ランドラッシュ
激化する世界農地争奪戦
NHK食料危機取材班
新潮社 2010年
世界大の農地争奪戦が繰り広げられていると言う。農地取得に積極的に動いているのは韓国・インド・中東諸国・中国などで、ウクライナ・ロシア沿岸州・アフリカ諸国などの農地がそのターゲットになっているとされる。もちろん、その目的が自国民の食料の安定的・継続的な確保にあることは言うまでもない。翻って、わが国を見れば、食料の60%を外国に頼る「超」輸入大国。輸出国のちょっとした変動でもわが国では危機に発展しかねない。「飽食」の幻想に酔いしれることなく、絶えず世界に目を向けておきたいものである。その意味で、一読をお勧めしたい一書である。
(飯澤理一郎:北海道大学大学院農学研究院 教授)