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研究課題
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再生医療の実現化ハイウェイ

課題A
短期での臨床研究への到達を目指す再生医療研究

採択年度 平成24年度
研究課題名 磁性化骨髄間葉系細胞の磁気ターゲティングによる骨・軟骨再生
代表機関 広島大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
大学院医歯薬保健学研究院 教授 越智 光夫
分担機関 (株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
研究内容 本課題では、関節軟骨欠損と難治性骨折に対する低侵襲で有効性の高い細胞移植治療の確立を目指す。
高齢者が要介護になる主な原因として「関節疾患」と「骨折」が挙げられ、これら2つの疾患の予防と治療が超高齢化社会を迎える我が国の医療における喫緊の課題である。
そこで本研究では、磁性化した骨髄間葉系幹細胞を用い、体外から外磁場で細胞をコントロールすることで損傷部へ移植細胞を集積させる方法(磁気ターゲティング)を開発し、低侵襲で有効性の高い治療法の確立を目指す。臨床研究開始のために必要な磁性化間葉系幹細胞の品質評価と安全性評価に関する研究を行い、平成26年度に「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」へ臨床研究実施計画書の申請を行い、認可を得て臨床研究を開始することを目指す。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:161KB)
[厚生労働省] ヒト幹細胞臨床研究実施計画(平成26年10月承認)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:735KB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 iPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植による加齢黄斑変性治療の開発
代表機関 (独)理化学研究所
代表研究者
(所属 役職 氏名)
多細胞システム形成研究センター プロジェクトリーダー 髙橋 政代
分担機関 (公財)先端医療振興財団
研究内容 滲出型加齢黄斑変性は網膜色素上皮細胞(RPE)の老化によって引き起こされ、脈絡膜新生血管(CNV)による高度の視力低下をもたらします。抗新生血管薬(抗VEGF剤)の治療がある程度有効ですが、RPEの障害は治療できず根治のためには再生医療(細胞移植)が必要です。RPEは他家移植では拒絶反応を引き起こすことが知られています。iPS細胞の出現によって、RPEの老化によって引き起こされた加齢黄斑変性に対し、新生血管膜を手術で抜去し障害、欠損したRPEを自分の細胞で作った若いRPEで置き換えるという根本治療が可能となるのです。
過去の研究で、動物実験レベルでは生体内で機能を発揮するiPS細胞由来RPEの質と量が確保できていますが、そのままでは臨床研究には使用できません。すべての工程で使用材料をGMP(Good Manufacture Practice)に準拠した臨床使用可能な物に変更することが必要となります。さらに臨床に使う細胞を作るためには、環境が常時管理されたCell Processing Center(CPC)で作成される必要があります。また、毎回同等品質の細胞シートができることを品質管理基準を策定して確認し、さらに、iPS細胞を用いる臨床研究では最も大事な安全性の確保が必要です。RPEは視細胞外節の貪食や各種成長因子の分泌など特有の機能を有するので、これらを数値化し品質を検討したところ、遺伝子発現パターンと合わせて毎回同じ性質の細胞ができていることを確認しました。また造腫瘍性試験も3回繰り返し、純化したRPEでは腫瘍を形成しないことも確認しています。
今後、日本特有の制度である医師法による「臨床研究」と、薬事法による「治験」という二つのトラックをうまく活用し、世界標準治療となるように、よりよい治療を開発していきたいと思います。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:433KB)
[厚生労働省] ヒト幹細胞臨床研究実施計画(平成25年7月承認)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:1.0MB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 滑膜幹細胞による膝半月板再生
代表機関 東京医科歯科大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
再生医療研究センター センター長/教授 関矢 一郎
