「安心」のために、日本の多くの自治体でBSE対策の全頭検査が行われてきた。だれの安心のためか。獣医学者でリスク管理の専門家でもある著者が、世界の常識から外れた全頭検査が日本に定着した背景をつぶさに分析し、政治家や官僚の「安心」のための対策より「安全の科学」が大切だと訴える。
「科学のための科学」と「安全の科学」を区別しなければならないのに、日本には「安全の科学」の専門家がほとんどいないという。食品リスク論議を進めるための好著だ。