水産の21世紀
海から拓く食料自給
田中克・川合真一郎・谷口順彦・坂田泰造/編
京都大学学術出版会 2010年
水産は人々が魚を食べてくれないと成立しない学問である。現在日本の魚食自給率は60%をきり、漁民人口は総人口の0.2%をきった状態で、なお低下しつつある。このような社会に対して科学は何かの力を持ちうるのか? 本書は海洋における生物生産の仕組み、魚食文化の豊かさ、未来を拓く食料自給の意義、漁業と魚販売に関わる最新の研究成果など、21世紀の日本の水産研究の現状と課題を自然・社会・人文科学の視点から明らかにした大作で、一読に値する。
(柳 哲雄:九州大学応用力学研究所 教授)