研究内容 半月板は膝関節にある線維軟骨で、クッションの機能を有します。 半月板損傷に対する治療の第一選択は半月板縫合術ですが、その適応は半月板手術全体の 10 %以下に限定され、また再断裂するリスクが少なくありません。
縫合術が不適応でやむなく広範囲に半月板を切除した場合、あるいは加齢により半月板の機能が低下した場合には、変形性膝関節症が生じます。半月板の損傷・変性や機能不全は若年から老年に幅広く分布し、超高齢化社会を迎えているわが国で解決すべき問題となっています。
私たちは 2000年より体性幹細胞の軟骨分化に関する研究を開始し、滑膜由来の間葉系幹細胞が自己血清でよく増殖し、軟骨分化能が高く、局所投与すると障害部位に接着し再生を促進することを多角的に明らかにしてきました。この成果を基に、 2008年より自己滑膜間葉系幹細胞による軟骨再生の臨床研究を開始し、安全性と有効性を確認しています。また 2004年より半月板再生に関する基礎研究を開始し、大型動物を用いて半月板再生に成功しています。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:190KB)
[厚生労働省] ヒト幹細胞臨床研究実施計画(平成25年3月承認)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:897KB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 培養ヒト角膜内皮細胞移植による角膜内皮再生医療の実現化
代表機関 京都府立医科大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
大学院医学研究科 教授 木下 茂 
分担機関 同志社大学
研究内容 角膜内皮細胞は角膜の透明性維持に必須の細胞ですが、霊長類の角膜内皮細胞は生体内では増殖しないことが知られており、疾病や外傷により角膜内皮機能不全に陥ると、角膜が混濁し重症の視力障害をきたします。現在行われている角膜移植手術の60%以上は角膜内皮機能不全に対する手術ですが、角膜内皮機能不全に対する角膜移植の予後は不良で、新規治療法の開発が望まれています。
我々は平成23年までに「角膜内皮機能不全は角膜内皮の組織幹細胞の枯渇によって生じ、生体外で培養した組織幹細胞を豊富に含む角膜内皮細胞移植の開発が不可欠」との着想のもと、角膜内皮機能不全に対する新規治療法の研究開発に積極的に取り組んできました。その中でRhoキナーゼ(ROCK)阻害剤が霊長類の角膜内皮細胞の増殖と基質接着性を促進することを見出し、従来は培養が困難であったヒト角膜内皮細胞の未分化性を維持した大量培養に成功しました。さらに我々はROCK阻害剤の角膜内皮細胞に対する作用を応用し、基質を用いずに培養角膜内皮細胞を眼内に注入する新しい角膜移植術考案し、ヒトと同様に生体内における角膜内皮細胞が増殖しないカニクイザルを用いた霊長類角膜内皮不全モデル細胞移植実験においてその有用性を確認しています。
本プロジェクトにおいてはまずROCK阻害剤を配合した新規ヒト角膜内皮培養液の最適化を行い、未分化性を維持した幹細胞成分を豊富に含んだヒト角膜内皮細胞の大量培養法の確立を行います。異なるドナー角膜内皮細胞を用いた応用研究により、再現性を持ってヒトに移植適用することの可能な培養ヒト角膜内皮細胞ロットを作製し、製造・品質管理工程の最適化、特性解析、安全性試験を行います。さらに霊長類角膜内皮不全モデルを用い多数例の薬効検定試験研究でヒト培養角膜内皮細胞移植の有効性を検証し、移植方法の最適化、培養角膜内皮細胞移植の安全性を検証します。これらの検証結果を受けて「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」への申請を行い、平成25年度内には京都府立医科大学にて角膜内皮機能不全を対象とした臨床研究を開始する予定です。本研究により低侵襲かつ高機能の角膜内皮細胞移植治療の実現に大きく前進するとともに、将来的にはアジア、欧米の施設との多施設臨床研究や産業界の参画により我が国発の世界標準となる角膜内皮再生医療の確立が実現します。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:289KB)
[厚生労働省] ヒト幹細胞臨床研究実施計画(平成25年3月承認)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:402KB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 培養ヒト骨髄細胞を用いた低侵襲肝臓再生療法の開発
代表機関 山口大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
大学院医学系研究科 研究科長/教授 坂井田 功 
分担機関 (公財)先端医療振興財団
