地域環境の再生と円卓会議
東京湾三番瀬を事例として
三上直之
日本評論社 2009年
地域環境問題を解決するために、問題に関係する利害関係者が集まって協議会を設け、そこでの議論を元に解決策を探れば良いことは誰もが指摘することである。しかし、実際に協議会を開催しても、議論をある解決策に向かって収斂させることは容易ではない。
本書は東京湾三番瀬の埋め立て見直し計画をめぐって千葉県が設置した円卓会議の設置から再生計画案作成までの2年間の経過を取りまとめたものである。利害対立による参加者の脱退・妥協できない自然観の違いによる対立など、様々な困難を乗り越え、会議参加者が「公共性」を獲得し、とにもかくにも一応の再生策を作り上げていく過程は感動的ですらある。
(柳 哲雄:九州大学応用力学研究所 教授)