヒロ)
東京工業大学  生命理工学研究科 教授

我々は、マトリックス工学の視点からE-カドヘリン融合タンパク質を接着基質としたマウスES細胞の単一細胞での未分化維持培養系を確立しています。
組成可変な高機能化した接着マトリックスの設計と単一細胞レベルでの必要不可欠な分子生物学的な解析により、マウスiPS細胞、サル・ヒトES/iPS細胞のフィーダーレス培養条件の最適化を目指します。

ヒト間葉系幹細胞を機能性肝細胞として、移植医療に使用するための低分子化合物・細胞シートによる分化誘導技術の開発

汐田 剛史

汐田 剛史(シオタ ゴウシ)
鳥取大学 医学系研究科機能再生医科学専攻 教授

幹細胞の分化・増殖に、Wnt/β-catenin経路が重要です。
私たちはヒト間葉系幹細胞から肝細胞への分化誘導時にこの経路が抑制されており、この経路を抑制すれば肝細胞分化が促進されることを見出しました。
本研究は、この経路を低分子化合物により抑制し、細胞シートとの組み合わせにより、高効率で安定・安全な肝細胞の誘導法の開発を目指します。