研究内容 これまでの ABM i 療法で証明した自己骨髄細胞を用いた肝臓再生療法を低 侵襲なものに 発展させ、重症な肝不全患者の救命を行うため、局所麻酔下に採取した少量の骨髄細胞液から肝機能改善効果のある細胞を体外で培養増殖し、末梢静脈から点滴投与する「培養ヒト骨髄細胞を用いた低 侵襲肝臓再生療法 」を開発し、次世代型の肝臓再生療法の臨床研究を開始します。
そのために、これまでのマウスを用いた基礎研究で肝機能改善効果をもたらすことが明らかとなった骨髄間葉系マーカー陽性細胞の安全性や有効性の評価を、大型動物モデル系を含めて実施し Proof of Concept(POC) を確立します。
またこれと並行して山口大学 Cell Processing Center(CPC) の整備も進め、「 ヒト幹細胞 を用いる臨床研究に関する 指針」の申請承認後に、 現行の ABM i 療法では適応外となる進行した肝硬変患者さんを対象に臨床研究を開始します。さらに、ヒト骨髄間葉系マーカー陽性細胞を効率的に培養することが可能な 有機 - 無機・ナノハイブリッド技術 を用いた培養器具の Good Laboratory Practice (GLP) 基準化にも取り組みます。
参考参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:683KB)
[厚生労働省] ヒト幹細胞臨床研究実施計画(平成26年8月承認)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:931KB)
 

課題B
中長期で臨床研究への到達を目指す再生医療研究

採択年度 平成24年度
研究課題名 iPS細胞技術を基盤とする血小板製剤の開発と臨床試験
代表機関 京都大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
iPS細胞研究所 教授 江藤 浩之
分担機関 慶應義塾大学、日本赤十字社近畿ブロック血液センター
研究内容 輸血の主要成分である血小板は、それが担う止血機能という重要性にも関わらず、室温保存が必須な為に有効期限が4日と短く、安定供給が困難な輸血製剤です。特に、繰り返し輸血が必要な慢性血小板減少症の患者の多くは、ご自身と同じ血液型(HLA/HPA)の血小板を輸血することが必須なので、特殊な血液型の場合では十分なドナーを確保できず、その安定供給は極めて困難です。
本研究課題では、その様な特殊な血液型のドナー由来のiPS細胞から血小板を大量に供給する技術開発を行い、先ずは臨床研究により安全性を検証することを目指します。また将来的にはHLA/HPA適合血小板の大量ストック・オンデマンド供給体制を薬事法に則り確立することを目指します。血小板は細胞核が無く増殖しない機能細胞であり、混在する有核細胞を死滅させる等の目的で放射線を照射した後に輸血できる点で、iPS細胞を用いる移植医療における安全性の面で大きなアドバンテージを有しています。
これまでの研究でiPS細胞を造血前駆細胞に分化させること、この造血前駆細胞から血小板を産生する元となる不死化した巨核球細胞株に誘導することに成功いたしました。この不死化した巨核球細胞株は、凍結保存可能な状態で増やすことが出来、この巨核球細胞株を成熟させると、止血機能を有する血小板が産生されることを示しました。
患者に投与するためには常に同じ品質の血小板を大量に製造する事が必要です。今後、樹立した巨核球細胞株の中から、安定性と機能性に優れた巨核球細胞株を選択してマスターセルバンクを構築し、更にGMPに準拠する大規模培養技術と血小板の分離回収技術、血小板保存液の開発を押し進め、先ずは自家移植での臨床研究を、更にはiPS細胞由来の血小板製剤の実用化を目指します。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:667KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:660KB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 iPS細胞を用いた角膜再生治療法の開発
代表機関 大阪大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
大学院医学系研究科 教授 西田 幸二
分担機関 慶応義塾大学、東京女子医科大学
研究内容 (1)角膜上皮再生
外傷や疾患で角膜上皮幹細胞が完全に失われることで角膜透明性が著しく低下する、「角膜上皮幹細胞疲弊症」を治療することを目的として、iPS細胞から移植可能な「培養角膜上皮細胞シート」の作製を目指しています。これまでにヒトiPS細胞から角膜上皮細胞の元となる、重層上皮幹細胞・前駆細胞を誘導することに成功しています。これらの細胞は、重層上皮幹細胞マーカーK14やp63を発現していました。さらにこの重層上皮幹細胞・前駆細胞に対して分化誘導を行うことで、培養重層上皮細胞シートを作製しました。このヒトiPS細胞由来培養重層上皮細胞シートには、角膜上皮機能に必須でかつ特異的に発現する膜結合型ムチンであるMUC1, 4, 16についても、正常角膜上皮細胞と同様に、表層部に発現していることを確認しました。
さらに、このヒトiPS細胞由来培養重層上皮細胞シートの機能(有効性)を検証するために、家兎の角膜上皮幹細胞疲弊症モデルを用いた移植実験を行っています。その結果、ヒトiPS細胞由来培養重層上皮細胞はシート状に回収・移植することが可能であり、移植後8日におけるフルオレセイン染色の結果においては、非移植眼では角膜全面がフルオレセインで染色されたのに対して(バリア機能無し)、移植眼では殆どフルオレセインで染色されないことが示されました(バリア機能有り)。さらに、組織化学的検討の結果より、移植したヒトiPS細胞由来培養重層上皮細胞シートは角膜実質上で広範囲に生着していることが示されました。現在、さらに動物実験の例数を追加し、ヒトiPS細胞由来培養上皮細胞シート移植法の有効性を検証しています。
(2)角膜内皮再生
角膜内皮が不可逆的に障害されることで不可逆的に角膜透明性が低下する、「水疱性角膜症」を治療することを目的として、iPS細胞から移植可能な「培養角膜内皮細胞シート」の作製を目指しています。
これまでにヒトiPS細胞から角膜内皮の起源となる神経堤細胞を分化誘導することに成功しています。さらに得られたiPS細胞由来神経堤細胞に対して分化誘導を行うことで、角膜内皮様細胞へ分化誘導することに成功しました。得られたヒトiPS細胞由来角膜内皮様細胞について、角膜内皮細胞の機能を反映した選択的マーカーとして、Collagen typeVIII、Na+/K+ ATPase等の発現調べたところ、ヒトiPS 細胞由来角膜内皮様細胞はこれらの角膜内皮マーカーを全て発現しており、その発現量は培養ヒト正常角膜内皮細胞と同程度であることが示されました。次に、角膜内皮の主要機能であるポンプ機能を定量するために、ウッシングチャンバーシステムを用いた評価を行いました。その結果、ヒトiPS細胞由来培養角膜内皮様細胞は培養ヒト正常角膜内皮と同程度のポンプ機能を有していることが示されました。これまでは培養皿上での性質・機能評価が中心でありましたが、今後、生体内における角膜内皮機能(有効性)を評価するため、サルの水疱性角膜症モデルを用いた移植実験を実施していく予定です。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:382KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:888KB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 iPS細胞を用いた再生心筋細胞移植による重症心不全治療法の確立
代表機関 慶應義塾大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
医学部 教授 福田 恵一
研究内容 心不全の治療法は確実に進歩しているものの、未だに重症心不全患者の予後は癌患者の予後と同様に悪く、唯一の根治療法である心臓移植に関しても全世界での移植率は年間 4000 例程度とドナー不足は深刻な問題です。重症慢性心不全患者の予後改善のためには再生心筋細胞を用いた細胞療法の臨床化が早急に 求められています。
慶應義塾大学医学部循環器内科では、過去10年間にわたって再生心筋細胞を用いた心疾患の治療法に関する基礎研究を行ってきました。重症心不全患者の予後を改善しうるだけの心筋細胞を獲得しうる細胞治療源として現在 iPS 細胞が注目されており、我々は移植に最適な細胞を確保するために様々な研究を行なっています。まず、 Noggin 、 Wnt 等が ES ・ iPS 細胞から心筋細胞への分化誘導に有効であることを報告しました。次いで G-CSF およびその受容体が胎生期心臓に強く発現していることから心筋の細胞分裂を増幅するオートクリン増殖因子であることを解明し、外的に G-CSF を投与することで iPS 細胞から分化した心筋細胞を大量に増やすことができることを報告しました。また、残存未分化幹細胞の混入による腫瘍化の危険性を回避するため、心筋細胞の代謝特性から ミトコンドリア蛍光色素を利用することにより心筋細胞を純化精製する方法を開発しており、免疫不全マウスにおいて移植心筋細胞が腫瘍形成をしないことを確認しました。さらに活性化T細胞とセンダイウイルスを用いることで少量の末梢血からゲノムを損傷せず、 1 か月未満で iPS 細胞を樹立する技術を確立しております。
これまで培った基礎研究によるデータを基盤に本プロジェクト では臨床応用に向けた translational research としてブタを中心とする大型動物にヒト iPS 細胞由来の心筋細胞を移植することで再生心筋細胞移植の安全性および有効性を評価します。 iPS 細胞の内の数株に対して心筋細胞への分化誘導および大量培養を実施し、純化精製した後に健常マイクロミニブタに移植します。また、組織学的にヒト iPS 細胞由来心筋細胞の生着を確認することで 心筋としての構造をもって長期にわたり生着することを確認するとともに、腫瘍形成性を観察します。治療モデルとして心筋梗塞モデルのクラウンミニブタにヒト iPS 由来心筋細胞を移植し、エコー、 CT 、 MRI により心機能を評価します。 さらに細胞数を増加しても長期間での生着および腫瘍性の問題が生じないかを確認します。純化の程度が充分かどうか、未分化幹細胞の混入がどの頻度でどの程生じるかを評価し、培養系での心筋分化誘導のプロセスが適切かどうかにフィードバックすることで臨床応用に向けたヒト iPS 細胞由来心筋細胞培養および移植法のプロトコールを確立します。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:590KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:1.0MB)
 
採択年度 平成23年度
研究課題名 重症高アンモニア血症を生じる先天性代謝異常症に対するヒト胚性幹(ES)細胞製剤に関する臨床研究
代表機関 (独)国立成育医療研究センター
代表研究者
(所属 役職 氏名)
研究所 副所長 梅澤 明弘
分担機関 慶應義塾大学、東京大学、(株)DNAチップ研究所
研究内容 本研究では小児先天性代謝異常症に対するヒト ES 細胞加工医薬品(以下ヒト ES 製剤)の開発と、安全性・有効性に関する検討を行なって参ります。具体的には、高アンモニア血症を生じる先天性代謝異常症の患者の中で低体重やドナー適応者不在等の理由により即時的な生体肝移植手術が困難な患者に対して、橋渡し的治療法としてヒト ES 製剤の移植治療を行います。その安全性評価を行うとともに、根治的生体肝臓移植手術が施行可能となるまで、高アンモニア血症による脳障害の予防や全身状態の管理を目的とした臨床研究への到達を目指します。重症高アンモニア血症を発症する先天性代謝異常症の患者様の中で生体肝移植手術が困難な症例を対象とします。予め凍結保存したヒト ES 製剤を解凍し臍帯静脈または門脈より細胞輸注(細胞移植手術)を行い、肝機能改善を図ります。
研究は、第 1 にヒト ES 細胞の分化指向性を検討し、安定で安全な分化誘導法の開発を行います。第 2 にヒト ES 製剤について、機能維持培養系を確立し、厚生労働省から施行予定であるガイダンス・指針に従い、ヒト ES 加工医薬品の臨床試験を目指します。
臨床研究・治験を行うにあたり、本研究ではエンドポイントにおける有効性を鑑みた上で、原材料及び製造関連物質、製造工程、 加工した細胞の特性解析、最終製品の形態・包装、製造方法の恒常性及び妥当性、製造方法の変更、製造施設・設備の概要、感染性物質の安全性評価、最終製品の品質管理法、試験方法のバリデーション、規格及び試験方法の妥当性、試験に用いた検体の分析結果、細胞・組織加工医薬品の非臨床安全性試験、細胞・組織加工医薬品等の効力又は性能を裏付ける試験、細胞・組織加工医薬品等の体内動態、臨床試験に関して詳細に検討し、細胞医療の安全性及び有効性に関するデータの蓄積と周辺基盤技術を構築していきます。本研究の成果は、重症高アンモニア血症を生じる先天性代謝異常症の患者様のみならず、ヒト ES 製剤を含む細胞製剤の臨床応用の前進に向けたモデルとなるものです。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:393KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:775KB)
 

課題C
再生医療の実現化を目指す研究の支援

採択年度 平成23年度
研究課題名 再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究開発支援
代表機関 (独) 医薬基盤研究所
代表研究者
(所属 役職 氏名)
難病・疾患資源研究部 難治性疾患治療開発・支援室
部長心得 松山 晃文
研究内容 本研究課題では、(公財)先端医療振興財団が有する 再生医療の実用化への経験と規制研究の実績をもとに、採択研究課題の迅速な実現化とその国際展開にむけ、研究開発早期から一貫した支援を実施する。これらを達成するため、国立医薬品食品衛生研究所先端医療特区対応部門の協力をうけつつ1) 課題運営支援、2)臨床展開支援および3)社会受容支援の3サブプロジェクトを推進する。
1)課題運営支援サブプロジェクト
採択各課題のプロジェクトマネジメントのため、ポートフォリオ情報の PD ・ PO 、行政機関および運営委員会への提供にて進捗管理を支援するとともに、臨床展開支援サブプロジェクトにて集積・標準化した情報を基盤とし、各種規制の見直しに関する調査研究に必要な研究成果等の提供を行う。採択課題の速やかな臨床応用をめざし、薬事戦略相談事前面談にかかる事前論点整理を行い、対面助言における質疑応答を取りまとめ、各採択課題代表者への解説・説明業務を行う。
2)臨床展開支援サブプロジェクト
ヒト幹細胞臨床研究・治験プロトコールを含む 関連文書策定・申請支援、研究関連データ等の集約・電子化・管理に貢献し、各実施機関から研究員・技術員を受け入れ細胞製剤製造にかかる講習・技術移転を行う。また、再生医療の実現化事業としてのポートフォリオマネジメントシステムを構築、実施する。次いで、各実施機関の 臨床展開にむけた前・非臨床研究関連データ、 ノウハウ等の集約・電子化・管理するとともに、使用許諾、利益が生じた場合の利益配分のルールを策定、インセンティヴを与えることでデータ共有と標準化促進を図り、もって他課題との競争的協調効果を得ることを目指す。
3)社会受容支援サブプロジェクト
ワークショップによるプロジェクト内情報交換・共有、シンポジウムなど「国民との科学・技術対話」の場の提供による情報発信と患者団体との連携(アウトリーチ活動)に努め、事業全体の推進に寄与する。
これら3サブプロジェクトを有機的に統合し、 再生医療の早期実現化と国際展開に向けた研究開発を支援する。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:833KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:770KB)
 

課題D
再生医療の実現化に向けた研究開発における倫理上の問題に関する調査・検討・支援

採択年度 平成23年度
研究課題名 再生医療研究における倫理的課題の解決に関する研究
代表機関 東京大学
代表研究者
(所属 役職 氏名)
医科学研究所 教授 武藤 香織
分担機関 昭和大学
研究内容 再生医療の実現化のためには、臨床応用を明確に見据えた研究開発を推進し、臨床研究に取り組む体制を早期から確立する必要があります。再生医療の臨床研究の適切な実施に際しては、各研究機関において、基礎研究の段階から研究者に対する一貫した倫理支援が提供されると同時に、倫理審査委員会で十分な審議が行われなければなりません。しかしながら、現在我が国においては、研究機関ごとに倫理支援や倫理審査の体制の質にばらつきがあり、標準化されたシステムが確立されているとまでは言い難いです。くわえて、再生医療の分野にはそれ特有の倫理的課題があるとされていますが、再生医療に特化した倫理支援や倫理審査のあり方は必ずしも明確ではありません。そこで本研究では、まず、再生医療の臨床研究に従事する研究者、研究機関、施設の倫理委員会等に、具体的な倫理支援を提供します。また、再生医療研究に関する倫理的・法的・社会的課題( ELSI )に対して、学際的な研究グループを組織して包括的に取り組むことにより、再生医療における倫理支援・倫理審査体制の確立を目指します。
具体的には、以下の三つの側面から研究・支援活動を行う。第一に、個別の研究者や研究計画に対して助言を与えるベンチサイド・コンサルテーション窓口を開設します(研究者支援)。第二に、各研究機関で再生医療の特性を反映した倫理審査が実施されるために、再生医療倫理審査フローシートやインフォームド・コンセント書式のひな形、倫理審査委員養成プログラムなどの開発・提供を行います(研究機関支援)。第三に、再生医療が社会と調和した形で推進されるために、再生医療の倫理的・法的・社会的課題に対して、調査研究と理論研究から成る学際的研究チームにより、課題解決型の研究を行います( ELSI 研究)。具体的には、トランスレーショナル・リサーチに伴う倫理的問題、幹細胞バンクのあり方、幹細胞ツーリズム、動物細胞との融合・混合の個別の論点に即して、理論的・実証的研究を行います。いずれも各国の規制状況や生命・医療倫理学の議論動向を精査したうえで、研究者・一般市民双方への意識調査研究を行い、最終的には論点ごとに日本の現状に即した具体的な問題解決に向けての提言を行います。
参考 再生医療実現拠点ネットワークプログラム キックオフシンポジウム 発表ポスター(平成25年8月)(PDF:365KB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム 発表ポスター(平成27年1月)(PDF:1.1MB)
再生医療実現拠点ネットワークプログラム
国立研究開発法人
日本医療研究開発機構(AMED)
戦略推進部 再生医療研究課
東京都千代田区大手町1丁目7番1号
電話:03-6870-2220
E-Mail:saisei-ML@amed.go.jp
  • 事業案内パンフレット
  • 事業案内小冊子
  • 採用情報
  • 研究倫理
  • 再生医療実現拠点ネットワークプログラム 平成26年度公開シンポジウム
  • 再生医療支援人材育成ワークショップ iPS細胞を医療につなぐ
  • キックオフシンポジウム
  • iPS Trend
  • CREST「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術」
  • さきがけ「iPS細胞と生命機能」
  • JST-CIRM
  • S-イノベ「iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築」
  • FIRST「iPS細胞再生医療応用プロジェクト」
  • 山中iPS細胞特別研究プロジェクト
  • 先端計測 分析技術・機器開発プログラム
  • 再生医療の実現化 ハイウェイ
  • 再生医療実現化プロジェクト